ギルドマスター その2
「よっこらせっと、いやはや年はとりたくないものだね。立っているだけで疲れるよ。」
対面にうっすらと髭を生やした老人、ギルドマスターが微笑みながら言う。
「それで、君はゴブリンの巣を壊滅させてきたんだね?」
「はい。」
「そして君が救出された子だね?」
「はい。」
ギルドマスターは俺とアニスの顔を見ている、少し恥ずかしいな
「おおっと自己紹介をしていなかったな、儂はギルドマスターのバルダというものだ。よろしくな?」
「ユウ・クロダです。」
「アニスです。」
ギルドマスターは満足そうに頷いている。
「じゃあ、本題にいこうか。ユウ君、どんな事があった。」
俺は自分の見た光景をそのまま伝えた。
「………………。アニス君、君が知る部分に間違いはないかな?」
「あっ、はい。」
突然話しかけられたらアニスは大分慌てている。
「ユウ君。辛かっただろうが、これが冒険者だ。それを理解しているね?」
「はい、理解しています。」
「うむ、それなら大丈夫だな。」
ギルドマスターはにこりと笑い頷く。
「じゃあ、次は君のランクについてだ。君が倒したゴブリンは最下級ではあるが巣となるとCランク。しかしそれはパーティーを組んでの攻略になる。一人となるとBランクにはなる。」
これは一気にランクアップする事になるのかな?
「だから、君は一気にBランクとなる。何か不満はあるかな?」
「いえ、ありません。」
「よし、この話が終わったら受け付けでギルドカードの更新を行ってくれ。」
「はい。」
一気にあがると周りからも突っかかられそうだけど、いずれ上がるだろうから上がっといて損は無いはずだ。
「最後に、死亡者の骨だが街の北側の墓地。街からは外にあるんだが。そこに埋葬する。裏で係に渡してくれればいい。」
「わかりました。では」
「うむ、冒険者は身体が資本だ。これからはもう少し気をつけて行動しなさい。」
「はい、ありがとうございます。失礼します。」
そのまま部屋をでて、ふうっと息を吐く。
「ギルドマスターって老人だったんだね。」
「私も知らなかったわ…」
俺は魔物に食われたり殺された人の入る墓地に来ていた。大きな石碑が黄色い花畑に囲まれている。
ここは街の少し外にある。石碑に爪跡が付いているのが見えた。
ゴブリンの巣で出会った女性たち、名も知らぬ冒険者たちの安息の場所が荒らされるのは良いことではないだろう。
「よし…。」
本で見た魔術をこの周りにかけよう。
その魔術は聖域。
指定した空間に魔物を近づけない、かつ魔術を防ぐ光の魔術だ。
俺が全力でかければかなり続くだろう。
「………聖域!!」
身体から光が溢れる、サラサラと心地良い音と共に光は石碑を花畑を包んだ。
陽光のように暖かく包み込んでいく。
「ふぅ……」
やがて光が収まるとドッと疲れが出た。
恐らく成功したのだろう。
ここで眠る人々が安心できるといいな…
そう考えながら立ち去ろうとすると、優しい風が吹いた。
その風はどこからか飛んできた黄色い一輪の花を頭の上に運んだ。
そっとそれをつまんで眺める。
「綺麗だ……。」
俺は来た道をゆっくりと戻った。




