おはよう、世界。さよなら、世界。
ピピピピピっ ピピピピピっ ピピピP
ガッ!
「あー、どっこらしょい」
耳元で電子音を響かせる時計を叩き止め、体を起こす
おはよう!小鳥たち!実に不快な朝だね!
別に寝不足って訳ではないけど体が重い、学校めんどいわ
「ゆう!さっさと起きてご飯食べな!」
階段の下で叫ぶ母の声が聞こえる
「あいよー!今いきますとも!」
高校三年生、生まれて17年の私、黒田 夕は直ぐに育てて頂いた母の元へと参上しますとも
そんなしょーもない事を考えながら駆け下りる。
朝食はほかほかご飯と納豆に小ネギとからし、ナスの漬け物、味噌汁に麦茶。
健康的で実にいい食事だ。うまいし
そして、ちゃっちゃか飯を食って歯を磨く。
納豆は強敵だから念入りにだ
しゃかしゃかしゃーとな
さて、口ゆすぐか。あ、水こぼしたし
タオルっと
後ろに置かれたタオルを取ろうと振りかえる
そこで、濡らした床を誤って踏みしめた瞬間
「うっわおぅ!」
変な声をあげて転ぶ、体が宙に浮き驚いた拍子にぶん投げた歯ブラシが飛ぶ。
別に走馬灯とかいうのは見えないね、世界がスローなだけだわ
ゴッ!
見える風景を冷静に分析しているうちに、後頭部を洗面台に強打…したと思われる俺は意識を失った。
目を閉じてるのに妙に明るい、そして顔を柔らかな風が撫でているのを感じる。
ちょっと表現がキモイな俺…
ってなんで風?洗面所いたよな?
ゆっくりと目を開ける、そこには雲一つ…いやちょっとある青空が見えた
体を起こし(本日二度目)、周りを見渡す
「うっひゃー、みたことねーよこんな景色」
今まで見たことが無いほどの大草原の中俺は1人ポツンと寝っ転がっていたのだ。
「………んで…………ここどこよ?」
率直な疑問を呟いて俺は周りを眺めていた。