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死んだら…異世界に逝ってました(笑)  作者: まっつー
五章 生き抜く覚悟
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第百十三話 現状と感情

新章スタート!

そして…

歯車は動き出す…

何処までも白い光景が続くこの空間…

そこには一人の老人と一人の女性がいた。


「…どういうつもりなのですか?…エン?」


金色の髪を掻き分けながら、老人に対して質問をしていた。


「どうして…あの者を魔界に送ったのですか?」


その質問に、エンと呼ばれた老人はひざまづき、理由を言う。


「…魔界にはあの者を助けるような仲間などおりません…さらに魔物も人間界とは比べ物にならないほど強く、孤独のまま死んでゆく事でしょう…ほほほ…」


そう言ってニヤリと笑う。


「…そうですわね…うまくいけば…ですが私の魔法もそこまでは届きませんわ。これでは死んでいるのかさえ分からないではないですか。」

「問題ありません…私が見て参る事も可能なのですから。…それとも…すぐにでも殺しに…?」


エンの言葉に静かに首を横に振るシル。


「いいえ、まだ…まだあの者の絶望に染まった顔を見ておりませんわ!…異世界の…乱入者…!」


その目には深い憎悪を感じることが出来た。


「では…どういたしますか…?」


エンの問い掛けに、シルは少し考えた後、答えを出す。


「…残りの三人…集めなさい。」

「…承りました…様…」





「シオ…?大丈夫?」


…砂漠の青い空を見上げながら私は立ちすくんでいた。


「…つ…いん…さん…アキが…アキトがぁ…!!」


溢れ出す涙…

泣くつもりなんてないのに…

なんで…

こんなに寂しいの…

こんなに苦しいの…


「アキトが…!消えちゃった…!!アキトが…!アキトがぁ!!」


私は叫んでる…

何も変わらないのに

こんなのしてもアキトは帰ってこないのに…


「…よしよし……大丈夫だから。アッキーはすぐ帰ってくる。」

「…本当…だよねぇ…!!本当に…!」


答えを求めてるのは間違ってる…

でも…

嘘でもいい…

私は肯定の言葉を待った。


「…泣いてばかりでは何も変わらないのではないか?」


ツインさんの横から声が聞こえた。

…怒ったような表情でレイクニルさんが私を見ていた。


「アキは消えたのは変わらない。どこにいるかも分からない。それなのにすぐに帰ってくるわけがない。」

「…」


私の目から涙がまた溢れてきた…

レイクニルさんの言う通りだ…


「なら…僕たちに出来るのはただ待つだけだ。帰ってきたら…今度こそ…失わず…今度こそ…守れるように!」


ぎゅっ…と手を握りしめる音がした。

…レイクニルさんだって悲しくないわけじゃないんだ…

それにツインさんだって…



私は……





弱い…


一人じゃ何もできない…

アキトと一緒だから…

一人じゃ無かったから…

だから甘えちゃって…

アキトを守るって…

そんなの…

口先だけで…




私は…



「おねが…いがあります…」


涙はもう止まった…

後悔の涙はもう出さない…

後悔しないために…

私は…


「私を……強く……強くさせて下さい!!」


強くなりたいと決心した。





「やっとここかよ…」


俺らは水の村クラブへと帰ってきた。

ここに来るのに何日歩き通したったろう…

って宿を取ったりしてたな


「帰ってきたー!!」


…フィリアのハイテンションには着いていけない。

着いていく必要ないけどな

フィリアはキョロキョロと辺りを見渡し変わりないなーなどと言いながら歩いている。


…今日はゆっくりしよう

どうせ目的地までまだあるしな


因みに俺らの目的はこの国近くの海上にある…?かは分からないが、水の宝玉という物を手に入れる事だ。

宝玉を集めるごとに神からのご加護を受けることが出来て、強くなる…

で、確か7つの宝玉が集まれば俺らは帰れる…

だったハズ。

しっかしどうもなぁ…

神なんて呼び出す必要なくね?

まず戦う時点でおかしくないか?

魔物と魔王になんの繋がりもないとしたら…

とかは考えてねぇし…


…常識になってるのか?

…考えてもらちがあかないな…


「また何か考え事?最近多いね?」


先行していたフィリアが振り返って問いかける。


「…いや…何でもない」


…嫌な予感がするだけだ…

ただそれだけ…


………



「おお!リュウよ!死んでしまうとは情けない!」

「なんでドラ○エネタが残ってんだ!!」


長の部屋へ来てみたらいきなりのパクリに突っ込みを入れる。


「てれれれっれっれっれー!リュウのツッコミレベルが上がった~!」

「フィリア!乗るなッ!」


じっちゃんがじっちゃんなら孫も孫だな…


「よーくぞ、戻って来ましたな。」

「ま、ついでだついで。」


俺はそう言いながら大きく伸びをした。


「お爺様、水の宝玉って知ってる?」


フィリアがいきなり話を切り出した。

このじっちゃん知ってるのか?


「水の宝玉…確か…神を復活させる道具の一つでしたな」

「…復活って…ある意味あってるか…」

「それは表向きですがな。」

「…うん?」


表向き?

裏とかあんのか?


「表向きって?」


フィリアも疑問に思ったようで聞いている。


「…水の宝玉には神を復活させる…というて伝承が一般的ですが、中には使用すれば災いが起こる…とも言われているのですぞ。」


…ワケわからん…

使い方を間違えれば…とかいう類か?


「…よくわからねぇけどよ…王様に頼まれてんだ。詳しい場所とか知らねぇか?」

「…確か…この村より北に位置する洞窟…その奥に水の宝玉を守る神殿があると伝えられております。」


…洞窟を抜けたら次は神殿かよ…

正直面倒だな…


「ありがと、お爺様。」

「リュウ殿、フィリアの事をまた宜しく頼みましたぞ。」

「分かってる」


信じられる相手くらいは守る。

流石にな。


「では、ゆっくりしていって下され!」





「…あのな…フィリア…」

「ん…何ー?」

「当たり前の様に俺のベッドを占領するな…」


いつもの如く、リュウは床で寝ることになった。


………








……


僕は…なんのために生きて…

僕は…なんのために…



死ぬのだろう………




…分からない…

こんな…暗闇の中で考えて…

考えて…

考えて…


それなのに…

答えはでない…

導き出せない…

なんでだろう…


なんで

なんのために生きてるかも分からないのに…


死にたくないんだろう…

生きていたいんだろう…


分からない…


いっそ…


あの時…


本当に死ねば…



楽になれたのに

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