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005 道具作り

 また暗い時間に起きる。

 寝るのが早過ぎるせいだ。


 昨日のような、得体の知れない物音は無いが、一度考え始めると、どうにも不安になる。


 不安なままだと、どんどんと恐怖心が増していくため、無理矢理にでも今後の予定を考えていく。


 今日は食料確保とナイフ作り、出来れば戦えるような武器も欲しいところだ。あと火が欲しい。


 ナイフは貝殻で作るとして、武器を考える。


 良さそうなのは、距離を取れる槍だと思う。


 あの足跡がお化けヤドカリだとすれば、打撃系の棍棒もしくは石斧の用な物が作れればバッチリだ。


 それからナイフなんか持ち歩くために紐が欲しい。

 紐が有れば、弓切り式で火も起こせるだろう。

 シェルターの入口もしっかり固定できるし、槍や石斧にしても固定に必要不可欠だ。

 何より釣りも出来るかもしれない。


 こう考えていくと、今一番必要なものは紐かもしれない等と考えていたところで、外が僅かに明るくなり始めた。


 うまく作業の順番は決める事が出来なかったが、とりあえず、水汲みと海岸探索を始める。


 崖を降りて、直ぐに昨日置いていた水を飲む。

 なんだろう、とにかく水が美味い。


 水汲みを終え、水の入った貝殻は十個程に増えていた。これだけ有れば、丸一日は持つし、節約すれば二日は大丈夫だろう。


 水の問題が解決してるので、食糧を探す。


 砂浜端の磯で昨日同様、貝を集める。


 ふと高い位置から海面を除くと、かなり魚影が濃い。リーフの切間、水深五メートルくらいの所に五十センチくらいの魚がウヨウヨしている。


 恐らくメジナ系だと思う。


 針と糸があれば、まともなご飯にありつけるのだが、無いものねだりをしても仕方がないと、諦めてシェルター下に戻る。


 昨日、生の貝や海藻を食べても何の問題も無かったので今日は多めに取ってきた。

 早速、殻を割った側から食べていく。

 ちゃんと殻を割る用に、砂のついていない洗った石を準備済みだ。


 全部食べても物足りないが、やる事は山積みのため、次の行動を開始する。


 結局、槍を作る事にした。

 あの魚を見た後では、どうにか捕まえたくなった。槍で有ればモリにも使えるし護身用の武器にもなる。一石二鳥では無いかと考えた。


 まずは木材探し。


 海岸は水汲みついでに、チェックしていたが、槍に使えそうな木は見当たらなかった。


 シェルター下の雑木林に入っていくと、手頃な木が数種類見つかったが、どれも強度的には不安が残る。

 しかし、ある物で作るしか無いので、取り敢えず全部持って雑木林から出てきた。


 本当は貝殻か石を削って穂先を作りたかったが、そんな手間暇かけてられないので、とりあえず、一番堅そうな木材を二メートルくらいに折って、先を削るだけにした。


 何も道具が無いので、作業は遅々として進まなかったが、ゴリゴリと棒の先を岩に押しつけて、どうにかこうにか、ただ先を尖らせただけの鉛筆みたいな槍が出来上がった。


 とりあえず、槍(仮)として満足する。これから改良していけば良い。


 次は何としても紐が欲しい。


 ふと芭蕉の葉が繊維質だった事を思い出し、葉をむしってみた。薄く割いてみたり、こそぎ取ってみた物の、細いボロボロの繊維が取れるだけで、とても紐として使えそうな繊維を取る事は出来なかった。

 多分、これ沢山集めて撚り糸にしないと無理そう。


 仕方なく諦めて、水汲みと貝取をこなす。

 相棒に槍を持って行ったが、貝が持てなくなるので、帰りは脇に挟むしか無く、ただただ邪魔だった。


 早いところ紐が欲しい。

 紐さえあれば、網を作っても良いし、槍も背中にかつげるのに。


 食事を済ませると、シェルター前でひたすら貝殻ナイフを研ぐ。

 かなり嫌気が差してきたが、まだなんとなくナイフの形ができた程度。

 

 明日には終わらせたい。


 それから欲しいものが増えた。


 靴か、その代わりになる草鞋が欲しい。

 砂浜は良いが、磯が痛くてほとんど歩けない。

 足裏に数カ所、刺し傷が出来てしまった。


 あまりにも尖った部分は石で棘を慣らしたりもしたが、全然、行動範囲が広がらない。

 琉球石灰岩は本当に剣山としか思えない。

 まー勝手に琉球石灰岩と呼んでいるが、ここは沖縄じゃ無いんだろうなぁ〜とか思いつつ、暗くなったので、今日もガサガサの枯草布団に寝転がり、すぐに寝てしまった。

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