第13話 謎の暗号大騒動★駿T救出防衛隊!
意識を取り戻した逞真の視線のその先は_____
「・・・・・ん、ぐ・・・・・」
「・・・あら、起きたみたいよ。秀才先生サン・・・・。」
暗い空間に大人びた女声の声がする。それと、この音は車の中なのであろう。逞真は記憶を辿って思い出した。
怪しい人たちと腹部に感じた痛み。
恐らくそのあとこの車に入れられたのだろう。自分自身の口に布の感触がしたのと、手足の束縛感がして、逞真は眉根を寄せた。
「う゛ッ、うぅ・・・・ぐ・・・・・」
「もがいても無駄。何かすればその時点で殺すわ。」
すると隣に腰かけていた黒いスーツとサングラスを纏った男が彼の頭部に銃をあてがった。
逞真は黙りこみ、思考回路を働かせた。
(これが、あの暗号の最期になることならば・・・・・・)
チラリと隣や手前の人物を見る。
(幸い目が使える。なるべく場を把握し、記憶に残っている暗号を暗算するしかない。俺は・・・・死ぬわけにはいかないんだ・・・。)
しばらくの間車に乗っていたが、逞真が心内でニヤッと笑ったのは何回かすらわからない。
次の日、逞真は当然学校に来なかった。
「おっはよぉございヤ~ス!!ってアレ?駿Tは??」
職員室の逞真の席はガランとしている。
「おはよう、賢吾。うん・・駿河先生今日遅いよね。」
「え、さいとー先生知らされてないんすか!?」
「勿論。他の先生方もかな。」
「なんだよ、せっかく珍しく日誌取りに来たのに~!!あ、取ってきますね♪」
「おうっ。」
賢吾が職員室を出た後、斉藤先生は不審に思って逞真に電話を掛けた。
しかし、留守電にしか繋がらない。
「駄目ですか?」
「はい。ヘンですねぇ・・・・駿河先生が遅刻することなんて有り得ないですし。」
「どうしたんでしょうかね・・・?」
2年生担当の先生方は首を傾げた。
「諸君ッ!聞いておくれぃ?」
賢吾が日誌を教卓にバシバシ叩きながら叫んだ。
「なしたぁ??賢吾ォ。」
「駿Tがまだ来てないんだ。おかしくない?カンペキ主義の駿Tなのに遅刻なんて。」
「確かに。なんか会議でもあんじゃねぇの?」
「えーっ、こんな朝っぱらから?」
ん~・・・・と唸りが上がる3組の教室。その中に急いだ様子の畝川真志が入ってくる。
「ねぇ、もしかして駿T学校きてなかったりする?」
ポーカーフェイスの真志は息が上がるだけで表情は変わらない。
「だそうだよ。どうかしたの?真志。」
「それが・・・・怪しい黒ピカリする車が通り掛かってさ。なんだあれ?って思って中の人見たら、口縛られてる駿Tらしき男の人が見えて。」
「ウッソーン!?」
「こんなことに嘘ついてどうするのさ・・・。俺の家結構遠くだろ?なのにいたってことは昨日からだったりするのかな?」
「あ、確かに昨日の部活駿T来なかったよ。」
「じゃあ・・・・まさかの誘拐!?」
「駿Tが何のために!?」
はかせ君は独自のメガネをクイッと上げた。
「ズバリ考えました。デスレターの被害者は駿河先生ですな。」
「え、なんで??」
「根拠はないけど、駿河先生はどこかでデスレターをひろい、制限内に解けなかったため、誘拐されたのかもと。」
「な~る!」
「どうするよ!?駿Tが死んじゃったら!!」
「そんな縁起でもないこと考えんなよ!!」
「落ち着け皆!よし、3組会議だっ!」
3組一同は円になって座る。
「どうしたらいいか案がある奴!?」
「助けに行くっきゃないっしょ!」
「助けに行くったって手がかりがないんじゃ・・・・」
すると、クラス一逞しい男の中の男・佐藤拓嗣がニッと笑った。
「そのことなら大丈夫だ。俺、手があるんだよね。」
「ホント!?拓嗣!んじゃ、明日から土日・・・・部活休んで皆で探しにいきますかっ!」
『お~!!』
と、ノリで拳を天井にあげた瞬間、副担の新城先生が扉を開けた。
「・・・・え?どうした、なんかあった?」
「いえいえ、別に。それより新城先生、駿Tは?」
「ううん。まだ連絡が入ってないみたいだよ。それまでの3組の担任は僕だから。」
「ハーイ!」
その日の放課後いや、夜遅く。ギリギリ学校の鍵が開いているとき、こっそりと先生方にばれないように入ってきたのは拓嗣だった。
その足元には自分ちで飼っているハスキー犬・キムがいる。
「ウゥ・・・・」
「キム、シーだぞ。少しの辛抱だから。」
そういう拓嗣の後ろをしっぽを振りながらキムがついていく。
「教頭先生は見回りの時間だからいないし・・・・よし、ラッキー♪他の先生も帰ったみたい。キム、ついといで。」
職員室に忍び込み、そして自分の担任の机に向かう。
「これこれ。」
逞真のジャケットを掴みとる。
「駿Tは急用ができてそのまんま出ていったらしいから道具はそのままだったんだってよ。都合いいな。ほれ、キム。この匂いを覚えるんだ。忘れちゃ駄目だよ。」
キムはくんくんジャケットの匂いを嗅いでコクンと頷いた。
「よしっ、覚えたな。んじゃ、教頭が来る前に帰ろうぜ。」
そのままコソコソと学校を出ていく一人と一匹の犬であった。
翌日、地元の子供にとっては親しみ深い北公園に3年3組一同は集結した。
「よしっ、全員集まったなー。」
「駿Tのためだもん。当然皆休まないもんね!」
「ウォウウォウ!」
「キム!シーッ!!」
「うわ、何この犬!ちょーかわいい~♡」
「拓嗣とこのキムだろ?こいつ優秀な番犬なんだぜ~?」
「確か血統書ついてなかった?」
「うん。」
「すご~い!さわってもいい??」
「いいよ。3組の皆は噛まないようにしつけといたし。」
女子たちはキムを撫でまくった。
「拓嗣、ちゃんと駿Tの匂い覚えさせてくれたんだろ?」
「ノープロブレムだよ。しっかりと覚えてるはずだから。」
「よし!じゃ、行きますか♪」
「駿T救出防衛隊出動!」
『お~!!』
「って、いつ決めたんだよその名前!!」
笑いに包まれたところで自転車を走らせる。キムもその先を駆けていった。
一方、逞真を乗せた黒の車は、遠く後ろのほうの気配に最早気づく。
「・・・・つけられてる。」
「!」
逞真はその会話が気になったが、振り向いたりしたら今にも撃たれそうだったため、じっとしていた。
「おい、捕まえてこい。」
「あぁ。」
「手配させたほうがいいよな。仲間呼んでくる。」
二人くらいいなくなったと思うと、殺気とともに不安感が彼に襲いかかってきた。
(何だ・・・・この気持ちは・・・・・まさか、生徒たちに何かあったんじゃ・・・・・)
しかし、今の自分では何をしようが無力だと、悔いりながらも押し黙った。
あっという間に日が暮れようとしていた。
「一回休憩にしようぜ。」
「そうだね。」
「もしかして・・・今日は野宿なわけ?」
「もち。まだ中学生だし宿はないでしょ?一応道具持ってきたんだからいいじゃんか。」
「うぅ・・・お風呂・・・・・・」
リッチで成金の江道洸は自分の髪をふわっと撫でて不満そうな顔をした。
「一回入っただけじゃ死にゃしないだろ!」
「でも~!!」
そう争っているうちに、場をよく把握できる奈緒が殺気立った表情を向けた。
「シッ!誰かが・・・・近づいてくる。」
「通りすがりの人じゃねぇの?」
「違う。こんな雰囲気じゃないもん。危険、だよ・・・・」
3組一同は真に受けて、再び円になった。
「ひとまずここは手分けして逃げよう。キムは拓嗣チームにつけて。」
「OK」
「あ、そうだ。なべちゃん、芽依子、寧音、タカギーに、ちょっと相談があるんだけど・・・・」
「え、なになに?」
4人にひそひそ話をする賢吾。
「え~!やだやだそんなの!」
「シッ!頼むよ、皆の命がかかってんだよ。」
「俺、こいつといなきゃいけないの?」
「だって男女で一番背ぇ高いのタカギーと芽依子なんだもん。」
「そんな・・・・こいつ、学校一の怪力持つんだぜ・・・?」
タカギーは芽依子に肩をベシン!と叩かれた。
「なべちゃんはいいだろう?」
「アタシは全然かまわないわよん♡」
「んじゃ、よろしくな!みんな、別れていくぞ!」
「いえっさーb」
タカギーと芽依子は顔を見合わせて溜息を吐く。
「寧音ぇ~高木といんのヤダ~!寧音とがいい~!!」
「ドンマイっ!こっちはこっちで頑張るから、そっちも頑張れ!」
他人事のように言って寧音は去っていった。
なべちゃんもルンルン気分で逆方向へ行く。
「高木、私服持ってんでしょうね!?」
「そりゃ持ってきてるよ。お前こそは?」
「勿論この中に・・・・・」
芽依子は鞄をあさって青ざめた。
「ごめん、二日だけだから私服忘れちゃった。ごめ~ん♡」
「へいへい・・・・」
皆が動き出すころには日はとうに暮れていた。暗い中、例の組織とその仲間が3組メンバーを探していると、二人の人影が現れた。
「裕人ぉ~ん♡キスしてぇ~ん♡」
「やだなぁ芽依子。こんな人がいるところでそんなことできるわけないじゃないかー。」
正しく恋人_____に見せかけている見た目は大人、頭脳は中学生。紛れもないタカギーと芽依子であった。タカギーは私服。芽依子は仕方ないためジャージの上を脱ぎ、下も短パンという姿になった。辺りは暗いため、北中ジャージとはわかりにくく、しかも女子バレー部なため、白ティーではなく黒ティーを纏っていたから都合がよい。
本当はこんな演技したくはなかったが、先に賢吾が言っていたように二人は一番背が高く、大人とも見間違えるようだから、時間を稼ぐにはもってこいだったのだ。
組織の人等を妨げるように道を塞ぐ。
「ほら、邪魔になってるじゃないか、芽依子。」
「そんなぁ、人目気にし過ぎ。たか・・・裕人ぉ♡」
流石の組織のメンバーも舌打ちしたくなるようなウザさ。
「あの・・・・すみません。」
「はぁい??」
「道をあけていただけないでしょうか・・・・?」
「えぇん、今じゃないとダメぇ??これから二人でぇ・・・・」
「芽依子っ。誰か探しているんですか?よかったら一緒に探しましょう。」
「いえ、結構です。」
組織の人は少し手荒に道を通った。
タカギーと芽依子はギリッと歯を喰いしばる。
「高木、やっぱこのやり方じゃ駄目じゃん。」
「そうだな。効率悪すぎ。」
ひそひそ声で背後の人を見て話す。
「1人より2人。2人より3人。寧音んとこ行こう!」
「あぁ。でもなべ氏は?」
「なべは一人でも大丈夫だって。ってかあれは一人じゃないとできないし。」
「それもそうだ。」
二人は頷いて、寧音のいるゴミステーション地域のほうへ急いだ。
3組メンバーの100mくらい後ろにはなべちゃんがいた。半径100m以内に人を見かけたら時間を稼げとのことであった。
案の定、怪しい軍団を見つけた。なべちゃんはにんまり笑い、彼らに近づく。
「・・・・!君は、あの中にいる奴ではないか!」
「まるで自殺行為・・・。何しに来た?」
なべちゃんの表情は変わんない。そのまま組織の男に抱き着いた。
「うっふ~ん♡私と一緒に来てぇ~ん♡」
「うわ、男が気持ち悪い!!」
そう、なべちゃんの性別は男。名も渡辺星太というれっきとした男そのものである。しかし、性格はそこらの女子より乙女・・・・いわゆるオネェ系男子なのである。
「なによ、失礼しちゃうわ。アタシのことが気に入らないってユーのっ!?」
「いや、気に入るも何も・・・・」
「んまッ、アタシ・・・怒っちゃうんだから。アナタたち・・・・地獄に堕ちればいいんだわ!」
指をボキボキ鳴らしたかと思うと、組織の男たちをボコボコにし始めた。性格とは真逆に、体格がジャイアン並みだから、勝負にも向いている。
3組メンバーはというと・・・・
「この音はなべちゃんの!急ごう!敵はすぐそこだよ。」
「うん。」
「奈緒の言った通りだったな。」
「感謝だわ、感謝!」
「キム、次は!?」
「オン!」
「右だとよ!」
「よし、イッソゲ~!!」
みたいなことになっており、なべちゃんの活躍が目に見えていた。
一方、芽依子たちは寧音と合流していた。
「芽依子!高木!」
「そっち大丈夫だった!?」
「全然。気配すらないしね。」
「やっぱゴミステーション付近は来ないのかぁ??」
その時、寧音がフッと構える。途端に辺りは黒尽くめに染まった。
「なっ、さっきいた邪魔な恋人ではないか!」
「邪魔ってなんだよ!失礼だなっ!」
「そうよ、芽依子死ぬほどの想いでコイツと頑張ったんだからね!」
「どうでもいいが、とにかくターゲット。ここで殺るしかない。」
一気に組織の奴らが襲いかかってきた。
3人はゴミステーションの大きな粗大ごみをあさる。
「賢吾、頭いいよな♪」
「こんな下らないことだけにね!」
「どうする?三段攻撃する?」
「だね。丁度バレー部なんだし。・・・・よし、高木!アンタレシーブ!!寧音はいつも通りトス。芽依子がアタックするから!」
「あいよ。」
「OK!」
さっきあさった粗大ごみをタカギーがレシーブし、寧音がトス・・・・そして芽依子がジャンプして彼らにアタックした。
それは大当たり。一気に数人が粗大ごみの生き埋めとなった。
だが、それには限りがあった。粗大ごみの量が少ない。直ちになくなってしまった。
「高木!もうないの!?」
「ねぇよ!」
その隙をついて襲ってくる。寧音はキッと表情を変え、そして_______
バシッ!
みぞおちにグーパンチした。空手道の心得がある寧音は、こういうことに有利でさっき選ばれたのだ。
「芽依子!何やってんの!?その怪力、今が使い時だよ!」
「え、使っていいの?駿Tには散々秘めてていいから使うな!って言われてたのに。」
「命がかかってんだ!ったりめーじゃん!!」
芽依子は頷いて、寧音の隣で構えた。
「芽依子の居場所・3組。芽依子を救ってくれた駿T!そして皆・・・!ゼッタイにここは通さない!!」
チームに分かれていたものが合流したころ・・・・
「・・・未だに4人帰ってこない。もしかして、捕まっちゃったのかな・・・?」
「そんな!どうするの!?4人も助けなきゃ!!」
「そのためにも!駿Tの場所探すしかねぇだろ!?」
「そっか。きっと同じ場所に連れてかれるだろうしね。」
「うん。だからめげずにやろうよ!!」
「そうだね!」
「ワン!ワンワン!!」
キムが吠えだした。その先を見てみると、そこには大きな迷宮のような城が待ち構えていた・・・・・。
お久しぶりです、wokaguraです☆
更新が遅れてしまい、心からお詫びします。
さて、そのお城には駿T、いるんでしょうか・・・・・?
次回もよろしくお願いします☆




