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040 小屋作り

 八十八日目。

 目覚めると少し肌寒い。

 空は曇天で、朝食時には雨が降ってきた。


 先に雨水枡を作っておいて良かったと自画自賛しつつ、今日も土台作りを開始する。


 雨は降ったり止んだりしているものの、作業を邪魔する程では無い。むしろ砂が湿気を帯びて、昨日よりは作業が捗る。


 鍬でチリトリへ砂を入れ、それを運ぶ。

 ただそれだけだ。


 無心で作業を進める。


 夕方から本降りとなった。


 小屋作りに夢中になって、雨を凌げるちゃんとしたテントを準備していなかった自分に腹が立つ。

 暗くなってきたので、今から作るのは諦め、雨水枡にかけてある屋根を外し、地面に下ろした担架に被せる。


 今日はこれで凌いで、明日は仮設テントをしっかり作ろう。


◇◇◇


 八十九日目


 昨夜からの雨は降り続いている。

 明るくなるのを待ち、早速、雨水枡を覗くと並々と水が溜まっていた。

 これで当分、水の心配はなくなった。

 早速、空の水瓶に汲んでおく。


 雨水枡は成功だった。増設すれば、ここでの生活も安定するだろう。


 肌寒いのを我慢し、ずぶ濡れになりながら周辺から椰子の葉を集める。

 パラソル状のフレームを流木で作り、その上に葉を固定していく。

 出来上がると、パラソルを木に吊るし、その下へテントも吊り下げた。


 昼頃には雨が小降りになった。


 ついでなので窯用の屋根も作る。

 しゃがまないと入れない程、低い屋根だが、これで雨でも火が使える。


 左耳浜での出張生活は結構長かったのに、焼物に小屋造りと、作業を優先しすぎて生活の準備を怠っていた。

 まぁ、小屋ができるまでの辛抱だ。


 昨日、嫌という程やった基礎工事は飽きてきたので、今日は伐採作業にする。


 小屋予定地周辺の幹回り十五センチ程の木にドリルで穴を開け、石斧を叩き込んでいく。

 以前の失敗を教訓に太い木は切らない。疲れるだけだ。


 数本切ったところで夕方となってしまった。


 基礎工事と材料集めが終われば、楽しい組み立てが待っている。

 とにかく頑張ろう。


◇◇◇


 九十四日目。


 延々と砂を掻き出し、木を切る日々を繰り返した結果、ようやく今日からは組み立て作業に入れる。


 予定箇所は緩やかな斜面になっており、ここ数日の作業で、円形に切り取った形に整備されている。


 まずは掘った穴が崩れてこないように、石を積み上げる。

 珊瑚石なので軽くて運ぶのが楽なのは良いが、あまり大きなものが無いので、拳大程の石をちまちまと積み上げていく。

 仕事で習った野石積みを思い出しながら、重心と六点接地を意識して積んでいくと、クリーム色の綺麗な壁が出来上がった。


 そしてもう暗くなってしまった。


◇◇◇


 九十五日目。

 さぁ今日も頑張ろう!百日目迄には完成させたい。


 まずは丸太三本をしっかりと結び合わせ、五十センチ程の穴を掘り、小石を入れるとガシガシと突き固め支柱を各々建て込む。

 支柱の根元にも石を入れ、思いっきり突き固めておく。


 大きなトライポッドが円の外側に出来上がる。

 円の中から四本の支柱を立ち上げておく。


 さらにトライポッドへ入口部分を残して何本も丸太を立て掛け、固定していく。


 内側の支柱とトライポッドも固定して、内側の支柱には地上二十センチで横木をつける。

 横木に家の床となる細めの丸太を固定していく。


 ここまでで、また一日が終わってしまった。

 床となる丸太は長さを調整する必要があるので、石斧では時間がかかる。

 あー切実にノコギリが欲しい。


◇◇◇


 九十六日目。


 昨日に引き続き、床を作っていく。


 ある程度出来上がった所で、床のど真ん中に石を積み上げ囲炉裏を作っていく。

 底盤に石を敷き詰め、それを大きめの石で囲んでいく。


 囲炉裏を避けるように、残りの床を固定し終わると、もう家が出来上がったかのようだ。

 嬉しくて寝転んで休憩し、かなり時間をロスしてしまった。


 まだまだ続きを作らなければ。


 玄関部分は新たに二本の支柱を建て、水平に屋根をかけた。


 あぁ今日も日が暮れた。

 楽しい作業は時間が経つのが早い。


 まだ出来上がっていないが、今日は早速、囲炉裏を使って小屋で寝てみよう。


 担架を持ち込み、小屋の端に吊るす。

 ちょっと狭いな。

 もう少し広く作ればよかった……


◇◇◇


 九十七日目。

 暗いうちから起き出して、明るくなるのを待つ。

 早く続きが作りたい。


 思ったより狭かったが、床を作り直す気力は無いので、我慢することにした。


 今日は外壁工事を終わらせ、内装も手をつけたい。


 だんだんと明るくなってきたので、早速作業を開始する。


 まずは、小屋の外側を操糸スキルで念入りにグルグル巻きにしていく。

 もう念入りに念入りに、糸で隙間が埋まるんじゃ無いかというぐらい巻いておいた。

 グルグルしすぎたのか、少し吐き気がしてきた。


 集めておいた葉を、下側から順に密に固定していく。さらに外側を糸で巻いてしまう。これで外壁の完成!


 作業は楽しいのだが、胃のムカムカが止まらない。


 玄関の屋根にも葉をつけると、今度は玄関作り。


 小屋入り口の形に現地合わせで、流木のフレームを作る。あとは、追加で流木を隙間なく固定し、仕上げに屋根と同じように葉もつける。

 最後に小屋に固定して出来上がり!


「カブ太、見て見て!凄くない?家だよね。どっから見ても家だよ!」

「ピコピコッ」


 囲炉裏とくれば、自在鉤が欲しい。

 鍋もヤカンも無いが、欲しいものは作ってしまう。

 木を天井から吊るし、もう一本遊びを残して、吊るした木に固定する。

 あとは横木をつければ止まるはずなんだけど、意外に難しい。横木の長さと固定する糸の長さを何度か調整すると、ようやく止まってくれた。


 まぁ直ぐに使うものでも無いので、こんなもんで良いでしょう。


 次はベッドかな。

 家の内壁に形を合わせて、半月形のフレームを作ると糸を柔らかく張っていく。

 もう何度も作ったので、手慣れたものだ。

 完成し据え付けると、家の一画にピッタリとはまった。

 いやー、ベッド最高だな。

 しかし、具合がどんどん悪くなってきたな。

 今日はもう少しで作業を止めるかな。


 最後にカブ太のベッドというか巣も大きく作り直してあげる。

 土と枯葉を入れてあげて、今までの巣に並べると、新しい方に入っていった。

 気に入ってくれたようだ。


 あーようやく、落ち着いた。


 始まりの浜は水と洞窟があるから、住むには困らないんだけど浜が小さいし、移動にいちいち崖を登らなきゃいけないのがなぁ〜。

 住むのは食料も資材も豊富な此処が良いんだよなぁ〜。

 まー向こうが実家で、こっちが別荘かな。

 好きな時に、好きな方で暮らせばいいか。


 目標の百日目迄には完成した。


 明日からは鍋とか細々した物を作って、生活の質を上げましょうかね。

 雨水枡の水は煮沸したいから、専用の大きめの鍋が欲しいなぁ〜


 寝る頃には、気分は良くなってきたが、サバイバルでの病気は命取りになる。


 今日は早いとこ寝てしまおう。


「おやすみ、カブ太」

「ガサガサ」

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