三話:小暮さん及び公園での邂逅について
小暮さんは黒いっぽいではなくて、おバカっぽいだったような気がします。
小暮「ねえ!? 前回からなんなの? 私の扱(ry」
放課後。
「なんのよう、小暮さん?」
自分の席で勉強道具とか筆箱とかをカバンにいれ、ちゃんとチャックがしまっていることを確認していると、小暮さんが近づいていた。
「なんのようかな、デーモン小暮さ「違うし! 顔面真っ白じゃないし!」
返事をしてくれなかったので、もう一度聞いてみた。
彼女はもしかしたらツッコミ属性があるのかもしれない。
俺の知ったことではないが。
「ねえ、これから品野くんの家に行っていい?」
「うちにはもう食料はないんです………勘弁してください…」
「いや、食べ物タカらんし」
「俺、今日から家、ないんだった…」
「嘘おっしゃい」
「どうしてわかる? 本当かもしれないだろ?」
「いや、嘘だろ。わかるよ普通」
周囲に他のクラスメイトがまだ残っていることを確認すると、小暮さんは声を潜めた。
「……あのね、品野くんって魔王なんでしょ? そしたらさ、補佐役の、星の意思が家にいるんでしょ? 見せて」
「はあ? 星の意思? どうしたの、小暮さん。大丈夫? 現実と妄想の区別がつかなくなっちゃたのかな? 大丈夫だよ、今から精神科に行けばまだ治るかもしれない」
「えー!? 品野くんって魔ムグッ」
「……それ以上喋ってみろ。どうなるかわかっているな?」
でかい声で俺が魔王であることをカミングアウトしようとした小暮さんの口を塞ぎ、耳元で囁く。
コクコク、と頷いてくれたので、口を塞いでいた手を離す。
「ねえ、品野くん。家、行っていい?」
頷くしか、なかった。
☆☆☆
「ここが、僕のおうちです」
「公園じゃん。え? リアルホームレス?」
「そうです。どこにも星の意思なんかいないだろ。はい、サヨナラ。サヨーナラー」
「あのさ、魔王に選ばれた人間って何もしなくても月収一千万円超えるって聞いたけど」
「気のせいじゃない? 小暮さんの気のせいじゃない?」
「う゛~! むかつく!」
「ふはははは! ほらほら、ここが貴様の行きたかった我が家だぞぅ?」
「む゛~」
「ショウか? 何をしておるのだ、このようなところで!?」
「げ! ユリア!?」
「げ! とはなんだ! 貴様の愛しのユリアだぞ!」
公園で小暮さんと押し問答をしていると、後ろから声をかけられた。
言うまでもなく我が家の天使、ユリアである。
タイミングの悪い……!
「む? そこの小娘はなんなのだ? 生贄か!?」
「えーっと、誰?」
最悪の邂逅が、今ここに。
今日は厄日だろうか。
玄関の盛り塩足しとこうかな、と、本気でそう思った。
……そういえば、ユリアは一応魔王であるのに(俺と二個一で魔王)、盛り塩とか平気なのだろうか。
どうでもいいことを考えることで現実逃避とするのは、不可能なようだ。
「じーーー」
「じじじーーーー」
ユリアと小暮さんが穴があくほど俺の顔を見つめてくる。
さては俺に惚れたな☆