第11話 謎の暗号大騒動★デスレター
謎の暗号大騒動の開幕です☆
中体連も終わり、6月下旬になった頃・・・・・
「先生、ちょっと。」
「なんだ?」
ホームルームを終えたばかりの教室で逞真に呼びかけたのは、神路勝だった。その隣には稲田崚介がいる。
「放課後、相談があるんですけど。」
その二人の顔は、ためらいがちであった。
放課後になり、逞真は二人を教室に入れた。
「それで、一体なんだ、相談とは。」
彼らは顔を見合わせて決心したように頷いた。
「先生は、デスレターってご存知ですか?」
「・・・デスレター?」
直訳して、死の手紙。なんとも不気味な表現に、逞真は不審な気分になった。
「知らないな。また達の悪いネット上での噂か?」
「違います!こんなのネットでなんか広まったらどんなことになるか・・・・」
「は?」
「実物見ればわかります!」
「な、実物持っているのか。」
「えぇ。」
リュックの中から出された一枚の紙を、受け取ってみる。中身を開いてみると、逞真は眉根を寄せた。
「”この暗号を解かなければお前の関係者もろとも被害が起きる。また、5日以内に解かなければ、死ぬ。免れたければ、暗号を解け。”か。よくあるチェーンメールを似せたものだが・・・・結構コッているな。誰かに渡せとは書いていないし、死ぬ期間が早い。」
「駿T、慣れてるんですか?」
「まぁ、こんな様なやつはたくさん見てきたからな。よく以前の生徒からも相談を受けたよ。だが、ほっとけば誰も死ななかった。ただの悪戯だよ。」
そう面倒そうに言うと、二人は首を振った。
「「そんなことありません!!」」
息が揃って、勝と崚介はハイタッチした。
「そこまで言える根拠があるのか?」
「はい!!俺は、2日くらい前からちゃんと起きたんです。」
必死に言うのは勝。
「例えば?」
「・・・・家族が、何かしら怪我するんです。毎日一回は。それも、普段では絶対ありえないような感じで怪我するんです。」
「意図的に、か。」
「そうです。あと、俺犬飼ってるじゃないですか。その犬も、やっぱり意図的に逃がされたんです。切ったかのような直線状の跡が、リードについていて。」
「それは災難だったな。・・・しかし、まだそれもこの手紙のせいだとは考え着かない。」
今度は崚介が口を開く。
「だったら俺のほうも聞いてください!俺は・・・」
指で数え始める。
「大体3個くらいあるんですけど。」
「言ってみろ。」
「・・・・最近俺の自転車が壊れたじゃないっすか。先生も知ってますよね。」
「それはな。」
「その時は詳しく言いませんでしたけど、酷い壊れ方だったんです。どう見ても人がやったような・・・・絶対、風とかの影響じゃないと思うんです。」
「そのせいで、今崚介は毎回歩きと。家から5kmくらい離れているのにな。」
「はい・・・。」
「2つ目は?」
「家のものが盗まれました。」
それには逞真も流石に真に受ける。
「俺の野球の賞状だとか、妹のランドセル・・・お金には困んないものなんですけど、実際地味に困ってるんです。」
「そうか。まだ良かったが・・・・3つ目は?」
「パソコンが、一定の場面しか開かなくなりました。どんなにクリックしても、動かないんです。あ、パソコンにもともと付属していたワードとかゲームとかはできるんですよ。それを父さんが詳しく見てみたら、誰かが俺ん家のパソコンを選出して意図的にウイルスバスターに掛けたって。これはデスレターが関係してるんじゃないかって不気味に思って、だから駿Tにぃ・・・・」
「なるほど。」
逞真は重い溜息を吐いた。
「そうなると、なんだかこれが関わっているように思えるな。大体いつこれが渡され、被害が起きたんだ?」
「う~んとぉ・・約3日くらい前ですかね。もらったのは。」
「だね。本屋さんに二人で立ち寄って、会計待ってた時ですよ。前の人のポケットからこれが落ちて。しかも、俺たちを狙ったかのように。開いてみるとこれです。はい。」
「3日・・・・つまりあと2日でお前らは死ぬ、という設定だな。それはヤバいな。」
「先生、数学的なこと得意じゃないスか。だから・・・ネ♡」
逞真は眉を寄せ気味に笑って二人を見た。
「いいだろう。少し時間をくれ。」
「「わかりました。」」
また二人の息が合うと、ハイタッチした。
(まったく、のん気なものだ。)
それから逞真は家で暗号を解き始めた。
暗号に描かれているのは、今から言うようなものだ。
犬、キリン、大根のように思われる野菜、制服、亀の甲。それらの上には2という数字。
逞真は頭を軽く使い、解いていく。
(こんな単純な暗号・・・・。ただそれぞれの頭の2文字を読めばいいだけのこと。ただ、犬だけは英語に直さなくてはならないようだがな。)
そして、解き終えると、逞真はゆっくり溜息を吐いた。
「さて、解いたぞ。どうするつもりだ?」
誰もいない部屋の中で、逞真は呟くのだった。
翌日、逞真は少々怒りを含め、彼らにデスレターを返した。怒り目?何故?
それは・・・・二人の表情をみれば明確だった。
「・・・どうするつもりだ?」
何故それを二人に向けて言うのか、それもすべて二人の表情に出ている。
勝と崚介はニマニマして手紙を受け取った。
「やっぱり先生なら解いてくれると思いましたよ。」
「・・・・・」
「「ドッキリ大成功!!」」
逞真は額に血管を浮きだたせる。
みなさんも考えてみよう。あの文字を2文字ずつ読むと”ドッキリ大成功”となるのだ。
「何のつもりだ?まさか、昨日のことは演出だったのか?」
「ハイ♡」
「ふざけるな!」
教室中に逞真の声が響き渡り、注目される。
「ま~た二人でなんかしたんでしょ~?」
「演技上手いからなぁ、神路と稲田。」
「そ。これは俺たちの悪戯の中の悪戯なんです☆」
「まったく、お前たちが死ぬと思うと、どれだけ寿命が縮んだと思ってるんだ?」
「ごめんなさい!!」
教室中は笑いに包まれた。まぁ、これはいいのだが、なにかまだ終わっていないような雰囲気が逞真を襲ったのだ。
その日の帰宅時、逞真は見てみたい本があり、本屋に立ち寄った。
ぺらぺらと用のある本をめくり、ちょっとばかり立ち読みをし、本を閉じた。そして帰ろうと出口に足を進ませる。
その時だ。
ドンッ!・・・・パサッ
「あ、すみません。」
図体のデカい男にぶつかった。それとともに男のポケットから一枚の紙が落ちる。気にしないかのように男は去っていった。
逞真はその男を見詰め、その紙を取る。
(人が落としたものを、むやみに見るのもではないが・・・・)
あまりにもわざとらしく当たってきたようで、半分腹黒い思いが逞真の中で芽生えた。
中を開いて、内容を見てみる。それは手紙のようだった。
(・・・なんだこれは。)
再び男の去っていったほうに振り返る。
(生徒ではなかったのは確かだ。しかし・・・・)
内容に少し呆れる。こう書かれてあった。
”これを拾った者は、3日以内に描かれている暗号を解かないと、死ぬ。他人に渡せば、その時点で渡した本人と、渡されたものを殺す。また、時間が経つにつれて関係者が被害にあっていく。”
(またデスレターか。するとあの男は生徒の父親か何かか?・・・それにしても今回はもっとこった内容だな。)
これも、生徒の可愛い悪戯だと、逞真は受け取ることにした。
それを陰で見ていた例の男が、暗い笑みを浮かべ、誰かに電話をかけているなんて、逞真は知る由もなかった。
まさか、この行為が最悪な悲劇を起こすことになるだなんて・・・・・
なんでしょうね、最後のためは。
次回もどうぞよろしくお願いします☆




