【序】ひっど……
昔話をしよう。
スマホが当たり前になりはじめた頃の、昔話を――
◆
大阪府某市内。とある市立中学校に、今日も朝が来た。
登校した生徒たちが、次々に校門をくぐり、校舎に、そして教室に入っていく。
生徒たちの朝の過ごし方は様々。友達と喋る、本を読む、歩く、走る、踊る、フォウ!
……流行りのダンスか。びっくりした~。
で、慌てて宿題をやっている生徒もいる。マネをしてはいけない。前の日、寝るまでに済ませておこう。
そして、ここは新1年生たちが過ごす階。
その廊下に、男子生徒が1人。窓の外を見て、顔色を変えた。
「”ヤツ”が来た!」
”それ”は、隣の少年と親しげに話しながら、正門をくぐった。校舎に入り、靴を履き替え、階段を上がってくる。
「会敵まで10秒、総員目を逸らせ!」
”それ”と目が合ったら、終わり。生徒たちは一斉に目を逸らす。
「……5秒前。4、3、2……」
階段から”それ”が現れた時、誰もそちらを見ていなかった。不自然なくらいに。
……あぁ~、体育の集団行動って、こんなとこで役に立つんだな。
――こんなのが俺の日常だ。だから、
「んん~……何やこのクソゲーは~ !?」
「現実」
「一言で片付けんなや……!」
今日はついに、横の親友Tと、こんな話になった。
窓の外を、白い揚羽蝶が1羽、ふらふら飛んでいくのが見えた。
早く人間になりたい。人間だもの……
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【追記】
・【前編】より話数分割しました
(2025/05/03)
・一部修正しました
(2025/05/25)