022 エレベーター
二十二日目。
強風も止み、すっきりと快晴のいい朝だ。
探索を進めたいが、装備を一式失ってしまった。
作り直すしかない。蓑に帽子、紐バッグに火起こし道具。一番痛いのは貝殻ナイフだ。
朝ごはんを済ませると、装備を作り直していく。
二度目とは言え、そう簡単には終わらない。
それぞれ改良を加えながら作業していると、夕方になってしまった。
しかもナイフは出来上がっていない。
明日も頑張って作業しよう。
◇◇◇
二十三日目。
曇っているが暑さはあまり変わらない。
再探検に向け準備を進める。
今日は貝殻ナイフを作っていく。
何度か失敗も含め、まる一日ナイフ作りで終わってしまった。
もう少しで完成という所で折れたりすると本当に凹む。外見が良くても削ってるうちに、内部が割れていたりと、イライラする。
しかし、何とか出来上がった。
素材の吟味は本当に大事だ。次は気をつけよう。
二代目ナイフはグリップも糸巻きでカッコいい。ちょっと気に入った。
◇◇◇
二十四日目。
再探検の準備を今日は終わらせたい。
基本的には前回と同じだが反省を踏まえ、貝殻水筒は二日分で十個を準備する。
さらに効果があるかは分からないのだが、スライム対策に海水も汲んでおく。傷口を海水で洗った時、スッキリとネバネバが取れた事から、もしかしたらと期待している。
保存食は小さめの魚や切り身を遠火で炙り、水分を抜いた物を五匹分準備し、芭蕉の葉で包んでおいた。
次に崖上までエレベーター式で上がれないか、実験することにした。
前回は荷上げの問題もあり、水を少なくしたが、エレベーターが作れれば、もっと多く荷物を持って行けるし、崖上に水だけ置いておくこともできる。
うまくいけば自分も上がりたいと思っている。
そう思って、崖を降りる時に何本か余分に糸を下ろしていた。
早速、崖上から下ろしている糸に新しく糸を繋ぎ、ネットに石を詰め、収納で引っ張る。
何事も問題なくスルスルと上がっていき、ほぼ頂上付近のループで止まる。崖の根元に糸を固定し、荷物は頂上付近で宙ぶらりんになった。
荷物は問題ない。
次は自分を上げる準備をする。
収納の力は体を引き上げるには弱いので、滑車の原理を使えばいけるのでは無いかという狙いだ。
プーリーを作るのは無理だが、最高硬度の糸を重ねリングを作る。摩擦の分、効率は落ちるだろうが、数を増やせばなんとかなるはず。
崖上からの糸に新しく糸を出し結びつけ手繰り寄せ、糸を入れ替えていく。
糸先が数度、崖上と崖下を往復し手元に戻ってくる。糸の先端をハーネスに結びつけ、さらにリングを使いハーネスに途中の糸を固定し、いわゆる三連の組み合わせ滑車状に仕上げる。
本当はもっと効率的な結び方があるのだろうが、残念ながらマルチクライミングや登山には興味が無かったため、ちゃんとしたプーリーシステムなど全然わからない。
基本的な原理があってれば行けるはず。
改めて別に命綱を確保して、ゆっくりと糸を収納していく。
特に問題もなく、体が上がっていく。
「オホホッ」
思わずニヤけ、変な笑いが出てしまった。
二メートルほど上がった所で、一旦、降りる。
プーリーもどきでも十分な事がわかったが、命に関わる事なので、ちゃんと頂上まで問題なく上がれるかチェックする必要がある。何も生身で試す必要はない。
先程あげた荷物を下ろし、石をさらに詰め込む。
重さが足りなさそうなので適当に人頭大くらいの石をさらに括りつけておいた。
絡まないように少し糸を整理して、再度上げてみる。特に問題ない。
エレベーター完成!
これでかなりの時短が期待できる。
一通り出発に向けて目処が立ったので、体力をつけるためにも、今日はしっかりと食事を摂りたい。
魚を釣りに磯へ向かうと、まだ潮は引いているが、上潮のようなので水没する前に急ぎ貝や海藻を採取し、釣りを始める。
相変わらずイージーに魚は釣れる。全く擦れていないウブな魚ばかりだ。
もう一匹くらい釣っておこうと、糸を垂らすとガツンとした当たりの後、一気に沖へ糸が走る。なかなかの良型だが、やりとりはせずにいっさい主導権は渡さない。糸の強さに任せ、強引に引き上げる。
口元が長いタイ系の魚だった。
今日の夕食は期待できる。
刺身に焼魚、海藻サラダ、焼貝と現状用意できるフルコースを堪能した。
いい加減、塩くらいは作りたい。
貝殻に海水を入れて、継ぎ足しながら沸かせば多分出来るだろう。薪が勿体無いから、天日に干しても良いかも。まぁ全部、落ち着いてからだな。
明日の出発を決意し、荷物の準備を済ませて、就寝。
明日は出来るだけ高い位置を目指し、周辺を探ってみようと思う。
おやすみなさい。




