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第14話 謎の暗号大騒動★迷宮城の悲劇

 















 あまりにも唐突なことであり、また馬鹿らしくなってくるまでに出来過ぎた迷宮城に、防衛隊一同は驚きを通り越して呆れ果てた。


「なんだよ、この”悪のアジトですよ~ww”ってアピールしてる感は。」

「どう見たってここだろw」

「わかりやす・・・・」

「作った人どんだけ頭イカレてんだァ??」

「バカ!それ言っちゃダメ、紘一郎。(笑)」


 少し笑いに包まれたところで、再び意を決した。


「絶対ここに駿Tがいる。寧音も芽依子もタカギーもなべちゃんも。助けにいくぞっ!!」

「あぁっ!!」

「死なせねぇよ!?」

「必ず連れ戻すもん!!」

「またいつもの学校生活にするため!」


 皆は頷いて、足を一歩、乗り出した。その時、有川洵(ありかわじゅん)が、城の庭の片隅に置いてある物に気が付く。


「・・・・ん?なにあれ。」


 その言葉に皆が振り返る。


「あれって??」

「なんかデカくて黒いのあんじゃん。」

「まさかぁ~ww」


 笑いながらそこを見ると、さっきまでの笑顔が空洞になった。


「うっそ・・・・」


 黒くてデカい物体______それは、生徒たちの見慣れた車。


「うちの記憶でいくと、駿Tと同じ種類だよね?」

「ナンバーも同じだよ。俺、覚えてんもん。〈す〉は駿河のす。んで、先生の誕生日は12月16日。ほら、1216でしょ?」

「ホントだ。」


 妃那の問いに洵が答えると、皆が理解し、肯定した。


「駿T助けたら、乗せてもらおっか♪」

「だな!高級車だし、駿Tの運転だしっ!初体験じゃんか!!」

「ヘンなことに期待してるよな、うちら・・・(呆)」


 再び笑いながら、城の中に足を運ばせた。その瞬間_______


 ブーッ ブーッ 侵入者発見 侵入者発見


 機械の声が入ったと思うと、辺りは赤いランプの光に包まれた。


「え゛、なにこれ!?」

「マジかよ!?」


 一同はパニック状態。とにかく逃げまくった。

 ダッシュ、ダッシュ、ダッシュ・・・・・・

 しかしここは迷宮城。そう簡単に扉だの出られる場所は見つからなかった。


 







 その姿を、組織のメンバーはニヤッと笑いながらIpadで見ていた。


「やはり、つけていた奴らのことだ。楽しませてくれるな。」


 逞真からは死角で、それがまさか自分の生徒だなんて知る由もなかった。








 


 案の定、近くにいた組織の仲間と思わしき人等が追いかけてきた。


「うわっ、なんか来たし!」

「リア銃だよ、リア銃!」

「リア充・・・?」

「リアルに銃持ってるってこと!」

「まぎらわしーなぁ、もうっ!!」


 花帆と李杏が言い争っていると


「そんなこといまはどうでもいいってーのっ!!」


 と、賢吾に訂正された。とにかく、向こうは本物の銃らしい。そのものの音と弾が飛んできたのだから。

 しかし、案外当たらないものだ。走っているからか、向こうが下手なだけなのか・・・・。それにしても、一同はドヤ顔だ。


「ヘッ、体育館が使えるときは皆でドッジボールやってんだよ!その凄さ思いしればぁ~??」


 まるで担任のように血管を浮かばせ、追いかけてくる敵に、皆は馬鹿笑いした。


 しかし、決定的な弱点がその間にあった。北中3年3組のメンバーはこういう組織の本当の怖さを知らない。その時点で温度差があるのは確かだった。あちらは本気で任務を熟しているのに対して、こちらは遊び半分に逃げ回っているのだから。


 黒尽くめの奴らは何やらひそひそ話しては、無造作に壁のボタンを押し始めた。


「・・・・なにやってんだ?あれ・・・・」


 34人がそう思いながら走っていると、悲劇は起きた。


「うぎゃっ!?」

「わわわわわ~!!」

「実留、丈!!」


 実留と丈は床に空いた落とし穴にはまって落ちてしまった。一気に他のメンバーは青ざめる。


「そんな・・・・」

「どんな機能付きなんだよ、この城は!」

「なんか不利になってきてない?うちら。」

「そうだな。手分けするか。適当に分かれて逆方向の道に進んでこうぜ。」

「ああ!駿Tが見つかったら合流だ!!」

「よし、行こう!!」


 適当に分かれた3組メンバーはそれぞれの方向へと進む。


 キムが付いたのは勿論飼い主である拓嗣。また、はかせ君に花帆、波音に颯天、賢吾がいる。


「キム、駿Tの場所、覚えてんだろ!?」

「ワン!」

「タクローちゃん、どっちって??」

「えー・・・・真っ直ぐ前だってよ!」

「よし、行こう!!」


 しかし、敵の数は減らない。むしろ、人数が減った分危険になったかもしれない。他の皆はどうなんだろう?と6人は思っていた。








 しばらくの時が経過したとき、駿T救出防衛隊のメンバーはほとんど敵に捕まっていた。いや、訂正していえば、残っている仲間のために、敵を少なくして自らが犠牲になっていったのだ。


 残っているのは、先に書いたような人達、拓嗣・はかせ君・花帆・波音・颯天・賢吾、そしてキムのみだった。


 それでも敵は数十人はいる。


 銃弾は引っ切り無しに撃ってくるし、落とし穴などの仕掛けもどんどん出してくる。生き残っているのが不思議なくらいだ。でも、そろそろ限界だ。皆の足が疲れてきて遅くなってきた。その隙を狙って敵が足を狙って撃ってきた。


「危なッ!?」


 賢吾は持ち前のリアクションを発揮しつつ、覚悟を決めた顔をした。


「拓嗣、はかせ、花帆、波音、颯天。頑張れよ・・・・ホント。」

「ヘイ!?」

「今更何言ってんの!?」

「何止まってんのさ!早く、賢吾!!」


 賢吾は首を振って、良き友人であり、仲間である彼らに背を向けた。


 そして_____


「あいつらには・・・・・んで、駿Tには・・・・・指一本も触れさせねぇから。絶対に!!」


 そう叫んだかと思えば、賢吾はその拳を一人の敵の鳩尾に強く強く当てた。

 そして、その付近の連中に足を引っ掛け転ばせる。


「賢吾・・・・!」

「早く行け!」


 一同は頷いて、再び走った。でも、まだやってくる敵に次に動き出したのは花帆と波音だった。


「ねぇおっさん。モノマネしてもいい??」

「なんだコイツ。ナメてんのか!?」

「ショートコント・ドラえもん。」


 スルーしていこうとすると、波音が笑顔を絶やさぬまま、その腕を掴む。


「花帆のモノマネ、聞いて損はないですよ。おじさん。」


 律儀な口調で、笑顔も完璧ではあるが、ウラがあり、心底、快楽の欠片もなかった。


「のび太く~ん、駄目じゃないか、道具をあてにしたら。ってドラえもんは言うじゃないですか。」


 あ、似てる。と誰もが思うはず。花帆そのものの声が、もうドラえもんなのだから。


「でも~、そんなこと言ったら、なんでアンタは来たんだよって話じゃないですか!便利な道具使わせるためだろう!?って感じじゃない??」


 その間に、拓嗣と颯天とキムは遠ざかっていく。何故か熱心に聴いている組織の者達。


「それ、ガキのころ俺も思ってたんだよ。子供の夢や理想にはいいけど、大人が(つまりふじこえふふじおさん)が書いたって思うと、やけにメルヘンチックだと思うんだよなぁ。」

「ってかコレショートコントでなくてただの意見じゃん。」

「・・・・・・」


 その瞬間、我に返った組織のメンバーは花帆と波音を捕獲して、走り出した。







「はかせ君、ここの城について把握できるか!?」

「いささかだけど。・・・・僕らは同じ道を行き来してるって可能性も。」

「・・・・え。」


 拓嗣は驚愕し、キムの方を見る。


「でも正常に走ってるぜ?こいつ。」

「駿河先生も同じような状況に陥ってたんだよ。同じ道を通りながらどんどんどんどん・・・・・」

「でも、それじゃ効率悪いじゃんかよ!近道ねぇよかよ!?」

「僕に言われても・・・・」


 その時、後ろを振り向いたはかせ君はなにか発見したような表情を含ませる。


「どうした?」

「・・・・あの中に、地図をもった人がいますな。」

「じゃあ、それを取れば、近道がわかるかも!?」


 颯天の言葉にはかせ君は頷く。


「僕が取ってきます。」

「でも、それって捕まりに行くようなもんじゃねぇか!」

「構わないよ。それで、駿河先生を助けることができるなら、僕は____」


 フッと笑い、はかせ君が敵に近付く。見掛けによらない瞬発力で敵の目を誤魔化し、スッと地図を取った。


「拓嗣君、これを!」


 地図を拓嗣のほうに思い切り投げて、それをきに捕獲された。拓嗣は惜しみながらその地図を受け取る。


「なんだ、本当に近道あるじゃん。颯天、細道ない?」

「ん、あ!左左!!凄い細いけど・・・・・」


 確かにその場所は近道であったが、中学生として平均的な体格の拓嗣には狭すぎて入れなかった。しかし、小柄な颯天と細い体のキムなら入ることができた。


 拓嗣は、颯天に地図を渡し、キムの首輪を取った。


「クゥ~ン・・・・・」

「いいか、キム。颯天を駿Tのとこまで最後まで案内するんだぞ。必ず。命令だぞ。」

「たくろ・・・・・」

「俺はこの道ずっと走ってあいつら引き付けるから。ま、奴らもこんだけ狭くちゃ入れないだろうけどね。んじゃあな!」

「またね・・・・。」


 二人はガッツして、それぞれの方向へ向かった。












 案の定、颯天とキムのもとに敵は誰一人と来なかった。


「よかったね☆キムぅ!」

「オン。」


 出口に出ると、そこには数人の大人が一方向に集まっていた。無論、その中には探し続けていた担任・駿河逞真がいたわけだ。口は解放されていたが、手首は束縛され、敵の手元にあった。


(先生・・・・!!)


 叫ぼうかと思ったが、それでは今までの苦労が水の泡になってしまうと悟り、颯天はあちらから見えない様に角から見つめた。


 何やら一人の男が話しているらしい。その内容は、颯天にも十分聞こえた。


「最後にもう一度だけ聞く。本当に暗号は解けていないのだな?」


 逞真は微笑、いや、苦笑も含んだ笑みを浮かべている。


「たとえ解けていたとしても私は口にしないだろうよ。」

「くだらない見栄を張るもんだねェ。」


 大人びた女性が嘲笑うかのように言った。


「空しいもんだよ。それが最期の言葉となるかもしれないってのに。」

「私は貴方たちのいう事など絶対に聞かない。こんな残念な組織に会うだなんて、私も流石に呆れたよ。」

「それ以上調子に乗って喋ると、また口を縛りあげるぞ、教師。」


 逞真は物思いに俯いた。


(彼らは、何故俺の口を解放させたのだろうか。そのまま束縛しても変わらないはず。これが、そちらの誤りだとすれば、これを上手く活用できないものか・・・・・)



 そう思っていると、殺気が急に襲ってきた。頭上には拳銃が振り翳されている。


「制限以内に解けなかったから、殺す。わかったな?」


 逞真は身動きができない。それを見ていた颯天は一気に青褪めた。


(どうしよう・・・?駿Tが、殺されちゃう!僕の・・・・目の前で・・・・)


 足が竦んでしまった。それもそうだろう。今まで平和な日常を過ごしていたのに、いきなりこんなドラマのような空気の中に包まれて、大切な人が殺害されようとしているのだから。


 突きつけられた拳銃に指の力が籠る。







バキュン_________!!

























「______駿・・・・・・・T・・・・・・・・?」


























え・・・・まさか・・・?

その結末は次回・・・・!!

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