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 山の奥、

 森のさらに奧。

 だれも足を踏み入れない、木々や草花が生い茂り、動物達の住んでいる場所のもっと奧、そこに、精霊達の住処があった。

 聞こえてくる鳥の声。

 それが止むと、

 森のざわめき、

 風、

 木漏れ日、

 生物の姿はどこにもいないのに、音が溢れていた。

 森の声がした。

 自然達が歌っていた。

 流れる川の水、清い清い水、朽ちた倒木、苔、大きな木、岩、大きな岩。

 遙か太古の昔からそこにいたのだろう、生きている、自然は生きている。

 大きなムカデの翅の生えた虫が飛び、大きなコガネムシのような虫が木に登り、光る蝶が飛び、七色に輝く魚が川を跳びはね、大きな角と体を持った鹿達が道なき道を駆けてゆく。ふわわ、ふわわ、と風船のようなふわふわしたモノ達が空を漂う。

 風が吹き、

 葉が揺れる。

 ここは精霊達の森。

 そこに二人の子供がいた。十歳くらいの男の子と女の子だ。

 男の子は、手からツタをのばして、ツタからツタを渡り、森の木々の間を縦横無尽に跳ね回っていた。短い鹿のような角。茶色いくせ毛の髪の毛、緑の瞳。

 シュルルルル、シュルルル。

 背の高い大きな木の上を飛び越えて森の上に飛びでた。

 良い天気。

「ヒャッホーウ!」

 一方の女の子はというと、白銀の髪の毛におかっぱ頭、深く青い瞳、羽衣を纏っている。森を歩くでもなく、宙を浮かんでいた。薄桃色の布を腕にかけて、それがぷかぷかと揺れている。

 川の水をひと掬い。

 水をうっとりと眺めてから、ふーと一息、息をふきかけると、水が消え、代わりに、川のそばに色とりどりの花々が咲き乱れた。小さな妖精が着るようなドレス姿の花が咲いている。

「あなたたち、綺麗ね」

 花達が君もだよと応えている。

「ありがとね」

 と嬉しそうに女の子は微笑んだ。

 後ろからガザゴソと音がした。

 


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