表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/55

035 鮫釣り

 四十二日目となった。

 延々と石斧作りを続ける。ただナイフ程鋭利に砥がなくとも良いし、形もある程度は大雑把で良い。

 昼前には刃が完成した。


 穴を開けた柄に石を合わせ、隙間なく嵌るように柄を削っていく。


 ドリルを横向きに固定し、操糸スキルで回転させ、ルーターもどきを作った事で、作業が捗る。


 ん?大木を切り出す時も、ドリルで穴を開け、そこに斧を叩き込めば、かなり楽に切れるんじゃないか?

 これは試してみる価値がありそうだ。


 だんだん、石斧よりも木工道具作りに夢中になってきたが、ドリルとナイフを駆使し、ようやくピッタリの穴に調整すると、待望の石斧が完成した。


 早速シェルター横の雑木林にて試し切りをする。

 十センチ程の木を選び、軽く叩きつける。

 特に問題はない。

 だんだんと力を入れ、最後は全力で打ち込んでみたが、石斧は大丈夫だ。

 耐久性は分からないが、簡単に折れる事は無さそうだ。


 そのまま切り倒そうと、何度も斧を振るう。


 石斧が悪いのか、自分のスキル不足なのかは分からないが、たかだか十センチの木を切るのが、こんなにキツイとは思わなかった。

 何度目かわからない、渾身のスイングで、ようやく一本を切り倒す。

 既に息が切れている。


 似たような木を選び、今度はドリルで穴を開けていく。電動っぽいと言っても、糸を出して収納してを繰り返すので、作業には時間がかかる。

 あんまり強く押し付けると、うまく回ら無いため割と優しく押さえつける必要がある。

 五ヶ所程、連続して穴を開けると、一列に並んだ穴目掛け、斧を叩き込む。

 十回程叩き込めば、あっさりと切り倒すことが出来た。

 時間はかかるが、ドリルで穴を開けた方が、労力的にはだいぶ楽だった。


 カヌー用の大木を見つけたら、この方法で少しずつ切れば何とかなると信じたい。


 切った木は枝を落とし、風通しの良い日陰へ転がしておいた。

 長さが五メートル程あるので、何かに使う時が来るだろう。


 ようやく石斧が完成したので、伐採が可能となった。


 これで左耳浜で小屋を作ることも出来る。

 水問題が片付けば引っ越すんだけどなぁ。


 少し早いが、今日は作業を止め、小物用ロッドで数匹釣りを楽しむと、夕食をゆっくり取った。


 明日も頑張ろう。


「おやすみ、カブ太。」


◇◇◇


 四十三日目


 朝から細軸ドリルを製作する。

 作り方は一緒だし、ビット部分の刃も小さいので、すぐに完成した。


 十センチ程の真っ直ぐな枝を切り出すと、垂直に糸で固定する。

 慎重に細軸ドリルで中央に穴を開けていく。


 なかなか難しく、数度の失敗を経て、ようやく中央に穴の空いた枝が完成する。


 そう、ストローだ。


 貝殻から水を飲む時に貴重な水を溢してしまう事が多々あった。いやーこれで水飲むのがかなり便利になる。


 貝殻にストローを突っ込み、吸い上げるとちゃんと水を飲む事ができた。

 またこれで文明へ近づいただろう。


 今日はもう一つ、道具を作る。


 スコップか鍬が欲しい。


 左耳浜で小屋を作ろうとすると、どうしてもどちらかは作っておきたい。


 石斧と同じ方法で、幅広の石をつければ出来るだろうか?

 鍬の場合、どうしてもテコの原理が働くので、同じ方法では強度的に不安がある。


 結局、太めの枝が出ている流木を切り出し、枝部分に幅広の石を取り付ける事にした。


 ただ、グリップ部分が幹なので、太すぎて握りにくい。ナイフで削ってみるが、僅かに削れるだけで、いつ終わるか気の遠くなる作業だ。


 流木でフレームを作り馬を二個作る。

 柄を乗せると回転できる遊びを持たせて固定し、操糸スキルで柄を回転させながらナイフをあてがうと、手で削るよりは早くなった。


 鉄製の大工道具が欲しい。

 石器では時間がかかり過ぎる。


 結局、夕方までかかっても完成しなかった。


 明日も鍬作りだな。


◇◇◇


 四十四日目。


 こうも手こずるとは思わなかったが、午前中で柄を仕上げ、午後から刃部分を整形し、何とか鍬作りが終わった。

 何をするにも日単位で時間が過ぎてゆく。


 地球の電動工具が切実に欲しい。

 電動でなくても良いからノコギリが欲しい。


 無い物ねだりが続くが、今日は鍬が完成した。


 小さな一歩を続けていくしか無いだろう。


◇◇◇


 四十五日目


 ここにきて、一月半が経ってしまった。


 風呂なし洞窟暮らしで、水の残量に怯えながら、魚を獲って暮らす日々。何とか生きていけてるから、良しとするのか。

 もう少し、文明的な暮らしがしたい。


 という事で、今日は休暇。


「カブ太、やっぱり遊びが要るんだよ。」

「ピコピコッ」


「だろっ!大物釣ろう!大物!」

「ピコピコッピコピコッ!」


 カブ太もやる気満々だ。


 磯に出かけて、大物釣りの準備を始める。

 取込みを想定し、浜へ移動できる位置でアンカーを作る。ハーネスをアンカーへと繋ぎ、体を固定。


 準備万端。


 エレベーター仕掛けで腐肉を海中に送り込む。


 暇な時間は、小物釣りして遊ぶ。



 午前中粘ったが何の反応も無い。

 腐肉には食いつく魚が中々居ないようだ。


 小物釣りでストックしておいた生き餌に変え再トライ。ついでに、ぶつ切りにした魚を思い切って遠投し、周辺にばら撒く。


 三十分程で、すぐに反応がある。というか、見える。立派な背鰭だ。


 サメ寄ってくるだろうなーと思いながら撒き餌したが、予想通りだ。


 プルプルと大物仕掛けが震えて、グイーンと竿先が海中に向け弧を描く。


 全力でバチコーンッと合わせを入れた瞬間、フッと手応えが無くなった。

 収納すると、糸が切られている。


 ムカつくので、ハリス部分は硬度を上げた糸にして、再度餌投入。

 近くをウロウロしているらしく、すぐに当たりはあるが、全く同じ結果に終わった。


 硬度を上げた糸があっさり切られてしまう。


 頭にきて、針金みたいな糸を8本撚り合わせ、ワイヤーハリスを作り、再度投入。


 警戒心が薄いのか、同じ個体では無いのか、あっさり食いつく。

 合わせを入れた瞬間、その重さに絶望感を感じた。

 ダメだ。このタックルじゃ、全く刃が立たない。


 予想通り、ダンプカーの如くこちらの抵抗を一才無視して、走り始める。

 一瞬、糸を止めてみるが、大物用ロッドが根元から軋み、完全に力負けする。


 ただただ、糸を出すしか無い時間が続き、百メートル程、糸を送ったのだろうか、糸がようやく止まった。

 恐らく、魚は付いていないはず。


 全力で糸を引っ張ると、擦れるような感触を感じつつも収納できたので、どんどん回収していく。


 上がってきたのは、スッパリと刃物で切られたような撚り糸だった。


 ちょっと、考えられない。よっぽど歯が鋭いのだろう。やっぱり鮫なんだろうな。


 大物には完敗だが、まぁ楽しかった。


 たまにはこんな休日を過ごすのも良い。

 ゆっくりと時間を使い夕食を取った。

 夕食は先日作った塩を使って、刺身に塩焼きとなった。刺身の甘さが塩で引き立つ。

 本当に美味しい。


 ただ残念なのは、結構な時間塩作りをしたのに、貝殻を割ってみると、僅かな塩がこびりついている程度だった。


 もうちょっと、何か方法があるはず。どうにかして大量に作りたいところだ。


 やりたい事、やらなければいけない事だらけだ。


 明日からは心機一転、頑張ろう。


「おやすみ、カブ太」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ