1話
ーーー地下都市
この地下都市には大勢の悪魔が住んでいる
しかしここに住む悪魔は100歳以下の子供か1000歳を超えて
性格が穏やかになり、戦うことが嫌になったものがほとんどだ
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岩盤をくり抜いて作った部屋に二人の悪魔がいる
一人は2mを超える上背で頭部には5本の捻じれた角が
備わっている。かつては大悪魔と呼ばれていた
もう一人は150cmほどの銀髪の少年で彼の息子だ。
頭部には2本の真っすぐな角が備わっている。
先ほどから沈黙が続いていたが大きく息を吸い込むと男が
言葉を発した
「シード悪いんだけど今日中に地下都市から出て行って
もらうことになった」
「は?どういうこと」
「お前も160歳になったことだし、もうとっくに外に出ていて
いい歳だ」
「でもこの前はいつまでもいていいって言ってたじゃん」
「そ、そうだけどやっぱり、なんていうか」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「もしかして母さんに言われたの?」
「ギクッ」
「やっぱそうか・・・」
「というわけでパパは忙しいからじゃーねーがんばってねー」
「・・・・・」
男は大急ぎで部屋を出て行った
男は言い渡された役目を果たしたのだ
彼に選択肢などなかったのだ
大悪魔といえども奥さんの前では無力だった
少年はため息をついた
こうして少年は住み慣れた家を出て外へと旅立つこととなった
もっとも同年代の悪魔は100歳を超えるとすぐさま、
己の力を磨き上げ力で相手を屈服させ、ゆくゆくは魔王として
世界を我が物にすべく街を飛び出していった
100歳を超えて地下都市に残っている若い悪魔は、少年の
ような変わり者の悪魔だけであった
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「うーん、これは絶対必要だし、これも必要だし、
これはマストだし・・・・」
バタンッ!!
勢いよく扉を開け誰かが飛び込んできた
「シード!ついにあんたも外に出ることにしたんだってね」
「なんだセーラか」
そこには少年と同い年くらいと思われる少女がいた
少年は巨大なリックサックにさらに荷物を入れようと
ギュウギュウと押し込んでいた
「なんだじゃないわよ。しょうがないあたしも一緒について
行ってあげるわ」
怒ったような笑顔を浮かべそう言った少女には大きな特徴があった
ウサギ耳だったのだ
「えーお前も来んのかよ」
「何言ってんの、本当は嬉しいくせに。さあこんな大量の
荷物なんて必要ないんだからさっさと出発するわよ」
(まぁ、こいつ強いし一人だと不安だから一緒でもいいかな
後で別れてもいいし・・・・)
こうしてウサギ少女は少年の腕をとると強引にひっぱり始めた
「あーちょっとまって、これだけは絶対必要だから・・・・」
「もう、早くしなさいよ。準備は完ぺきにできてるんだから」
少年は知らなかった。これが少女が仕掛けた罠であることを
こうして二人の旅は始まった
果たしてこれからどういうことになるのかそれは神のみぞ知る
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