第百五十二話 城下
「まだ…なのか…」
僕は目の前に…といってもさっきから歩いても全然近づいてる気がしない、建造物を目指してる。
「…またやるの?」
魔物たちが現れる。
さっきからずっとこの調子だ。
ただ歩いてるだけなのに、魔物は僕のことを襲ってくる。
「殺生はあまりしたくないけど…って、僕が言えた義理でもないか…」
現れたのはヘルウルフ。
ブラックウルフの完全上位系統。
「さっきからコイツばっかりだなぁ…」
僕の体は動き出そうと…
早く殺ろうとしている。
だけど、自分で考えて行動しなければ、あの時みたいになる。
「ガアッ!」
「…今ッ!」
僕はすぐに風切の太刀で抜刀した。
ヘルウルフには、当たった。
けど
「やっぱり…まだ?」
さっきから一度当てただけじゃ倒せないのだ。
数回攻撃を与えてやっと…というところだ。
「分かったよ…やるよ…」
これじゃあ、皆と会った時、戦闘狂って呼ばれそう…
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「…よし!いい具合なんじゃないかな。」
僕は少しぎこちない手つきでヘルウルフから素材を剥ぎ取っている。
「やっぱり解体用ナイフ、買っとけばよかった…」
うっかりしてたなぁ…
ついでに今回も風切の太刀で剥ぎ取り中。
そして、気づいた事がある。
「…風切の太刀って刃こぼれしないな…」
…どんな素材で作られてるんだろう…
纏風とかやるときもこの武器がないと使えないし。
「本当、不思議な武器だ。」
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それからも、僕は魔物を倒していった。
こんなに倒しているのに関わらず、魔物の勢いは止まらない。
本当、迷惑するなぁ…
「それにまだまだかぁ…」
かなりの距離を歩いたように感じる。
が、感じるだけ。
あの大きな建造物にはたどり着けていない。
あそこに魔王がいると思うんだけど…
「…はぁ」
僕はため息をつきながら、歩き続ける。
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「…まだ、かなり遠いなぁ」
一応は城下町とやらについた。
が、建造物は全然近くならない。
…なんだろう、何かあるのかな…
僕は建造物を見ながら疑問に思っていた。
見えてる距離が変わらない…
多分、今見えてるのは幻覚とかなんだろうなぁ…
僕は町を眺めながら、そして建造物も眺める。
………
強引に突破出来るかな…
結界が張っている前まで来てみた。
これほど近づけば目視できるね。
うん。
「…さて…」
僕は結界の中に入った。
すると、そこには外側から見るよりも、暗く、そして神秘的な光景があった。
「止まりなさいッ!人間ッ!」
「…はい?」
ゆっくりと橋の上を渡っている時だった。
…魔族と思われる人たち…
兵士かも?
が現れ、僕は包囲されていた。
「貴様が魔王城に足を運ぶなど、無礼にも程があるッ!下がれッ!」
「…何も…知らないクセにして…!」
「さぁ!大人しくしなさい!」
武器を構えながら、警戒してこちらに来る兵士が見えた。
「…このまま、捕まるくらいなら…!暴れてみるよ…」
「…は?…なっ!?ぎゃあッ!」
峰打ち…
出来ただろうか?
「「「なっ!?」 」」
「…大人しくは出来ません…僕だって、魔王に会わなきゃならないんですッ!」




