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●分かりやすい形で注目を浴びた彼らにふさわしい、「ポピュラリティ」と「完成度の高さ」を兼ね備えたアルバム。
【収録曲】
1.ワタリドリ
2.Boo!
3.ワンテンポ遅れたMonster ain't dead
4.Famous Day
5.Adventure
6.can't explain
7.Buzz Off (Interlude)
8.Oblivion
9.Leaving Grapefruits
10.Dracula La
11.Droshky!
12.Dog 3
13.Run Away
14.Coming Summer
メジャーデビューを果たし、[Champagne]からバンド名を変更して初となる[Alexandros]のアルバム(改名はメジャーデビューとは直接関係の無い諸事情によるものですが)。今作も前作のように『Adventure』や『Leaving Grapefruits』といったメランコリックな雰囲気の曲も収録されているものの、全体的に見ると明るくなったような印象を受けました。例えば、『ワタリドリ』に関して言うと、曲調こそ前作に収録されていた『Starrrrrrr』に似ていますが、歌詞は非常に前向きで、曲としてかなりポップな面に振り切ったように感じられます。
また、今作は「ポップでキャッチーな『ワタリドリ』で幕を開け、『Boo!』から『Famous Day』までは手数の多いフレーズで攻撃的な姿勢を見せ、『Adventure』から『Leaving Grapefruits』まではインストを挟みつつメロディアスで比較的落ち着いた楽曲を、『Dracula La』から『Dog 3』まではノリの良いロックチューンを並べ、最後から2曲目には「橋渡し」のような感じでセンチメンタルな4つ打ちナンバーの『Run Away』を配置し、最後はバラードの『Coming Summer』で締める」という風に、分かりやすくかつよく練られた構成になっているように思えます。それゆえに、『ワンテンポ遅れたMonster ain't dead』ではBメロで異様な早口になったり、『Dracula La』では非常にキレのあるサウンドを聴かせたり、『Coming Summer』ではストリングスを取り入れて壮大な雰囲気を演出したりと、曲ごとに様々な「インパクト」を取り入れながらも互いに喧嘩している印象は受けず、一つの作品としての「まとまり」というものを実感することができました。
ある種の「セルフタイトル」となっている本作ですが、「メジャーデビュー」と「改名」という分かりやすい形で当時注目を浴びた彼らにふさわしい、「ポピュラリティ」と「完成度の高さ」を兼ね備えたアルバムになっているのではないでしょうか。
評価:★★★★★