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第五十三話 ニクイ…

「んぐぅ…ッ!」

「ふぅぅ…!」


刀とレイピア。

二つの武器から火花を散らせていた。

競り合いに負けそうになった僕はバックステップをして体勢を整える。


「…チカの相手にならないよ…大人しく出ていけば命だけは助けるって」


「断ります」


だけど相手にならないのは事実だと思う。

この世界の経験は少しあるけれど…

太刀筋が明らかに慣れてるっていうか…

レイピアだけど


もう一度、彼女に刃を向ける。

なんとなくやってみただけだけど…


すると僕とチカの間に炎の壁が現れる。

突っ込んでいったら燃えたね。


「二人の邪魔を…しないで!」


シオリがもう一人の少女に向かって叫んでいた。

リリィが唱えたらしい。

ふっ…と炎の壁は消えた。


その瞬間、チカはレイピアを構えてこちらに駆け出してきた。

そのまま突きを繰り出してくる。

そのまま受けるわけにもいかない。

すぐに左へ回避、カウンターを狙うけれど


「はぁッ!」


彼女が突きをしたと同時に彼女は回転をしながらレイピアをなぎはらってくる。

回転斬りに僕は追いつけなくて、ズサァァッと地面を擦りながら吹っ飛ばされた。


「いっつぅ…」


あのレイピアは突きに特化し過ぎている為だと思うけれど、側面に刃はない。

斬られるとかは無かったけれど吹っ飛ばされるまでの威力だったんだ。

…刃ありじゃ死んでた…


考え事をしていても仕方ないので、その場に立ち上がる。


「チカには勝てないよ?正義が勝つんだ」


「そんな正義…僕は認めないよ」


「じゃあ…君は悪だねッ!」


そう言ってまたも僕の方へ突進してくる。

素の僕の速さじゃ対応が出来ない。


「纏風…」


またも僕は風を身に纏いチカより速く移動する。

後ろをとって、刀を振るけれど上手にレイピアで受け止め、カウンターを仕掛けてくる。

素早く後ろに下がり、事なきを得たけれど、これじゃ平行線。

どっちかのスタミナが切れないと勝敗はつかないかな…


「アキトッ!」


シオリの叫ぶ声が聞こえた瞬間、ゴォッ!と僕に炎が衝突し、炎の縄みたいなのが巻きついてくる。


縛炎バインドファイア…」


「うぅ…あぁッ!」


熱い…痛い…

服が…

体が…

肉が…

焼けていくッ…!


「アキト…!」


シオリはリリィの気を逸らそうとして矢を引き絞るが、作り出された炎の盾により、拒まれてしまう。


「そのまま…焼いて…」



焼かれて…

死ぬ…?


死ぬ…?



死…ぬ…




いやだ…


やだ…


生きたい…

生きたいッ!


僕は生きたい!

僕の人生を邪魔するものは…



「殺す…」


自らの心臓の鼓動が速くなる…


憎い…


僕を殺そうとする…



コイつらガ


ニクイ…



「ヴぅぁ…」


炎が僕を…

包み込み…


人ではない…

一匹の何かになる…



「アキ…ト………?」


目の前の信じられない光景にシオリは驚いている。


「…アキト…自分から…なった」


シオリの隣にいつの間にかいたリート。


「貴方は…」


「シオリ…逃げて」


「…え?」


「多分…町の人も少し…離れさせたほうが…いい」


「で…でも…」


目の前で突然変異したアキトを放って置くわけにもいかない…


「アキトはどうなったの!?」


シオリが声を張り上げて言う。


「…アキト…少し…心…弱いみたい…」


「…?」


「精霊の力の暴走…僕がいなくても…あれだけの火力…巻き込まれたら…終わるよ」


話をしていると、アキトの変異が終わり、見事に炎で出来た一匹の獣…

しかし、白目を向いていて息遣い、うなりごえ、どれを見てもアキトには見えない。


「アォォォォォオオオオオンッ!!」


まるで狼のように遠吠えをした。



「な…人が…!?」


チカもシオリもリリィも驚いている。


狼は大きく息を吸い、一つの大きな炎の塊としてリリィに放出した。


「ッ!ほ、炎の守り…!炎盾フレイムシールド!」


リリィに焦りが見える。

目の前に炎の壁が出現した。

炎の塊は衝突し、いとも簡単にその壁を壊す。


「はぁ…はぁ…貫炎のレイピア(カンエンノレイピア)は…火の魔力を吸収できる…!」


チカがリリィを守る形になっていた。

レイピアで炎の塊を貫いたみたいだった。

あれも魔力によって作り出されたものだったのかとシオリは考える…

そういえばアキトは精霊の力を借りているのだ。


獣となったアキトは未だに二人を威嚇していた。

あれれぇ…?

ここで形体変化来ちゃったか…?

うぅん?

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