表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

マシンガン大名

作者:

「殿ーッ! 殿ーッ!」

 塵一つ無い廊下を、家老の斎藤(さいとう)太郎左衛門(たろうさえもん)がマシンガンを乱射しながら走っている。

「ご家老、いかがなされぐあッ」

 流れ弾で成瀬(なるせ)四郎左衛門(しろうさえもん)清風(せいふう)が犠牲となった。

 武器に意思は無く、行く手を阻む物を区別したりしない。

 それは扱う人間のやるべき事だ。

「殿ーッ!」

 家老の斎藤太郎左衛門はマシンガンを乱射しながらひたすら走る。

「騒がしい! 何事であるか!」

 城主の前田(まえだ)九郎兵衛知房(くろべえともふさ)がマシンガンを乱射しながら現れた。

「殿ッ! 大変でござぐおッ!」

 前田九郎兵衛知房のマシンガンが放った弾丸が、斎藤太郎左衛門の身体をえぐり、家老であった人間を肉塊に変えた。

 そこへ大野(おおの)継之助秋儀(つぐのすけあきよし)がマシンガンを乱射しながら現れた。

「殿ッ! 敵襲です!」

「何い! 者どもであえッ! であぐあッ!」

 引き続き火を吹いていた大野継之助秋儀のマシンガンの弾が何発か前田九郎兵衛知房に命中した。

 廊下を赤く染めるおびただしい出血。重態の前田九郎兵衛知房はそれでもなおマシンガンを乱射しながら城主としての勤めを果たそうとしていた。

「ぬうう、皆の者……守りを、守りを固めよ!」

 前田九郎兵衛知房の号令で、家臣達がマシンガンを乱射しながら城主の下に集まった。

「ぎゃあ!」

「ぐあッ!」

「ぬぐッ!」

「があッ!」

 狭い空間にマシンガンの発射音と命中音がこだまする。

 城は未曾有の大混乱におちいり、命脈は早くも尽きようとしていた。

 前田九郎兵衛知房は大量の失血で蒼白となった顔を上げると、決意をこめた目を生き残った臣下に向けた。

「もはやここまで……介錯をせい!」

「はっ」

 前田九郎兵衛知房はしっかりとした動作でマシンガンを掴むと、いつものように引き鉄を引いて引いて引きまくった。

「それでは殿……介錯つかまつぐあッ」

 最後の臣下も力尽き、前田九郎兵衛知房は一人生き残ってしまった。

「うぬう……ならば私一人だけでも戦い、前田家の意地を見せてくれよう!」

 前田九郎兵衛知房はよろけながら立ち上がると、城門に向かって歩きながら景気付けにマシンガンを乱射。庭の石に当たって跳ねかえってきた弾が命中して死んだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 塵一つ無い廊下を、家老の斎藤太郎左衛門がマシンガンを乱射しながら走っている。 初っ端のここで完全に笑いのツボをつかまれてしまいました。 そこからは笑いっぱなしで、作者様の感性に度肝をぬかれ…
[一言] すっげぇ馬鹿小説だ! 爆笑してたけどにゃ!
[一言] 二回目の感想で失礼します。 一回目は、文体よし・ストーリィいまいち、という評価でしたが、 読み返してみると、 ただマシンガンをぶっ放して終わる、というのは、 確かにストーリィは弱いけども、 …
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ