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028 ロッド作り

 二十九日目となった。

 急いで水汲み、朝食を済ませると、真剣にナイフを作っていく。そして、焚火の魚もクルクル向きを変える。


 早くナイフを仕上げて、ロッド作りがしたい。


 黙々とナイフを叩き、どうにかそれらしい形になった。此処からはさらに時間が掛かる研ぎだ。


 ずーっと、ゴリゴリやってナイフの形を作っていく。昼過ぎまで、延々やって、限界が来た。

 腰痛いし、飽きた。


 昨日取ってきた木の先端を二メートル程、切ってしまう。元々、大物用にロッドを作るつもりなので、この先端部分は細すぎる。

 ならば、ロッド作りの練習がてら有効利用しよう。


 樹皮を剥ぎ、グリップ部分を糸巻きで仕上げ、人差し指をかけるトリガーも硬度を上げた糸で作って、取り付ける。

 同様にガイドを作り、糸巻きで固定していく。

 夢中で作っていると、夕方になっていたが、小物用のロッドが完成した。

 七フィートくらいの短いロッドだ。何でロッドはフィートなんだろうか。アメリカ文化?

 何にしろロッドはメートルだとイメージがピンと来ないから不思議だ。


「カブ太、釣り行こう。釣り!」

「ピコピコッ」


 毎日釣っているが、あれは操糸スキルを使った漁だ。生きるために獲ってるのだ。釣りとは似て非なるものなのだ。


 いつもの釣り場で、早速ロッドに糸を通し、針に貝の身をセット。いつもと違うのはラインの途中にもシンカー変わりの糸を巻きつけ、テキサスリグにした。


 軽く振りかぶり、タイミングを合わせ親指から糸を出す。

 ヒューンと気持ちよく仕掛けが飛んでいく。

 ゆっくりとブレーキがかけれず、バチャンと着水してしまうが、バックラッシュとは無縁の操糸スキルにちょっと感動。ブレーキは要練習だな。

 着水と共にすぐに魚が食いつく。

 あまりにもイージーだが、いつもと違い、ロッドがしなりながら魚を寄せてくる。


 うーん楽しい。


 糸も全然切れそうじゃ無いし、何のテクニックが無くとも釣れるので物足りないが、今までに比べると、十分釣りだ。

 ルアー作ったり魚種を絞って狙えば、攻略には時間がかかる。エギを作ってイカも釣りたい。

 うーん考えるだけで楽しい。


 真面目な話、サバイバルには娯楽が必要と感じる。

 この世界にきて、おおよそ一ヶ月。

 生きるために、やる事は山積みなんだけど、無人島とわかった時、正直、心が折れそうだった。

 でもカブ太に出会ったり、目先の事に集中する事で乗り切ったが、この先も大丈夫とは限らない。長期戦を考えると正直、自信は無い。


 だから、ロッドは今作る必要があったのだ!と、いかにもな言い訳を重ね重ね自分にしておく。

 明日からは真面目に頑張ろう……。


「なっカブ太!釣りして遊んでも、ちょっとくらい問題ないよな」

「ピコピコッ」


 カブ太はいつも賛同して元気づけてくれる。


「ありがとうな。カブ太」

「ピコピコッ」


 可愛いので、釣った魚を捌いてあげると身じゃ無く、脇に避けた内臓に食いついてた。食べてる姿だけはちょっと怖い。


◇◇◇


 三十日目だ。

 ついに一ヶ月か。よく生き延びた。


 今日はいい加減にナイフを完成させる!


 ロッド作りは止めておく。昨日作った小物ロッドが楽しく、十分息抜きできた。


 ナイフ以外は、背負子を作る。保存食を作る。

 こんなとこだろう。


 朝の楽しい釣りの時間だ。

 何度かキャストを繰り返し、ブレーキの感覚を身体に染み込ませる。

 飛距離も三十メートルは出せるようになってきた。


 早速餌をつけ、リーフの切れ目に沿って遠投する。

 一投目からヒット。相変わらず簡単に釣れてしまう。グイグイと引き寄せ、残り十メートル程になって操糸スキルの範囲に入った。ふと、逃げられないようにと思って、針先を進ませてみた。

 特に問題なく操作できたので、そのまま上顎から脳天へ向かわせると、魚は痙攣して息絶えた。

 抵抗が無くなった魚を釣り上げ、操糸スキルの恐ろしくも有効な使い方に気づいてしまった。


 一旦、針なりを刺してしまえば、体内を進ませる事が出来る。これは、相当に強い能力じゃ無いか?

 どんなに強い生物であっても、体内に侵入され心臓なり肺なり、何処かしらを傷つけられれば、無事ではいられない。

 森で過ごした夜に魔方陣みたいにしてみたが、先端を針状にして仕込んで置けば、刺さった時点でこちらの勝ちだ。

 これは強い。これから無人島探検をする上で、とても心強い発見だ。


 釣りが楽しいだけではなく、こんな発見もあるなんて、ロッド作って良かった。


 朝ルーティンを楽しく終えると、苦手な単純作業が待っている。


 無心にゴリゴリやって、やっと、本当にやっと、使えそうなナイフが出来上がった。

 後は、毎日少しずつ仕上げれば良い。


 最後に糸巻きグリップをつけて、完成した。


「カブ太、どう!なかなか良くない?」

「ピコピコッ」


 カブ太のお墨付きも貰えたので貝殻ナイフと入れ替え、首にかけておく。


 あーやっと出来上がった。


 次は背負子だな。これは特に問題はない。

 フレーム作って、しっかり糸で補強して、ショルダーとウエストベルトつけて、ついでにチェストベルトもつけておいた。

 正確にはベルトでは無く糸なので、食い込んで痛いのは目に見えている。明日はベルト作りだな。


 ロッドを使って楽しく夕方ルーティンをこなすと、早めに就寝。


「おやすみ、カブ太」

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