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第12話 謎の暗号大騒動★予想外な事件







 しかし、逞真が拾ったその暗号は物凄く難易度の高いものだった。


「・・・・一体なんだ?この暗号は。どこをどうすれば解ける。」


 流石の逞真でも、不可能に近い。解き始めて何時間も経っていないが、早くも息詰まりを感じでいた。


「3日以内に解ける自信は極めて少ないな・・・・。それにしても、”時間が経っていくにつれて関係者が被害にあっていく”とあったが・・・・」


 部屋のドアを開けて、萌の姿を静かに見つめる。


「関係者、か。萌に何も異常はないし、生徒からも何も連絡がない。やはり、嘘だったのかな。」

「え、何か言った?」

「いや、なんでもないよ。」


 きょとんとする萌の顔を見て、逞真は微笑んだ。











 2日目。この日も何も異変はなく、普段通り学校へ通勤していく時刻となった。


「行ってらっしゃい、逞真。」

「あぁ。」


 その時、不意に萌が腕を掴んできた。


「?どうした。」

「う、ううん。なんか・・・誰かに見られてる気がして・・・・」

「なんだと?」


 辺りを見渡してみる。


「だれもいる気配がないが・・・、大丈夫か?」

「う、うん。」


 気を取り直して車に乗ろうとする。萌の腕が離れ、扉を開けた瞬間____



「きゃっ!」

「お、おい。」


 萌が急に転びそうになり、逞真のほうに倒れてきたのだ。逞真はしっかりと萌を抱き締め、そのまま運転席に腰かけた。


「本当に、大丈夫なのか?萌。」

「うん、本当だよ。でも・・・誰かに足を掛けられた気がして、転びそうになっちゃった。ごめん。」

「そうか?妊娠中なんだ、もっと体に気を付けてくれよ。」

「うん。ありがとうね。」


 萌の様子に少し心配になりながらも、車のエンジンを掛けた。















 学校で、自分のパソコンを開いてみる。


「・・・ハッ?」


 思わず声を出してしまった。隣の斉藤先生がビックリして振り向いてくる。


「どうかしました?駿河先生が珍しい。」

「あ、すみません。少し予想外のことで心が混乱してただけです。」

「え?何があったんですか。」

「えー・・・それはですねぇ・・・・」


 首を傾げて斉藤先生は画面を覗いた。


「・・・わぁ。」

「ですよね。」


 逞真のパソコンの画面は、全体的に歪んでいて、マウスを動かしても、直接動かしても反応しなかった。


「ウイルスにかかったんじゃないですか?」

「そうかもしれませんね。松田先生、どうにかできませんかね?」


 技術家庭の先生(松田先生)に振り向くと、松田先生は逞真のパソコンの画面を見て、苦笑していた。


「いやぁ~・・・流石の私もこりゃ~・・・・」

「わかりました。修理にまわしますね。」

「駿河先生・・・・許してちょんまげ♡」

『ブフッ』


 その席にいた一同はそのしらけさに笑いをこらえることはできなかった。


「あれぇ?最近暑いはずなのに急に寒くなったなぁ。」


 梅木先生のボケで、なんとかフォロー成功。


 それにしても、逞真のパソコンは理不尽な壊れ方だった。昨日までは正常だったものが、ウイルスで果たしてここまでなるのだろうか?













 その、帰宅時のことである。いつものように部活が終わり、部員全員の帰りを待ち、残業を終わらせ、校外に出る。


 すると、あまりにも意外なこと過ぎて、足を止めてしまう。


 逞真の車だけが、どこにも見当たらなかった。














 車だ。他の教師が盗んだりすることはできない。そもそも車のキーは自分で持っている。


 だとすれば、考えられるのは部外者が合いカギをつくり持って行ったか、何かで運んだか・・・・・どちらにせよ高度な技術がいることだ。


 生半可な人では真似できない。


 そう考えていくと、逞真はあることに気づいた。


 これまでにあったことは、偶然にしては結構出来過ぎていた。


 萌の様子、パソコンが壊れる、車が盗まれる・・・・ここまでくると、何故かあの暗号が関わっているんじゃないかと思ってしまう。


 だが、これは生徒で考えた悪戯のはず。逞真は妙に思った。


(明日、クラスで訊いてみることにするか・・・・・)


 この日の帰り道は、歩きとなってしまった逞真であった。














 3日目。今日の夕暮れ頃に本当であれば、死ぬ予定である。死ぬ予定というのも変な言い方だが、正しいのかもしれない。


 逞真は暗号の紙を見ながら思い溜息を吐いた。そして教室に入る。


「今日は朝読書の時間を省略してくれ。話したいことがあるんだ。」


 生徒の皆は首を傾げた。


「一体なんですか?駿T。」

「また先生みたいな不審者?」

「私みたいなのは余計だ。話に戻る。違うことなんだ。じつは・・・・デスレターというものは知っているか?」

「駿T~、それもうみんな知ってヤス。」

「勝と崚介の悪戯でしょ?」

「そうだ。・・・だが、それがまた再び現れた。誰とは言わないが、被害に遭っている者もいる。心当たりはないか?」


 生徒は顔を見合わせた。


「え?え?」

「別にオレもう何もしてないんだけど。」

「無実でぇ~す。」

「ってかそんなのホントにあったんだ。」


「わかった。もう結構だ。・・・・そうか。生徒の中にいなくてよかったが、気を付けてくれ。本当にあるらしいからな。」

『はぁ~い☆』


 生徒にはそう言ったが、真面目に妙に思っていた。本当に存在したのかと。


 




 職員室で、逞真はもう一度暗号の紙を見た。


 本物なら、今日の夕方に、死ぬ。解けそうにない暗号。出したくないのに冷や汗が出てくる。


 PRRRR・・・・・


「もしもし。はい、はい。あ、駿河先生ですね。」


 その言葉に振り向く。


「駿河先生、お電話です。妹さんの大学から。」

「だ、大学?」


 逞真は首を傾げて受話器を耳に傾けた。


「はい、お電話代わりました。駿河です。」

『駿河聖奈のお兄さんですか?』

「はい。そうですが、妹が何か・・・・?」


 逞真はその内容を聞いて、目を見張った。


「ハァッ!?階段から落ちた!?」


 職員室中が逞真に注目する。逞真はそれに気づき、少しボリュームを落とした。


「え、じゃあとにかくすぐ向かうので、そこにいろと伝えてください。では切りますので。失礼します。」


 ガチャ


「駿河先生、急用ですか?」

「あ、はい。部活は自主練にしておくようにお伝えくださいますか?」

「わかりました。気を付けてくださいね。」

「ありがとうございます。」


 すぐさま逞真は出ていった。車がないため、走るしかない。逞真はここから7キロくらいある大学まで久々に全速力で走った。







 バンッ!!


 大学の保健室を探し当て、勢いよく扉を開ける。


「あ、駿河さんですか?」

「はぁ・・・はぁ・・・はい。聖奈は・・・?」


 この大学の医学部らしき人が微笑む。


「そこにいますよ。聖奈ー、お兄さんが来たよー。」

「うえっ!?」


 無邪気な声がする。ひとまず胸を撫で下ろした逞真。

 ベットの上で聖奈はあぐらをかいていた。


「おい、どういうことだ?聖奈。」


 聖奈はポリポリと頬を掻いた。


「だから連絡しないでいいって言ったのに~。」

「何言ってるんだお前は。」

「何してるんだお前は!」


 口調を真似され、逞真は聖奈にデコピンした。


「なんだと?」

「部活はどうしたんだよ駿河先生よぅ!!」

「こんな連絡くらって行くはずがないだろう。お前のほうが部活より何より大切なん___」


 そこまでノリで言い掛け、逞真は咳払いした。


「失礼。それで?足はどうなっている。」

「ただのねんざだって。ね、そうでしょ?」

「ん~・・・・あとちょっと酷かったら骨折してた・・・」

「ウソォ!?」

「おいおいおい・・・・」


 逞真も呆れ顔。


「大丈夫なのか?痛くない?」

「そりゃ痛いわ。ここの階段何段あると思ってんの。」

「はぁ・・・・空元気ってやつか・・・・。で?」


 聖奈は首を80度くらいまで傾けて


「でぇ??」


 ととぼけた。


「馬鹿。どうして階段から落ちたのか訊いてるんだよ。」

「まるで自殺未遂のように言わないでよね!誰かに突き落とされたのっ階段の上から。」

「誰か?」

「そう。だって後ろからだったんだもん。わかんないよ。」

「それもそうか。」

「ゼミを出て、帰ろうと思ったのね。そして階段下りようとしたら後ろからバンって。」

「心当たりはないのか?」

「ぜーんぜん。見たときに後ろ誰もいなかったし。でも学生じゃないと思う。今日はたくさんの人が出入りしてたから。」

「そう、か・・・・」


 逞真はまた沈黙した。これも、もしや暗号のせいではないかと。


「お前、どうするつもりだ?」

「どうするって・・・帰りたいんだけど。このあと授業ないし。」

「ところで歩けるのか?」

「うん!バッチこ____」


 と、足を伸ばしたその矢先・・・・・・


「いってぇぇぇ!!!」


 尋常じゃない痛さにその場にヘタッと倒れてしまった。


「やはりな。その足では歩けないだろう。」

「どうすりゃいいのよぉ~!!」

「・・・・・はぁ。」













「よいしょ。」


 結局その帰り道は、逞真が聖奈を背負って帰ることとなった。


 そとはもう夕方で、綺麗な夕日に二人の横顔が照らされた。


「兄ちゃん、車じゃないの?」

「言っただろう、盗まれたって。」

「・・・そ。大変ですね。」

「心配してくれてありがとうよ。」


 少し沈黙が生まれて、不意に聖奈は逞真の首をギュッと絞めつけるように腕をまわした。


「ぐっ、苦しい。もっと優しく掴まってくれ。」

「はは。」

「何だよ急に、不気味。」

「なんかさー、兄ちゃんにおんぶされんの久し振りじゃんって思って。」

「え、まぁ確かに。」

「昔だったらさー、こんなムクッチーじゃなかったし楽しかったのに。」

「負ぶさるのに楽しいもあるか?」

「・・・もっ!クール&鈍感・・・・」



 そういえば10年ぶりくらいか、としみじみ思う。そうなると、だんだん昔とは違うように思えてきた。逞真自身も、聖奈も。


 そう、聖奈も。逞真の腰から見える白く細く、美しくなった腿も、背中で感じる温かい弾力も、昔は存在しなかった。女というものは、いつの間にかこんなにも変わるんだと逞真は今更気づいた。


「お前も成長したな。」


 そんなことを呟くと、聖奈は横から顔を覗かせてきた。


「はい??」

「いや、重くなったなぁと思ってな。」


 聖奈はムッとして耳元で叫んだ。


「どういう意味じゃコンニャク~!!!」













 聖奈の家(元自分の家)に着き、逞真は妹をソファの上に下した。


「どーもっ!」

「済まなかったな、聖奈。」

「え、謝るのこっちじゃないんすかぁ?」


 逞真は不意に嘲笑した。


「今のきょとんとした感じ、うちの生徒みたいだ。」

「なに?中学生みたいだとぉ!?」

「お前はもともと精神年齢大学生じゃないから。高校・・・いややっぱり中学生だな。」

「やっぱり馬鹿にしてんじゃん!!」


「先ほどのは忘れてくれ。」

「?ま、いっか。」




 聖奈に見送られ、逞真は再び学校のほうへ足を進ませた。


(聖奈にまで被害が起きるとは・・・。こうなると、本気でアレを解かなければな。)


 その時、突然黒く大きな車がこちらに向かってくる。不思議に思って眉根を寄せると、中からやはり黒いスーツをまとった人が出てきた。


「・・・あの、どちら様ですか?」


 少し警戒気味に言うと、答えてもらう隙もなく、横腹に衝撃をくらった。目の前が暗くなる。今思えばのことだが、それはスタンガンだった・・・・。







駿T!!おいおい、こりゃ学園ストーリーじゃないのかよ?いきなり黒に染まっちまったじゃねーかよ!って思いましたよね。

だって・・・最後のスタンガンってなんでしょう?ww

でも、とにかく・・・

次回もよろしくお願いします☆

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