第七十三話 普通じゃない
どうしてこうも厄介な事を起こすんだ…w
…
…
また…夢を見たような気がした…
見たんだけど……
……具体的に思い出せない
気になるなぁ…
そう思いながらも僕はベッドから降り、道具袋を持ち、刀を腰につける。
…そういえば今リュウたちはこの都市にいるんだよな…
「って…勇者の会議か…邪魔になるから会わない方がいいよね…」
そんな事を呟きながら僕は部屋を後にする。
「…シオリは起こした方が…いいかな…もしかしたらまだ寝てるかもしれないし……」
僕は迷った…
人の寝ている所を起こすのはなんか気が退けるし…
…ギルドの入り口らへんで待っていようかな
アカリさんに聞けばシオリはどうしたか分かるし、起きてきたら分かるか
それに依頼を見つけるのも悪くないし
そう思って僕は階段を下りる…
「…あら?どうしましたかー?アキさん?こんな深夜から」
ギルドの受付にアカリさんがいた。
…少し眠そうな表情だ。
「…深夜…?そんな時間に起きちゃったのか…」
「はい、ただ今の時刻、3:25になります」
「そんな時間…」
そうか…
ここは空が見えないから空模様で時刻が分からないんだ…
「って、こんな時間まで受付に?」
「その通りです!受付嬢たるもの何時でもやすま…ふぁ………」
「…眠そうですけど」
「…我慢します」
そう言いながらもアカリは目をこする。
うん、やっぱり眠いんだ
「それはそうとどうなされましたー?」
「あ、うん…朝と勘違いしちゃって…」
「そうなんですか…依頼を受けに来たのかと…」
「…こんな深夜に依頼は受けませんよ」
アカリさんの言葉に僕はきっぱりと言った。
「…では寝てしまうのですか?」
「いや…なんか眠くならなそう」
体が重たくもなければまぶたも重くない。
ぼーっともしてないし、意識はハッキリしてる。
ただ体を動かしたい。
そんな気もする。
「…外も静かだなぁ」
「当たり前ですよ。流通都市の夜は危ないですし」
「…そうなの?」
何が危ないんだろ?
「魔物でも出るの?」
少し疑問に思ったので聞いてみる。
「魔物は出ませんが、盗賊が徘徊してます」
「警備してよ!」
なんで盗賊いんの!?
「…?そんなに驚く事でし」
「驚くよ!この国の警備の薄さにッ!」
この国の王様は何をしてるんだ…
「一応警備はされてますけど、余り強くない兵士ばかり配置されてますし、サボっているバカばっかりです」
「…アカリさん、少し毒舌ですね」
「よく言われますけれど…そうでしょうか?」
首を傾げている。
これ、本人無意識にやってるかもしれない…
天然ってやつなの?
「それにしてもそうなら盗賊うちのギルドにも来そうだなぁ…」
と言った瞬間
ドォォンッ!
という爆発音と共に熱風が襲った。
「…来ましたよ?」
「フラグ回収早すぎますッ!」
おかしいでしょ!
なんで言った瞬間なの!?
狙ってるのか!
狙ってるのか!?
「おおいッ!!冒険者ギルドの諸君ッ!!金目の物を出して貰おうかぁぁぁっ!!」
ぞろぞろと人が集まっていく。
それは全員盗賊だけど
「これは不味いですよー、今ギルドにいらっしゃるのは数人、後は魔物討伐などでいません」
「涼しい顔でよく言えますね…」
一応刀を構え、相手の出方を見る。
僕一人で勝てるかどうか怪し…
『いるよ?』
僕ら二人で勝てるかどうかも怪しいよ…!
「ぎひひっ!少人数の所を見計らって来たからなぁ?たっぷり盗ませて貰うぞ?」
そう言って相手の頭目…?だろうね
ソイツは鎖がまを振り回している。
その他の盗賊は短剣を抜いている。
「…はぁ…!」
手足が震えてきた…
また命を賭けてって…バカじゃないの!?
落ち着け…落ち着け…
チカと戦ったように……
盗賊団と戦ったように………
「震えてやがらぁ!ぎひひひっ!」
…どうやって笑ってんのあれ…
そんな事を考えると少し震えが収まる。
リラックスするんだ…
だけど人を殺したくないという意志も出てきてしまい、また震えてきた
「野郎共!行くぞぉぉ!!」
「アカリさん!下がってください!」
「…大丈夫ですよ。起こしましたから」
アカリはなぜか不穏な笑みを浮かべてる…
何したの?
そう思った瞬間、頭目と思わしき人が消え、地響きが起こり、砂煙に包まれる!
何が起こった!?
そう思うと、煙の中から一人の男…
その男はしゃがんでいるように見えたがよく見ると下に拳を叩きつけてた。
筋肉質な体…
怒りに満ちた目…
青筋が浮かんで、いかにも不機嫌そうだ。
「ア………ガ………」
地面に叩きつけられてたのは頭目と思わしき人物。
白目をむいており、歯がなん本か折れて、頭から血を流している。
…あれ、死ぬんじゃないの…?
「誰だ…………こんな…………時間に………起こしやがったヤツはぁああああああッ!!!」
耳を塞いだ…
鼓膜が破れそうなほどの声量…
だけどこの声は…
「…マスター、その方たちです」
「アスタさん!?」
…ギルドマスター…
冒険者ギルドの床にヒビ入ってますけど
『ワイルドだね』
同感だよ…リートに…
「お前ら…覚悟は……いいな…?」
「「「ヒッ…!!」」」
いつも笑顔ばっかりアスタさんじゃない!?
鬼の形相なんだけど!?
「おらぁあっ!!」
アスタは拳を勢いよくつき出す。
その後、何かが僕の体を襲う…
うっ…
痛い…イテテテテテッ!
「いっ…ぐぅぅ………!!」
体が…痛い…
体のありとあらゆるところが…!
内側から殴られてるような…!
立ってるのがやっと……!
「マスター!アキさんにまで!」
「あん!?…おおお!?わりぃ!!」
アスタが僕の体に触れた途端、何事も無かったかのように体の痛みはなくなった。
「すまねぇな…アカリだけかと思って」
「い、いえ…」
…痛みが退いてから気づいたけど、断末魔が飛び交って、盗賊の皆倒れて苦しんでいる。
それから数十秒…
誰の声も聞こえなくなった。
「…し、死んだんですか?」
「いや?加減はしたから精々失神がいいとこだな、どんな雑魚でも」
「ざ、雑魚…」
案外、ここのギルドっておっかないかもしれない。
「じゃあ、ちゃんと兵士どもに引き渡しとけよ?俺は……寝る!」
片手をあげて、アスタは階段を上がっていってしまった。
「…はぁ…嫌なんですよ…この後片付け…」
「…そうでしょうね…」
「だって人のありとあらゆるところから何かが漏れて…」
「…通りで臭いハズだよっ!!」
結局、僕も盗賊を縛る手伝いをすることに…
兵士が来て早々
「冒険者ギルドだけです!こうなるの!」
って言ってて、やっぱり普通じゃないんだなぁ…
って思った。
シオリ「…すぅ……すぅ……アキ………ト…………すぅ……」




