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死んだら…異世界に逝ってました(笑)  作者: まっつー
六章 いるべき場所
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第百三十六話 悲鳴を聞いて

少しだけ、思い出した。

不良と戦って倒した瞬間の事。

あの…気持ちが悪くなる柄の感触…

レイピアを持つと始終その感覚に襲われる。

これじゃあ、加護を受けても意味ないな…


それを考えながらカルロ山脈にある洞窟へと向かっている。

途中でレイピアを抜いて震える手を止める練習をした。

した…けど、全然駄目だ。

ただ持っているだけで、振るおうとすると、力が抜けてしまい、どこかへふっ飛ばしてしまう。

白樹刀は不思議と大丈夫なんだけれど…

それから襲いかかってくる敵を倒して数日が過ぎる。

金銭は貯まっていくけれど、食料は増えない。

ブラックウルフの肉を手に入れようと頑張ったんだけれど、息の根は止めることが出来なかった。

レイピアにやはり力が入らないのだ。

ため息をつきつつ、干し肉をかじってる。

あと10日は保つ量ある。

水もそのくらいは入っているだろう。

テラスガーデンで補給して良かったよ。

まったく。

こうして数日が過ぎた。


「…やっとついた…」


約6日。

敵を倒して金銭は問題ない量を稼いでいた。

相変わらず食料不足。

そして、僕はやっとカルロ山脈を越える事の出来る、カルロ洞窟へと来た。

…越えるはおかしいか、中に入れる…のもおかしいな。

まぁ細かいことは置いておいて。

躊躇せず、中に入る。

壁にある、松明の灯りだけが洞窟の光源のようだ。

薄暗い洞窟の中を歩いていく…

その途中でロックマンという、僕と同じような大きさをした岩男が現れた。

弱点は顔にある、目だった為、白樹刀をぶっ刺した。

それでも気絶で済むのは…どうなんだろうか。

因みに初めて戦った時はロックマンの拳を喰らって地面にゴロゴロと転がった。

とてつもなく痛かった…


体感的に2日くらい経っただろう。

そして、所々にある、広い場所を見つけて休憩していた時だった。


「きゃぁぁあ!!」


少女と思わしき悲鳴が洞窟内に響き渡る。

バサバサと驚いて飛び回っているのはカルロバットというコウモリだ…

珍味らしい事をリートは言っていたけれど、食えるわけないじゃん!

っと…無駄な事を考えてる場合じゃなかった。

僕は少女の悲鳴が聞こえた方向へ駆け足で進む。


洞窟内で魔物が群がるのはやめてほしい。

ロックマンとカルロバット、ブラックウルフが

比率1:6:3くらいで群がってる。

ロックマン少なくて良かった。

僕は一匹一匹、狙いを定めて攻撃していく。

瞬連剣を連発しようとしても、少しのタイムラグが起こってやられる事が分かった。

なので、瞬連剣を行った後、横か縦斬りに繋ぎ、再度瞬連剣へと繋げる行動をとる。

群れてるが、こちらの攻撃に気づくのは遅くはなかった。

3,4回目くらい、さっきの流れをしていたら、次第にこちらに群れが襲いかかってくる。


「リート!前のネット張れる?」

『いやだ。あれは奥の手』

「え、ええ…」


襲いかかってくる群れから僕は逃げ出した。

背をむけて。


「くそぉぉー!」


まだまだ走る…

魔物から逃げる為に…





「ぜぇ…ぜぇ…はぁ…ぜぇ…」


足がガクガクと震えている。

こんなに全力疾走したのはいつ以来だろうか…

…テラスガーデンにいた時にやっていたか。

にも関わらず、魔物達はこちらに来ている。

さっきの丸ごとだ。

…逃げたって埒があかない。

そう思って白樹刀を構え始める。

ドドドドと音が近づいてくる。

近づくたび、力もこもる。


『来る…!』


リートが言ったその時、ブラックウルフを筆頭に、魔物たちが溢れてきた。

…いけるか?

リートと一緒に倒そうとも考えたけれど、人が四人入れば空きがないと言っても過言ではない、それくらいの大きさでは、満足に動くことも出来ないだろう。


「よし…」


準備は出来た…

何…

さっきと同じ用量で…倒せばいいんだ!


「瞬連剣!」


2連続で斬撃を放つ。

狙った魔物は先頭のブラックウルフ。

一匹は気絶するも群れはまだまだ来る。


「はぁぁ!!」


凪ぎ払いへと繋ぎ、突きへと繋いだ。

…これで4.5匹倒した…!

リート!

お願い…!


『出でよ…炎の守り…!フレイムシールド…!』


僕の目の前に炎で出来た盾が現れる。

ありがとう…

次々と炎の盾にタックルしていく魔物…

コウモリやオオカミが盾に当たっていく。

焼けていくが、致命傷には至らない。

それでいい…

炎の盾は約15秒経つと消え、確認してから僕は突っ込んだ。

一匹一匹昏倒させていく…

うん、一撃で気絶だ。

かなりのダメージを受けていたみたい。

サクサクと倒していくと、うじゃうじゃいたコウモリやオオカミはいなくなった。

…後は…数匹のロックマン。

ノロノロとマイペースに、しかし重く歩み寄ってくる。

…いける…!

全身のひっかき傷と噛まれた傷が痛む…

無傷って訳にはいかなかったけれど、仕方ない。

ロックマンに狙いを定める。

1…2…3…4……6か!

そうと分かった瞬間、体は動く。

…やっぱり足が辛いか…

でも!

まずは一匹目!

弱点の目に木刀を…

ズッという感覚…

やっぱり気持ちは良くないな。

すぐさま抜いて、もう一匹へ!

よし、二匹ーー


「ーーーッ」


腹にめり込む…何か…

ロックマンの…拳だ…

その痛みに耐えきれず、倒れてしまう…


「…危ない…」


熱い何かがお腹に巻きつき、素早く引き寄せられた。


「…リート…」


見ると、ロックマンの拳が地面にめり込んでいた。

本当に危なかった…

リートは人型になって僕をムチで引っ張ってくれていた…


「…ボクには…相性悪い…だから」


リートの手が腕に触れる。

ジュウ…という音と共に傷が塞がる感覚を感じる。

…治癒…?


「少し疲れるけど…治りが早くなる」

「…ありがとう」


痛みは少しあるけれど、動ける…!

僕はまた、白樹刀を構えて残りのロックマンを殲滅した…





「…終わった………」

「ん…じゃ」


リートは僕の中へと入っていった。

よし…

さっきの人の所へ行ってみよう…


ん…

うずくまっている人がいる…

もしかしたらさっきの人か…


「…」


泣いてる…

目から滴がポタポタと垂れている。

ええと…


「大丈夫?」

「…?」


震えてる…

僕は近づいてみる…


「ひっ…!」

「あっ…と、ごめんね」


…離れた所に座ろう…

どのみち置いていけないんだ。

魔物から守らなきゃ…

そして、村へと届けなきゃ…

そんな思いを胸に僕は一人座った。

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