表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/55

カブ太 2

 魔王に捕まって数日が過ぎた。

 どういうつもりか分からんが、魔王は魚の魔石を喰わねぇようだ。身ばっかり食ってやがる。

 雑魚はいらねぇって余裕かよ。


 こっちは少しでも魔力の器をデカくしなけりゃ死んじまう。

 魚如きじゃ小さ過ぎて、大した足しには何ねぇが、無ぇよりマシだ。有り難く頂戴しようじゃねぇか。


◇◇◇


 魔王は今のところ、浜をウロウロしてるだけで、まだ大人しくしてやがる。

 何やってんのか詳しくは分からねぇが、武器を作ってやがるようだ。


 そして俺はと言えば、奴の肩に造られた死刑台に乗せられている。いつでも殺せるって事かよ。

 魔王の怖いところは、肉体的、魔力的なダメージに飽き足らず、こうやって精神的にも追い詰めてくる事だ。


 舐めんなよ俺を。これくらいじゃ甲族の頭は折れねぇんだよ。

 いつでもこの首くれてやる。死刑台がなんぼのもんじゃい!乗ってやろうじゃねぇか。


 強がってはいても、一日中、魔王の肩に造られた死刑台に乗せられ、魔力を浴び続けりゃ、流石の俺も夕方にはダウン寸前だ。自慢のツノが痙攣してピクピク動いちまう。

 カカァ、俺はまだ生きてるぞ。


 何としても生き延びて、帰るからな。


◇◇◇


 さらに数日が経つと、魔王はいつものように死刑台に俺を乗せ、あろう事か地龍の巣にちょっかいをかけ始めた。

 コイツは本物の魔王だ。地龍を倒せる自信がねぇ限り、こんな事は出来ねぇ。コイツは地龍を何とも思っちゃいねぇんだ。


「(カブ太、下に水あるかな?)」

「(ピコ、ピコ)グアッ!てめぇ俺を巻き込むんじゃねぇ!」


「(降りてみるしか無いかな〜、絶対降りたく無いよね)」

「(ピコピコッ)ウゲェッ、これ以上魔力を巣に流し込むな!」


 マザーを殺った次は、地龍まで狙ってんのか。

 聖域を本気で取りにきてやがるな。


◇◇◇


 地龍にちょっかいをかけたと思ったら、やっぱり先に豚を片付けるようだ。また、豚野郎のテリトリーで堂々と寝やがった。

 そしてこうも馬鹿にされ続けりゃ、豚野郎が出てくるのは当然だ。


「(フッフッ)哀れよの、甲の」

「(ブンッブンッ)やんのか豚野郎!」


「(カブ太、ちょっと静かにして。刺激しないで)」

「(ブーーーン!ブーーーン!)ググ、魔王邪魔すんな。ふざけんなよ豚野郎!我が子を喰い殺された怨み!てめぇはぶっ殺す!」


「(ブフーーーッ!)纏めて喰らってくれるわ!」


 クソッ、魔王め。何しやがる!

 こんな時に飛べないようにしやがった。このままじゃ、殺されちまうだろうが!

 離しやがれ!


 糸を引きちぎろうと、何度も飛んではみるが、魔王の糸は柔じゃねぇ。

 魔王が何考えてるのか分からねぇが、グズグズやってる間に、まともに豚野郎の突進を喰らっちまった。


「(カブ太、大丈夫か!)」

「(ブーーーン!)グエェ!今は俺じゃねぇだろうが。こんな時まで、魔力を流すな!豚と戦いやがれ!」


 豚野郎が突っ込んで来て、絶体絶命かと覚悟したが、魔王が糸を出すと、豚野郎がすっ転んだ。

 あーこりゃ決まったな。

 豚野郎の負けだ。


「(ゴフゥッゴフゥッ)ヌガァァ!魔力を直接流し込んでくるだと!」


 魔王は豚を転ばせると、糸を体内に入れやがった。

 あの膨大な魔力を体内に直接だ!

 考えただけで恐ろしい。こんな残虐な殺し方を平然と行いやがる。

 魔王に強がって逆らうのも限界かも知れねぇな。こんな死に方はしたくねぇ。


「(ピィギャー!ピィギャー!)殺してくれ、せめて楽にしてくれ!」


 エゲツないぜ。魔力で限界まで魔石にダメージを与え、最後は血で窒息死かよ。


「(カブ太、勘弁してくれよ。喧嘩売るにも相手を見ないと。こんなデカイのダメだって)」

「(ブゥーン)グゥエェー、頼む、俺は殺さねぇでくれ!」


 逃げようと羽ばたいてみれば魔王が糸を長くした。

 チャンスだ!

 今のうちに魔石を喰うんだ。それしか、俺の生きる道はねぇ!


 豚野郎!てめぇには怨みしかねぇが、あの最後には同情するぜ。

 俺の魔力になって成仏しな!


 俺は豚の魔石に貪りついた。


 豚の魔石は今まで喰った魔石の中で一番デカかった。伊達に聖域の四強じゃねぇってか。


 しかし、これで俺の魔力量も一気に上がったはずだ。


◇◇◇


 豚野郎を倒して数日が経った頃、魔王が信じられねぇ責め苦を考え付きやがった。

 豚野郎の毛皮を詰めた檻に俺を入れようって魂胆だ。

 あの死様を思い出し、震えて眠れという事か。


 そいつは、あまりにも残虐過ぎるぜ。


「(カブ太、どっちが良い?)」


 ウゲェ、そして魔力を流してきやがる。

 思わずツノが震え、檻を突き飛ばしちまった。


「(気に入らなかった?)」

「(ピコピコッ)ウグッ、すまねぇ。あんたには逆らわねぇから勘弁してくれ」


 魔王は、俺が檻を突き飛ばすと、直ぐに魔力を流し込んで来やがった。二連撃は効くぜ。

 しかし、気が逸れたのか、豚野郎の檻に入れられずには済んだ。


 勘弁してくれ。いつまでこんな脅えた生活を続けリャ良いんだ。カカァ、俺は頑張ってるぞ。絶対、生きて戻るからな。


◇◇◇


 豚野郎の魔石を喰らい、大幅に上がった魔力量に馴染んで来た頃、久しぶりに強烈な攻撃を魔王が仕掛けてきた。


「(カブ太、やっぱり遊びが要るんだよ。)」

「(ピコピコッ)グハッ!突然の大魔力!」


「(だろっ!大物釣ろう!大物!)」

「(ピコピコッピコピコッ!)ウゲェェェ!強烈過ぎる。それ以上はヤバい!魔石が砕ける!」


 ひと通り、呪禁を唱え終わると、死刑台に乗せられ、海へきた。いつもの魚取りとは違うようだ。


 もしかして魔王は海竜を狙ってるんじゃ無いのか?

 マザー、豚野郎ときて、地龍にもちょっかいをかけてやがった。そして海竜か。

 四強全てが獲物って訳か。


 しかし、海竜は無理だろうな。奴は陸には上がってこねぇ。そのかわり、海中じゃ無敵だがな。


◇◇◇


 最近、魔王の攻撃が激しくなってきやがった。

 二連撃どころか、三連撃、下手したら四連撃もある。俺の魔力量が上がった事が、完全に把握されてるようだ。


 強者は魔力感知が下手だとか出来ないってのが相場だが、魔王は特別らしい。

 何でぇ。そんなの無敵じゃねぇか。


 そう愚痴を溢していたら、すかさず三連撃をくれやがった。


「(カブ太、粘土がある場所わからないかな?)」

「(ピコピコッ、ピコ、ピコピコッ)オヴェッ!すまねぇ、あんたの事を悪く言うつもりはねぇ」


「(粘土探すのと、漆喰作ってみるのどっちが良い?粘土?)」

「(ピコピコッ)ハァッハァッ、魔石を守らねば」


「(漆喰?)」

「(ピコ)グエェ……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ