一話:魔王について
突発的に新シリーズを始めてしまいましたが、大体千文字、一話書ききるのに二十分程度しかかからないので、ほかの作品の息抜き程度のい書き連ねていきます。
主人公「これからよろしくな!」
「―――であるからして、世界に人類が増えすぎると困ります。だから何が人類の数を調整するのでしょう」
穏やかな昼下がりの社会の授業。
あくびをかみ殺しつつ、授業を聞くともなしに眺めている。
前のほうでは、先生に指された生徒が答えている。
「はい。数百年に一度現れる魔王が人類を虐殺します」
「正解です。まあ、こんなことは今日び小学生でも知っている常識ですね。では、魔王が人類を全滅させないように現れるのは」
「勇者!」
「ですが、その勇者と魔王が本来の使命から逸脱した行動をしてしまった時に軌道修正する役の者をなんというでしょう?」
「調停者です」
「そうです、よくできました。魔王、勇者、調停者は世界がうみだしたルールです」
このあたりの授業は、昔から好きで調べたりしていたから、高校程度の知識ならすべて分かる。
「ではまず、魔王の説明をします。
魔王とは、世界のバランスを守るためにうみ出された壊す者です。魔王に選ばれた者は、ありとあらゆる犯罪の罪を見逃され、人類を減らすことに従事します」
「せんせー、どーやって魔王とそーじゃない人間を区別するんですかー?」
「いい質問ですね――――――――――」
そこで先生は言葉を切り、クラス中を見渡した。
「魔王、勇者、調停者の三役に選ばれた人間は、政府から発行されるライセンスを持っています
偽造することができない代物ですし、もし偽造できたとしても――――――」
☆☆☆
「ただいまー」
帰宅部である俺は特になにをするでもなく、すぐに帰宅できる。
「よくぞ帰ったな、我が僕よ!」
言葉とは真逆の満面のスマイルを浮かべ駆け寄ってきた見た目12歳の少女の名前はユリア。
髪の色は淡い金髪。金髪というより、もはや絹糸。触るとすごく気持ちいい。
その(俺の)自慢の髪を、ツインテールにしている。もちろん俺が。ユリアはそういうのは苦手のようだ。
「ショウがいなかったから寂しかったのだ!」
態度がこんなんなくせに性格は甘えたがり。
あえて言おう! 可愛すぎると!
「で、人類を滅ぼす方法は考えついたのか!?」
「まあ、待て。まだ思いついてない」
「そうか! なら、我の力で人間どもを切りまくればよいのではないか!?」
「それじゃダメだ。警察がすぐにやってきて鉄砲で撃たれて死ぬ」
「死ぬともう貴様と会えないのか!?」
「そうだ」
「嫌なのだ! そんなのは嫌なのだ!」
よしよし、とユリアの頭を撫でてやる。
「だから死なないように人類を滅ぼす方法を考えてるんだろ?」
「おお! そうだったのだ!」
さて。
この世界の謎に包まれしシステムの一つ、魔王制度。
人類の敵となる魔王に、俺は選ばれていた。
いや、家のリビングにさ、刃渡り50センチくらいの小太刀が突き刺さってたんだ。
抜くだろ? 普通。
で、抜いたらユリア(※全裸)が現れて、問答無用でお前は魔王に選ばれたから人類殲滅しろって寸法である。
その日から、俺は魔王になった。
☆☆☆
『もし偽造できたとしても―――その三役には、補佐として人間の形で顕現する星の意思がいますので、その補佐となる者がいなければ、それは偽物です』