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障害は個性ですか?  作者: mask
私たちは障害者です。
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日課

 加藤 大地の日課は朝早く来て教室を掃除することだ。

 背が高く筋肉質なため運動部のように思うが彼は運動が嫌いだ。

 汗も泥も気分が悪くなる。

 昔はバスケをしていたが、いつからか遠退いていた。


『潔癖症』と皆は言う。

 だが、皆のイメージではウザいほど綺麗好きな奴だ。


 でも本当の潔癖症は恐ろしい。

 汗などはもちろん、誰かが触ったドアノブ、他人の作った料理などで気分が悪くなったり、手や身体を何度も洗ってしまう。

 今、加藤がやっている掃除だって床中に汚れがあるんじゃないかと思ってしまっているからだ。

 でも昼間にやるわけにはいかないので、誰も登校していない朝早くに掃除をしている。


「おはよう、加藤くん」

 教室の扉から現れたのはクラスメートの水瀬、車椅子の須藤、そして杖をついた知らない子。

「今日も早いんだね」

「まあ、これが俺の障害だから」

 水瀬に素っ気なく返してしまう加藤。

 潔癖症になってから加藤は人付き合いが苦手だ。

「だとしても教室が綺麗で悪い気分になる子は居ないよ」

 それに、と水瀬はクスリと笑う。

「変な言い方かもしれないけど、加藤くんが掃除していると帰ってきたんだな~って」

「それは分かりますね。加藤くんが風邪で休んだ日は何か違う感じがしましたから」

 水瀬の言葉に須藤が同意する。

「あ、ありがーー」

「加藤くん、制服に埃がーー」

「!?」

 加藤は反射的に仰け反る。

 ガチャンとぶつかった机が大きな音を発てて倒れる。

「わ、悪い!」

 大柄な加藤がこんな反応したら誰でも驚くだろう。

 実際に杖をついてる子は何が起こったのか分からず、須藤の車椅子に掴まっている。

「大丈夫、触ったりしないから。左肩だよ。そう、そこ」

 だけど水瀬は気にしていない。

 潔癖症の加藤が人に触られることが苦手なのを知ってるから、埃の場所を教えてくれる。

「ほら、机直そう」

「あ、ああ」

 加藤は罪悪感で顔を逸らしてしまう。


 でもいつかまっすぐ向いて話したいと加藤は思っている。


 そして今度こそちゃんと伝えるんだ。


「ありがとう」

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