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第17話 親子レクレーション







 もうすぐ夏休みに突入するある日のこと。

 

 外は大雨だ。理科教師の斉藤先生は受験生である生徒にクドクド問題を出す。


「今は夏です。どうしてこの地域は大雨が降っているのでしょうか!?」

「それ天気の問題でしょ?斉T(サイティー)。」

「はーい!入道雲の中に居るからでーす!」

「正解だァ!そ。おそらく他の地域では”・・・あぁ入道雲綺麗だな・・・・・”なんて思っているでしょうけど、入道雲の下の地域は大雨で大変苦労してるんですっ。・・・・3組優秀だね。」


 そしてクラスを褒められ、職員室で話題になるということだ。

 

 そんなのん気な学校生活の中、最後の大きな行事が立ちはだかっていた。それは、3年生の先生方も比較的決断に悩む行事の1つだろう。


『親子レクレーション』


 親子レクレーションとは、親と子が力を合わせ、学級対抗で競争する行事のことだ。毎年1回は行われるが、その内容によっては失敗することも大成功することもあり得る。

 現に1年生の時はドッジボールで親たちが活躍できず失敗に終わり、その数か月後に行われた第2回親子レクでは五色綱引きをやり、親たちの力が持たず、やはり失敗。

 2年生の時は無理のない力を使うために、大玉競争と長縄跳びをした。それは成功に終わり、なんとか安心できたが、まだ成功する確率を上げるためのコツが誰も掴めていない。


 どうするべきか、と書類を見ながら悩む先生方。


 朝の職員会議だけでは修まらなかったので、急遽、放課後に職員会議を行う事となった。


「それでは、親子レクについてですね。PTA役員にも協力していただき、保護者も無理な疲労を受けずに生徒たちが団結し楽しめるモノでなくてはいけません。」

「いーんじゃないっすか?そんな律儀に考えなくても。それより僕は、何故中学生が親子でレクなんてやるのかを問いたいね。」


 学年最年長教員である斉藤先生の行事愚痴が始まると、その場は苦笑に塗れた。

 

 斉藤勝仁(さいとうかつひと)という男が中学時代に体験してきた中で、彼の中で“これはないんじゃないか”や“する意味があるのか”と疑問が浮かんだ行事は計り知れない。それを生徒に同じように思わせたくないため、必要のないものは処分すべきと意見を発するのだが、その根拠を知らない以上では面倒臭がっているようにしか見えず、それも、他の視点に変えてみれば、中学での大切な思い出ともいえる物事を一変させようとしている為、あまり教師としてはよいとは言えない。しかし、それを臆せずバンバン口にする勇気には、教育委員会を恐れ、風貌を革命的に変えた逞真を尊敬させた。

 そんな逞真も脳裏では“いや、そこにツッコんではお終いですよ、斉藤先生”などと彼を宥めている。


「まぁ、そこまで志向がいくとキリがないですからね。気軽にいきましょうか。」


 新城先生の言葉で会議は進行した。持ち前の思考能力で逞真も真剣に考えていく。


(保護者と共に・・・・・か。そもそも保護者は子供の頃この様に親と戯れる機会などあったのだろうか。待とう。観点を変えてみれば、親も親で唯一運動できるチャンスともいえる。昔のように無邪気に、ありのまま・・・・・・ができれば苦労しないのか。昔・・・・・・昔の遊び?いや、そこまで昔ではない。そう言えば、いまの親の年代は梅木先生か、斉藤先生あたり。若くて松田先生というところだ。よし、伺ってみるか。)


 そこまで考えが定着すると、逞真は口を開いた。


「あの、梅木先生、斉藤先生、松田先生あたりに質問があるんですけれど」

「なんですか?駿河先生。」

「先生方が子供の頃は、運動的な遊びと言えば、どのようなものがありましたか?」


 逞真のいいたいことを理解した新城先生は、クスッと笑いを堪える様に手を口元に当てた。


「なんだとぉ、この若造が!(笑)」


 次に反応したのはまたも斉藤先生だった。ノリが良くて、この人の出る会議はいつも明るくなる。

 逞真も勢いに乗って、フッと口角を上げ、わざとらしく否定した。


「いや、済みません。別に歳のことをどうこう言おうというわけではありませんが・・・・・」

「冗談冗談b」

「そうですねー・・・借り物競争?」

「あー、やりましたね。障害物競走とかも。」

「うわ、なっつかしいなぁ、ジュース一気飲みとか辛かった辛かった。」

「どーせ、駿河先生と新城先生は若いからこの懐かしさはわからないんですよっ。」


 すると片やギリ20代のイケメンと片や30代前半の童顔の二人はムッとして声を揃えた。


「「わかります。」」


 途端に、会議は順調に進むこととなった。


「そうだ、障害物競走いいですね!」

「流石駿河先生だ。考えが鋭い。」

「いえ、恐縮です。しかし、障害物とはいえ、どのようなものしましょうか。」

「多数の方がおもしろいですしね。まず先程に出たジュース一気飲み・・・・・・」

「ま、中学生だし認めるか。」

「そうですね。」

「ほかに障害物競走と言えば・・・・・パンくい?」

「パンくい・・・・ですか。まさか生のパンを括り付けませんよね?」

「まぁ、そこは袋だったりPTAに工夫してもらいましょう。」

「他は・・・・縄跳び?30回くらい跳んでゴールみたいな。」

「成程。しかし、あと1つくら増やすべきですかね。どうしましょう?」


 皆が考える中、卓球部顧問でもある梅木先生はピンときて発言した。


「いま卓球部でちょっと試みてることなんですが、ピンポン球をラケットに乗せて数m歩くというバランスゲームなんですが、それをスプーンでやるというのはどうですか?」

「おお!いいですね。では、その4つで、PTAに協力を。」

「そうですね。詳細はそちらに決めてもらいましょう。」

「では会議を終了いたします。」


 比較的早く進んだ会議だったが、やはり成功するかは誰も確信できなかった。





















 そして、親子レク当日となった。


 その日の6時間目、3年生は体育館を貸切にし、全面的に独占した。


 その日は保護者も結構来ていて、思いのほか、よいレクレーションが期待される。しかし、油断は禁物。最後の親子レクとなるのだから、気を引き締めようと、顔が突っ張る逞真だった。


「ハイ、今回も始まりました、親子レク~!!!!」

『イエ~イ♪』


 音楽の、声フェチ室川先生曰く、美声の熱血ボイスが体育館中に響き渡ると、生徒たちは大盛り上がりだ。


「司会は皆さんご存知の通りー?」

「え、誰だっけ??」

「ガクッ・・・・・それでも俺担任の生徒か!おら、3年2組!!」

「フツー、自分から紹介するもんだろ!」

「はよ進めろぉ!!」


 逆ギレの生徒と教師の言い争いを聴きながら、保護者達は笑っていた。


「失礼しました。司会は私、斉藤が進めさせていただきます。ではでは、ルール説明ですね。PTA役員会会長の谷口さん、お願いします。」


 そして谷口さんからルールの説明が入り、すぐにゲーム開始となった。


 







 開始直前、アドリブなのか、急にアナウンスが入った。


「ルール追加です。それぞれの組のアンカーには、担任の先生が加わってください。」

「「「え!?」」」


 梅木先生、斉藤先生、逞真が反応するのも無理はない。これも全てPTAのママさんたちの仕業・・・・・ではなくサプライズなのだから。


 とりあえず、アンカーの所定の位置に着く3名の先生。


 案の定、生徒たちは歓喜の渦に包まれていた。



「それでは、よーい・・・・・スタート!」


 その合図とともに、先頭の生徒は床に落ちいているカードを拾い始めた。そこに書かれた障害物の場所に行く。


 どんどん競技が進んでいく中で、都市伝説並みの噂がもうはや広まった。


 何でも、ジュースは美味しく味わいたい人にはラッキーなほどまでに美味しいらしいが、量は結構ある。縄跳びは重く、パンくい場所の中には、お菓子が含まれているらしい。ピンポンは見た目と同じく超難しいらしい。


 その噂を聞いて、先生方は張り切らないではいられない。


 準備運動をし始める梅木Tに何故か雄叫びし始める斉藤T。逞真だけ、平常心で体育座りをしていたが、3組のメンバーはそれを許さない。


「駿T!絶対勝ってよね!?」

「いや、頑張るが、今はこのままでいいだろう。」

「駄目!その緩い心でいつも負けるんだから!」


 そういっているうちに、アンカーとなった。


 3名の教員が位置に着く。


「では最終決戦。先生VS先生VS先生です!よーい・・・・・」


 身を構える。逞真も真剣な眼差しをカードに送った。


「スタート!」


 走り出した瞬間に、悲劇が起きた。


 ドンッ!


「なっ!?ちょっ・・・・・・」


 一瞬で逞真は理解できた。斉藤先生の罠にまんまと嵌ってしまったのだ。その背中は、斉藤先生の遊び心のままに押され、今にも顔面が床に着きそうだ。


 が、運動神経抜群の逞真はここが違う!


 反射神経で、ハンドスプリングするところが彼の凄いところだろう。斉藤先生も生徒たちもポカンとなっている。


「え・・・・・・え゛~!!!!?」

「今、物理法則無視する着地を・・・・・・・」


 しかし、その間に梅木先生はスピード勝ちでゴールしており、先程まで逞真のことを唖然と見つめていた斉藤先生も速さよりパンの多さを重視し、沢山のパンを頬張って手いっぱいに掴み駆けこんでいて結局のところビリとなってしまった。3組の生徒たちは案の定ブーイング。


「おい、逞真!悔しくないのかぁっ!?」

「そうだ、逞真!男なら立ち上がれ!!」


 保護者の前で、下の名前でのブーイングは彼にとっても初めてだった。今、この状況での笑いの中心はある意味逞真だ。


「悔しいよ、そりゃ!」

「お、駿Tスイッチオンだ!」

「キター☆」


 過去に封じ込めた熱血がこの時だけ復活してきたな・・・・・・と考えながら逞真はジャージを脱ぎ捨てた。Tシャツの袖をたくし上げ、首をゴキゴキ鳴らす。


「あ゛ー・・・・リトライお願いします。」


 一部の女子では”駿Tが壊れた・・・・・www”と言うことになっている。


 役員会会長は時計を見て、許可した。


「ハイ、ではもう一度やってもらいましょう!」

『イエ~イ!!!!』


 所定の位置に着き直し、今度は逞真も本気と見えて、クラウチングスタートだ。


「よ~い・・・・スタート!」


 今度は逞真が素早く動いて斉藤Tを押し倒し、ダッシュ。梅TVS駿Tだ。


 カードは二人ともジュース一気飲みだった為、ジュース置き場に。


 しかし!そこでトラブル発生。梅Tが炭酸飲料を選んでしまった。それには逞真の顔も綻ぶ。苦戦中の梅Tをよそに逞真はスポーツドリンクを飲み干し、ラストスパートを駆け出した。


 ________が。


「ちょっと待ちましょうよ、駿T。」


 梅Tの言葉に立ち止ってしまった。


「・・・・・はい?」


 そんな彼に3組は溜息の海。


「駿Tのバカ!梅Tにハマったら駄目じゃん!!」

「駿T罠です!逃げてぇ~!!」


 梅Tは炭酸飲料を飲みながら口説き始める。


「1つ考えてくださいよ。貴方はそんだけ若いのに私はこんなオジサン!ちょっとおかしくないです?」

「・・・・・・・」

「普通年上を助けてホントの教師でしょう!ね!?」


 逞真は恋愛ドラマの最高視聴率シーンで女をフるかのように悔やみながら俯いて、再び梅Tを見詰めた。


「クッ・・・・梅T・・・・・私は・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・」


















「いきます。」


 最後の言葉をアッサリと流し、ダッシュでゴールした。


『え~!!!!!!!!』


 次はそのフリ方にブーイングが始まり、逞真を困惑させた。


「梅T可哀そう!」

「助けろよ、逞真!!」

「どっちなんだよ・・・・・・」












 そんな親子レクは恐らく、成功に終わったのだろう。特に、最後の教師対決は、3年生の良き思い出になったのではないだろうか。(?)


 一方、保護者達の会話は_________


「この頃の先生方って、個性的よねぇ・・・・・」

「もう、見てて飽きないわ。」

「子供も、この環境に置けて安心だわ。のびのびしてる。」

「よかったわよね~・・・・・」









 そんなこと、知る由もない逞真であった。














さぁて、次回のサ○エさんは?

ではなく、34ismadeupofateacherは?


・大スクープ!?

・駿Tの目にも涙・・・・?

・駿河学級の新たな発展!!


次回もまた見てくださいね?

じゃんけんポン!

ウフフフフフwwwwww(←何を出したんだよとツッコんであげてください


以上、次回予告でした。

なんか・・・・・申し訳ありませんでした(^^;)


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