目覚めの時
「けいたん一緒に学校行くにょりーん。にょんにょんにょりん。にょりにょり。んにょんにょ、にょっにょ」
俺はニヤりとして
「お前ちょっとにょりにょり言い過ぎー」
ニョリコの背中をベーーーン叩いた。
「ヘコーーーーツ」
ニョリコの開いた頭蓋から脳しょうがザバーとアスファルトにぶちまけられ、脳ミソスベリンコ。
ブラシでカーリング。ゴシゴシ脳みそは思ったよりスベラないニョ。
ニョリコ頭蓋をカパカパさせて片目だけパチくりさせている。
「脳みそが抜けてなんか変な感じニョリンコ」
俺はアスファルトのニョリコの脳みそペロペーロ。
「お味噌汁を食べたいニョリンコー」
「それをナメナメられたら閃きそうだニョリリーン」
ニョリコワレに顔面飛びヒザゲリン。ワレの目の前に火花がニョリンコ。
後ろに振りムキとニョリコは俺の前にニンニン。
「ニンポー後ろ前のニョリンコ」
ニョリコはシコをふみふみ自分の生皮を全身タイツの様にヌギヌギ、ジンタイ標本アゲハニョリンチョフ。
オンナニョコはキンニクが少ないにょ「トホホ」と言ってワレコウフンセリ。
今度は外れたキンニクポトポト焼きニョリて、ニョリコは血と骨とモツと管だけのニョリンパ。
「どんなニョリコになってもニョリコカワイスなあ、俺のニョリコは」
「タヒ児からやってニョるバレーを披露するニョリン。けいたんそこで刮目するニョリン(3回ょ」
ニョリコはつま先立ちでくるくるくるくるにょ。
「にょりにょりりーん」
キンニク無ヒのになんで動けニョリンリン?ワレ感心ニョリ。
ニョリコの垂れ腸、遠心力で解ケ、ニョリコの周りにクルクルまきマキ。
「おダイカン様ーやめてくだされーョ」と言い出すニョリコン。
「いやいやそれは逆ニョリン、解くカタニヨシ」とニョリコにつっこムョ。
ワレ焼肉グリルをジサンセリ。
「ニョリコのホルモン焼きが食べたいニョリンコ」とニョリコにウインクして合図シス。
ニョリコのマナ板胸で上手にできるもん。垂れモツをサバト、一口大に切ってくれたニョリ。
グリルを天に置きファイアードラ4。まな板からホルモンをコロがし乗せていくナリ。
ヨイヨーイ。良い感じでニョリコのホルモンが焼けてきた。良い匂いがして来たぞ。だが肝心の焼肉のタレが無いようだ。
「よし学校を襲撃して、職員室の焼肉のたれをゲットするぞニョリコ」
「了解ニョリン、ケイターン」
ニョリコはどこかに飛んでった。俺も走ってついて行った。
俺の日常というのはきっとこんな感じだったのであろう。
この世界はもうとっくにおかしくなっているようで、昼か夜なのか空が上か下かも良くわからなかった。
「この世界は天地無用だニョリン」とニョリコが言うと、
俺は可笑しくなってきて、笑っているのだが何で笑っているのかすぐにわからなくなった。
ニョリコが三人も、四人もいた気もするし、もしかしてニョリコなんて最初からどこにも居なかったのではないかと思った。
「胸が苦しい。恋的なのではなくて」と言うと俺は自分を見ていた。実は苦しんでいるのではないかと思い始めるのだった。
「ああ苦しい。地獄だ」喘ぐ俺。
俺自身が俺の耳元で囁いた。
「この世界にいるのは危険だ俺」
俺はこの世界の住人ではないニョリンポ?
「そうだよ」
あまりにも長い間ここにいたようなので、もう自分が何者なのか全然思い出せないニョリン。
「耳をすませてカントリーロード」
クラシックのような音楽が流れている。隣の部屋から聞こえるような小さくこもった音だ。
この世界で流れている音楽ではないと気づく。
もしかすると、この音楽に集中すればこのニョリコ世界から出られるかもしれない。
目を閉じて音楽に集中する。少しずつだが俺の意識はクリアになっていった。
ニョリコの世界ではありませんようにと祈りながら、恐る恐る目を開ける。
見たいような見たくないような。
思い切って目を見開き周りを見る。頭がくらくらとする。視界は少しぼやけているがあの狂った世界ではない。
角が無いとても狭い部屋に居た。部屋の中ではクラシックが流れ続けている。
俺は椅子に座っている。下を見ると俺は裸で、一物には尿道カテーテルのような管が入っていて、腹の横にも少し太いチューブが繋がっている。
よく見ると俺の体には色んなチューブが差し込まれている。
手首と足首には枷がはまっている。俺は病気だったんだろうか?だが、それならベッドではなく何で座っている状態なんだろうか。
正面斜め上には24インチくらいのモニター、俺が座っている椅子の周りは医療機器のような物がたくさん置いてある。部屋が狭く感じるのは機器で埋め尽くされてるからだ。
天井はかなりの数の折り畳まれたアームがあり、先にいろんな種類のアタッチメントが付いていた。
モニターが明るくなり、両側にあるスピーカーから声がする。
「お目覚めになられましたかケイタン。私はケイタンの健康を管理している人工知能のニョリコですニョリン」
「ニョリコ?」
画面には、先程まで俺と異常な世界で何か良く分からない事をしていたニョリコがモニターに映っている。
ピンクのツインテ、知的な眼差しにいたずらっぽい表情。間違いない。
俺は急に気持ちが悪くなり吐き気がしてくる。
「ニョリコはもうたくさんだ」
ニ、三回えずき、涙が出て来る。胃の中は空だから何も上がっては来ない。
「ニョリコじゃない別のAIに変えられないのか?」
「デフォルトのタロウ、ハナコがありますが、どちらが宜しいでしょうかニョリン?」
「タロウにしてくれ早く。もうニョリコは二度と出てくんな」
「そんな寂しいですニョリン。本当にいいんですかニョリン?」
「再確認すんなニョリコ」
「はいケイタン。さよならニョリンコ」
ニョリコは寂しげに画面から去って行き、モニターの中にはタロウと思われるキャラの上半身が現れた。
「おっす。俺タロウ」
また夢を見てるような気分になったが、明らかに向こうの話し方がおかしいという結論に至った。
「なんでそんな話し方なのかな?」
俺は優しく問いかけてみる。タロウは何も返答しなかった。
「まあいい。ニョリコというのは何だタロウ?」
「今更なに言ってんだケイタよお。お前の好きな美少女キャラのニョリコちゃんだろ?」
随分久しぶりに腹が立つという感情が甦ってくる。なんなんだ、この馴れ馴れしいAIは。
「お前は俺の友達か何かなのか?」
「ケイタ様がお友達モードを選択されているので、フレンドリーな感じで会話をさせていただいてます」
タロウは真面目口調になった。
何で俺はそんなモードを選択したんだろうか。全く記憶に無い。
「おいタロウ。全部設定はデフォルトに戻してくれ」
「承知しましたケイタ様」
「俺の悪夢にはいつもニョリコがいた。なぜだかわかるか?」
モニターに「ニョリコと一緒」というタイトルのパッケージが表示される。
「ケイタ様は長い眠りにつくときにニョリコと夢の中で暮らしていくことを選択したのです。エピソードは一万三千で止まっています。製作者と有志の方々は皆亡くなりました。寝ている方々が素敵な夢を見てもらえるように、一生懸命ニョリコと一緒を制作していたという事です」
「あの悪夢は制作された物なのか?俺を苦しめる為に作られた?」
「いえ、あれはケイタ様を管理している装置に予期せぬシステム障害が起こった為です。ケイタ様の脳波が乱れ、何年も元の状態には戻りませんでした。我々は審議して、このままだと重大な脳障害を起こすと結論づけ、強引にシステムからケイタ様を切り離したのです。ケイタ様が現実に戻ってくる可能性は低かったのですが、無事に戻って来られて我々も安堵しております。ケイタ様の以前の記憶はほとんど消えてしまいました。予定通りであれば、ケイタ様の体のチューブは外され、ここを出ていける状態で目覚めていたはずです」
俺はモニターのタロウの特徴の無い顔をじっと見ていた。
直ぐに聞きたかった事ではあったが、俺は怖くて躊躇していた。
「ここはどこだ?なんで俺はここにいる?そして眠りについてからどのくらいの時間が経ったんだ?」