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026 長期計画

 ビヨンビヨンと小指が引っ張られ、目を覚ます。

 既に明るくなっていた。いつもまだ暗い時間に目を覚ますので、昨日はよほど疲れていたのだろう。


 カブ太が先に目を覚まし、何処かへ行こうとしてたらしい。糸を出してあげると、シェルターに転がしておいたネットに張り付き何やらモゾモゾしている。


「おはようカブ太」

「ピコッ」


 枕元の水だけ飲んで、ベッドに横になったまま、情報の整理と行動計画を立てていく。


 最終目標は「島からの脱出」

 そう漠然と思う。

 この島には今のところ人の気配や痕跡はない。ここが無人島と断定するには調査が足りないので、島の探検は続けるにしても、仮に無人島として、そこから脱出したその先に文明があるのだろうか?

 ただ、大海原へ出て行くリスクがあるだけで、向かう先に人はいるのだろうか。

 


「カブ太、俺みたいな人間って見たことある?」

「ピコピコッ」

「あるのか!それって最近?」

「ピコッ」


 何してるのかと思っていたが、ネットの中の干物を食べてたらしい。食事をやめて、こちらに体を向け返事をしてくれる。


「島に人が住んでる?」

「ピコ」


「島に誰かが来たってこと?」

「ピコッ、ピコピコ、ピコッ」


 カブ太なりに説明してくれてるのだろうか。さっぱりわからんけど。しかし、カブ太、完全に言葉解ってるな。


 とりあえず、この世界では大先輩のカブ太さんの意見では、島は無人島らしいが人間はいるっていうので、文明目指し、最終目標は島からの脱出としておく。


 となると、次にくるのが船か。

 自分で作れて外洋を渡れそうな船といえば、原始的なアウトリガーカヌーしか思いつかなかった。

 知り合いが実際に沖縄から九州までアウトリガーカヌーで行ったので、かなり長距離の航行も行けるはず。

 問題は知り合いはその道のプロだったが、自分は全くの素人。アウトリガーカヌーで何回か遊ばせてもらった程度でしかない。

 ただし、カヌーの構造は本当にシンプルだったので、船を作る事自体は時間さえかければ何とかなりそうだ。


 船作りが目標なら、かなりの大木を切り出さないといけない。一人しか乗らないとしても、水と食料を積むスペースを考えれば、最低でもシックスマンサイズは欲しい。

 いや、そんなでかい木、切れるのかな?

 まぁ目標ということで、今は出来るかどうかは置いておこう。


 木を切るなら斧がいる。それから、丸太をくり抜く鑿が欲しい。


 あぁ鉄、せめて青銅くらいは欲しい。しかし、そんな知識は無い。なんか鉄鉱石溶かせばどうにかなるんじゃ無い?くらいしか知識がない。

 そもそも鉄鉱石がどれかわからない。クライミングしてたから、岩質はある程度わかるけど、鉄鉱石の岩場を登った記憶はない。

 鉄鉱石っていうくらいだから、赤い石を探せば良いのかな。んー、多分、鉄器は無理だな。

 その労力が有れば、時間かかっても石器で作業した方が、はるかにトータル時間は少なそうだ。

 よし、鉄器は不採用。石器の斧と鑿。当面は斧作りが目標。


 まとめると脱出に向け、木の伐採、船作り、そのための石器を作っていく。

 そしてそれらを実現させるための、安定した生活。


 となると当面の目標は、引越しの下見、島全体の探検、新たな水源探し、石のナイフ作りかな。


 そういえば、ここへきてから毎日暑いのだが、冬はあるのかな。

 もし、冬があるなら、それに向けた準備をしないと凍死しかねない。


 あーやる事多いな。

 冬もあると想定すると、引っ越しは重要だな。

 この洞窟だと一晩で凍死する自信がある。


 よし、やる事満載だな。忙しいが頑張るぞ。

 気合を入れて、今日も作業を開始する。


「カブ太、行こう」

「ピコピコッ」


 食事を終えていたカブ太を肩に乗せ、シェルターを出る。干物はあまりお気に召さなかったようだ。少ししか齧ってなかった。


 水汲みを終え、魚を取ってカブ太と共に食事する。

 食事の後は爽やか小枝で歯磨き。あー歯磨き最高。気持ちいい。


 早速物作り。蓑を少し改良し、肩部分までを補強して行く。首輪から糸を吊り下げていたのを、肩付近から吊り下げるようにした。ついでに靴に使った素材を手のひらサイズに切り出し、糸で全体を巻いた上で、右肩部分に縫い付ける。

 完成!


「カブ太、乗って良いよ」

「ピコピコッ」


 素晴らしい。カブ太を肩に乗せるが、痛くない。


 次はナイフ作り。

 三ノ浜で拾って来た石を、コツコツと割っていく。

 研ぐのは洒落にならない程、時間がかかるので、出来るだけ割ることで形作りたいが、やり過ぎると元には戻せない。


 無心でコツコツ、コツコツやってたが、大まかな形を作ったとこで、今日の作業を終える。


 陽が傾きつつあるので、魚釣りに行く。


「ピコピコ、ピコピコッ」

 と磯に近づくにつれ、カブ太のツノが忙しく上下し、落ち着きが無くなる。嬉しいんだろう。


 釣りに夕食を済ませる。


 焚火タイムを堪能して、今日も眠りに着いた。

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