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第十六話 豹変

「これが洞窟…か」


地図上にあった洞窟とは違い明らかに人工的に手の加えられた穴であるとこは間違いなかった。


中に入ってみると…


「これが…洞窟…なのか…?」


僕の思っていた洞窟とは殆ど違った。


地面は人工的に作られたレンガで覆われており、周りが全体的に明るい。


前には大きな穴があいており、そこには目に見える薄緑の竜巻が吹いていた。


「凄い…」


期待以上の結果に胸が高鳴る。


大きな穴に近づくと僕の視線の右側に扉があった。


多分、下の階へ繋がっているのだろう。


扉を開けようとする。


ふと扉に書いてある文字を見つけた。


“探索済み”


普通に訳せばたんさくずみでいいんだろうけれど…


合ってるかな?


というか普通に読めた。


この世界の文字。


異世界っていっても言葉とか…文字とか変わらないんだなぁ…


それはさて置いて。


僕は扉を開けた。


予想的中で下に下りる階段を見つけた。


「下は思ったより暗いなぁ…一階は明るいのに…」


地下に行くと暗いのは当たり前だけど…ね


それに天井に穴が多くみれたし。


松明なんてな…



…別に無くてもいいじゃん


「リート!」


「ん…呼んだ?」


僕の胸からリートが飛び出す。


「松明変わりになってくれないかな」


…僕…かなり酷いこと言ってない?


松明変わりになれって…


「分かった。」


いいの!?


リートが炎に包まれてゆく。


その炎はとても明るく、どんな暗闇でも照らすような強い輝きを放っていた。


「これで…いい?」


「ありがとう。僕の先を照らしてくれないかな」


「やってみる。」


こうして僕らは地下一階へと進む。





【地下一階】


大部屋についた。


一応灯りはあるのだが、それでも見えない場所が多いほどに辺りが広い。


これ壁についてる灯りとかあまり意味無いんじゃない?


中央部がとても暗く、何も見ることが出来なかったが、今は照らしてもらっている。


…ん?


「なんか地面に黒いシミが出来てるけど…」


僕の立っている中央部のちょうど前らへんに黒いシミが出来ている。


シミは大きくなり、やがて何かがはい出てきた。


「ん…ミノタウロス…人型の魔物」


リートが言った。


その先にはオノを持った一匹の二足歩行の牛が現れた。


身長は…


僕の身長170くらいだとして…


300あるかな


デカっ


「ってうわぁっ!」


ミノタウロスはオノを僕の頭上へと振り落としてきた。


僕は右に転がる。


いや、僕先制攻撃されすぎでしょ!


そう思った瞬間、左側から轟音が鳴り響く。


オノが地面を割った音でした。


「…え」


殺らなきゃ…殺られる…!


本能が語りかけてくる。


鞘を抜き、ミノタウロスに攻撃をした。


「いぃ!?」


刀を振って初めての感覚。


その瞬間、斬れないと分かった。


これは刀のせいじゃない…


自分の経験不足によるもの。


「に…げないと…!」


刀を鞘に入れる。


ミノタウロスはオノを地面から抜き、僕に狙いを定めていた。


僕は出口へと走る。


「あっ…!?出口ってどこだっけ!?」


まだ数歩しか歩いていないのに…


出口が分からない。


僕は壁にかかっている松明に沿って走る。


リートは後ろから追いかけてきている。


ミノタウロスも足は遅いがしっかりと後を追ってくる。


「壁っ!左…!はぁ…!また壁っ!?左!」


…あれっ!


おかしい!左しか曲がれていない!


つまり、これって…


「閉じ込められてる…のか」


はは…


笑えない…や


立ち止まる。


僕は振り返る。


ミノタウロスは息を荒くして、僕に近づく。


「くそっ…炎よ…焼け!火球フレイムボール!」


オノで防がれる。


回り込めれば勝機はありそうだけれど、僕の速さじゃオノで攻撃されて終わりそう…


「何か…手は…!」


考えているうちにミノタウロスがオノを振り回してくる。


「あっ…ぐぅっ…!」


刀で防いだけれど吹っ飛ばされて壁にぶつかる。


「うぅ…」


嫌だ…死にたく…ない…


まだ…生きたい…


どんなに…なっても…


「アキト…」


「リート…?」


「…精霊の…契約で…魔法を使うのは…序の口…」


「それってどういうこと…?」


「…僕の…核と同調して…!」


「そんなの…!どう…ぐぅ…っ!」


胸が…熱いッ!


…焼かれてるようだ…!


「駄目っ!意識を保って!」


リートが柄にもなく怒鳴ってくる。


「ヴぁっ…!ヴヴ…」


苦しい…っ!


なんだよ…!これっ!


「ぁ…っ!ぅぅ…っ!」


体が炎に包まれる。


頭から…足まで…


包み込まれる。


目の前の景色が炎で狭まる。


二本足で立つことさえ、ままならなくなり、手をつける。


「グルルルル…ッ!」


何故か僕は喉をならし始める。


何故…


四本の足があるのだろう…


なぜ…


僕は唸っているのだろう…


ナゼ…


僕は理性を失った…


足が勝手に動き、ミノタウロスのオノを回避する。


「アォォォォォンッ!」


遠吠えをする。


僕の周りの地面から次々に炎が巻き上がる。


その炎は地を這い天を這う。


そしてミノタウロスに炎が巻きつく。


ミノタウロスは苦しいのか必死に体を動かそうとしている。


僕はミノタウロスを見つめながら近づく。


右前足と左前足に爪がたつ。


「グルル…ガァッ!」


ミノタウロスに飛びかかり、切り裂く。


着地と同時にまた飛びかかり切り裂く…


それを何度も何度も繰り返していた…





「ぅ…」


気づいた時に僕の目の前にあったのは…


金貨が三枚あった。


「やっと…目を…覚ました」


「リート…」


「…」


「教えてくれる…よね…僕に何があったか…」


「…うん」


「分かった…でも一度外へ出よう。ここじゃ暗いし…」


いつの間にかあった上り階段から僕らはこうして出ていった。


ただ忘れる事はない。


壁や地面につけられた無数の爪痕を…

へーんしんっ!

的なw

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