5話
ーーー地方都市 ビックツリー
へー
ほー
ここが人間の街かー
悪魔少年とうさぎ少女は身分証を受け取り
無事に街に入ることができた
沢山のひとが忙しそうにしている
あれは道具屋で、あれは宿屋かな、遠くには
大きな建物が見える
人間だけじゃなく獣人もいる
いいにおいがすると思ったら遠くに屋台が見える
街についた少年と少女は門番に案内され犯罪歴などを
確認され銀貨一枚づつ支払って身分証を作成した
二人はここから遠く離れた田舎の村から
仕事を探しに来たという事にした
兵士は特に深く追及することもなかった
毎日同じような人が来るようだった
気が済むまでキョロキョロと街を見渡し満足すると
少女が口を開いた
「まずは宿を確保しようか」
「そうだな・・・・けど・・・」
少年が浮かない顔を見せる
それにはひとつ問題があるのだ
・・・・・金欠である
先ほど銀貨を支払ったことで手持ちが
少なくなってしまったのだ
(こんなことなら小遣いを貯めておけば良かった)
「あそこ良んじゃない」
少女が指したのは大通りに面した高級感のある
大きな宿屋だった
「大丈夫よ。私お金いっぱい持ってるんだから」
そういうと少女は大きく膨らんだ革袋を取り出した
上下に軽くゆするとジャラジャラと音が鳴った
「セーラ、なんでそんなに持ってるんだよ
お前そんなに小遣い多かったっけ?」
「ちょっとずつ抜いて貯めてたのよパパの財布から」
なんということでしょう。これは泥棒です
セーラの父親は大悪魔であり、100人の奥さんを
もつハーレム野郎でもある
世界に名を轟かせている有名な大悪魔であるが
セーラにはとことん甘い奴だった
そしてなぜか俺には厳しい奴だった
そんなことを考えている間に
少女はズンズンと進んでいった
そして少年は後ろをついていった
「いらっしゃいませお客様。お泊りでございますか?」
カウンターにいたのは清潔な服に身を包んだ
中年の男性だった。
店の雰囲気にふさわしく所作に気品がある
地下都市にはこんな悪魔はいなかった
脳筋バカばっかりだった
店内も掃除が行き届いていて高級感のある調度品が
配置されている
村から出てきたという設定のため薄汚れた格好を
している二人に眉をひそめることもない
(どう考えても場違いだろ。もっと安いところ
で良いんじゃないか)
「二人で一部屋ずつ一週間だとお幾らですか?」
「朝食がつきまして金貨1枚銀貨4枚となります」
(ききき金貨って・・・そんな金あるわけが)
「ふーん。前払いでお願いします」
少女は支払いと手続き済ますと部屋の鍵を受け取り
少年へと顔を向けた
「さあ行きましょう」
自分とは違い高級店にも気圧されることなく
堂々とした少女を見た少年は不甲斐なさから
愛刀ウッディーカリバーを強く握りしめた
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補足
お金の価値
鉄貨 1円
銅貨 10円
大銅貨 100円
銀貨 1000円
大銀貨 一万円
金貨 10万円
大金貨 100万円
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