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8ページ目:母と血縁

短いです。かなり。

キリが悪かったのでここで区切りました。

「危なかった...」

「女の子としての尊厳が失われるとこだった?」

「それは多分結構早い段階で失われてるから無問題(モーマンタイ)。」

「待って、無問題は伝わってんの?謝謝(シェイシェイ)は伝わってないのに?なんで?」


 知るかそんなこと。

 私たちって言うよりかは創った側のあんたたちの問題でしょうが。


「あれ?そういえば、そもそもこの世界に母国語とか、他言語みたいな概念ってあるの?」

「...?」

「...その感じだとないみたいだね。じゃあ無問題ってどういう扱い?」


 どういう扱いと言われても...


「えっと...『問題ない』って言葉の別の言い方、みたいな、感じ...だと思います。」

「自信なくなりすぎ。同音異義語ならぬ異音同義語って感じ?」

「はぁ...そんなことより早く話を始めましょう?」


 雑談に興じる私たちにため息混じりに声をかけたのはサリアさん。

 そんなサリアさんの隣には私のお母さんも困った様に微笑んではいるが何も言わずに鎮座している。


 大熊を倒した後、質問タイムのためにと場所を変えることになった私たちはティオに抱えられて街に戻ってきていた。

 跳躍の着地点はサリアさんを誘い込んだ路地裏。

 軽く辺りを見回して、特に騒ぎになっていないことを確認して、3人で私の部屋に向かった。

 そこが一番安全で安心出来るから、とティオに言われたから私の部屋で質問タイムを迎えることになったのだが、その際にティオが、


「ノルのお母さんにも話を聞こう。」


 なんて言うものだからお母さんも交えて話をすることになったのだ。

 私とティオが並んで私のベッドに、サリアさんとお母さんは私たちと向かい合って、酒場から持ってきた椅子に腰掛けている。

 いや〜、ほんとに危なかった。

 なんとかティオとサリアさんがお母さんを呼びに行っているうちに部屋を片付けられたから良かったものの、もしありのままの部屋をサリアさんに見られていたらお説教コースだった。


「ノルちゃん、そのことは後で話をするからね。」

「ひゃい!?」


 バレてたらしい。

 うーん、やっぱサリアさんに隠し事は出来ないな。

 どころか心まで読まれてるし。


「え、何。どしたの?」

「なんでもない...さっさと始めて...」


 急に肩を落とした私に首を傾げるティオに、質問タイムとやらを始めるよう促すと、ティオは少しだけ眉をひそめて、その後すぐに切り替えて笑顔を浮かべて、仕切り直すようにパンと手を打った。


「それじゃ質問の時間としましょう。こちらとそちらで交互に質問してくって感じで良いですか?」

「ええ、構わないわ。」

「は、はい。私もそれでいいです。」


 お母さんは剣呑な雰囲気のサリアさんとティオを前にして少し緊張しているみたいだ。

 まあ気持ちは分かる。

 私も正直あんまり話せそうにない。


「じゃあまずはそちらからどうぞ。」


 ティオがそう言って、サリアさんはゆっくりと口を開いた。


「分かりました...それでは、」


 サリアさんはどうやらもう質問することは決めていたようで、考える素振りも見せず言葉を続ける。


「あなたは、本当に《朱の英雄》なんですか?」

「そうだよ。」


 ティオは間髪入れず誤魔化しもせずに、そう答えてあっけらかんと笑った。

 それを聞いたサリアさんは、数瞬目を見開いた後、薄く目を瞑って短く息を吐いた。


「信じるか信じないかはあなた次第、だけど...それが質問?」

「はい、ひとまずは。」

「そんじゃ次は僕の番だね。」


 ティオはチラリとこちらを見やって、続けた。


「『血縁』について、知ってることを全部教えて。」


 いきなり核心をつくような質問。

 息を呑む2人を前に、ティオは変わらず挑戦的な笑みを浮かべた。


「...長くなってしまいますよ。」

「いーよ。」

「しかし...」


 そう言ってサリアさんは横目でお母さんを盗み見た。

 お母さんは顔を青くして私の目を覗き込んでいたが、そんなサリアさんの様子に気がついて力なく笑った。


「大丈夫よ、サリア。私も──」

「?」


 ん?

 今、お母さん、こっちを見たような...?


「近いうちに話そうと思ってたから。」


 そう言うお母さんの目には覚悟と言うよりかは不安とか、恐怖に近いような色が滲み出ている。


「...わかった。でもニア、大筋は私が話すわよ。」

「ええ、お願い。」


 サリアさんとお母さんはただそうとだけ会話をして、私たちに向き直った。

 ティオは顎に手を添えて何かを考え込んでいたが、そのことに気がついて目をそちらに向け、聞き手の姿勢をとる。


「それなら、あなたの質問については私から話させてもらうわ。構わないわね?」

「ん?ぁあ、うん。お願いします。」


 コホンと咳払いをするサリアさん。

 サリアさんが話始めようと口を開いたところで、しかしティオは、突然納得がいったと言わんばかりに手を打って、


「ああ!ニアってノルのお母さんの名前か!」


 と言い放った。


 .......


「「「はぁ?!」」」

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