021 探検二日目
夜中に激しい雨で起こされる。
シェルターの葉に雨が激しくあたり雨漏りが酷いが、今は本当にありがたい!
シェルターを這い出て、急いで貝殻水筒を並べる。
操糸スキルで糸を出しまくり、岩の上目指し張り巡らせた。根元を束ね伝わってくる水を飲む。
神様に「水をありがとうございます。愚痴ってすみませんでした。」と心の中で、謝っておく。
一時間程で雨は止んでしまい、強い風だけが残った。
◇◇◇
二十一日目の朝だ。
昨夜、雨で起こされれたが、しっかり睡眠は取れており、寝覚めは良い。
ただ、最近は糸ベッドに寝ていたので、久しぶりの砂は固く、あちこち痛い。
人間、贅沢を覚えるといかんね。
シェルターを出ると曇天で風が強く、今にも雨が降りそうだ。
昨日溜まった水を集めると、貝殻水筒は二個復活できた。これでトータル三個のストックだ。
水を飲みたいが我慢し、付近を探索する。この場所で水が見つかれば、是非、引っ越ししたい。
三の浜北端から一の浜まで隈なく探すが、全く水は見つからなかった。
仕方なく、一の浜南端の磯で釣りをする。
直ぐに心地よいプルプルとした感触が伝わり、三十センチ程のハタ系が釣れた。斑点がクッキリと美しい。
食事と少しの水を飲んだ所で、サーっと雨が降ってきた。急いで雨を集める準備をするが、通り雨のようで、直ぐに止んでしまった。
さらに探検を続けるか悩むも、水の残量を考え、やはり始まりの浜に戻る事にする。
荷物をまとめ、一の浜から伸びる山道を登っていると、鮮やかな黄色のネットに倒木が飲まれていた。
近づくと、ゆっくりとだが広がっていくのが見てとれる。
周りの木を見てみれば、目の前の物よりは小さいが、数カ所、同じように黄色や、やや赤みがかった同様の物があった。
小枝を拾い、突いてみるとネットリとした感触で、グイッと押し付けてみると小枝もネットに取り込まれてしまった。酷く気味が悪い。
その場を離れようとした時、赤みがかったネットに小鳥の死骸が飲み込まれているのに気づいた。
身の危険を感じ、直ぐにその場を離れる。
不用意に近づいた事を後悔した。あれはヤバそうだ。粘菌みたいだが、それにしては見てわかるスピードで動いていた。
昨日、神様に愚痴言った時、「スライムは見てない」とか言ってしまった気がする。余計な事をする神様の仕業に、やたら気がきくが、余計な仕事を増やす部下を思い出す。
タイムリーな遭遇なので、自分の中でアレはスライムと言う事にした。
昨日は長時間をかけて辿り着いた三連浜だが、帰る時は一時間程で始まりの浜が見えてきた。
浜まであと二百メートル程というところで、腰の辺りにピリッとした痛みが走る。
手で擦ると、スライムが指先に付いていた。慌てて蓑を捲り、腰を見ると、荷物の中に残していた干物が黄色く包まれており、そこを中心にスライムが纏わりついている。
慌てて荷物を下ろすと、ハーネスや蓑、腰蓑にもスライムがくっついていたので慌てて脱ぐ。
糸をザッと出しまとめると、腰と指を擦っておく。
ヒリヒリと軽い火傷のような痛みがある。
貝殻水筒を荷物の中から抜き取り、傷口を洗うがヌルヌルするばかりで、なかなか取れない。
とりあえず、スライムがついていた荷物やハーネス、蓑類は全て一纏めにして破棄する。
命を救ってくれた貝殻ナイフが惜しいが、現状、対応方法がわからないので諦めた。
また素っ裸になってしまった。
早く浜まで戻りたい。
登ってきた崖を降りても良いのだが、浜中央付近であれば傾斜があるので、手取り早く懸垂下降出来る。
「始まりの浜」中央付近の真上まで移動し、降りる前に少しだけ森に入り、薪にするための倒木や朽木を集め、崖下へ投げ下ろす。
ちょっと考えがあり、後で利用するため何箇所か上部な木にアンカーを取り、先端にリング状に加工した糸をつけておく。さらに崖下の砂浜まで往復分の糸を垂らしておいた。
リングは、出来るだけ滑らかに糸が滑るよう意識した。
今度は浜へ降りていくため、新しく糸を木に結びつける。念のため、二本準備する。
ゆっくりと崖へ背を向ける、糸が岩で擦れないよう位置を調整しながらテンションをかけていく。
この瞬間はいつも緊張してしまう。しかも今は、命を預ける道具は全て操糸スキルによるもので、はっきりと強度検証したものではない。緊張するなという方が無理な話だ。
覚悟を決め、ズリズリと崖から体を下ろし、糸だけでぶら下がる。今日はいつもより風が強く、崖下から吹き上がる強風でより恐怖心を煽られる。
糸を出し、一気に砂浜に向けて下降していく。
途中、クルクルと回ってしまったが、無事浜に降り立つ。片手から糸を出していたのが失敗だった。次はバンザイの姿勢で降りようと改善点を記憶しておく。
糸を切り離し、とりあえず、ヒリヒリしている腰と指を洗うため海に向かう。海水につけると、ヌメリがスキッと取れた。
もしかしたら海水が対応策になるかも。あまり出会いたくは無いが、覚えておこう。
砂浜に戻り、しばし休憩する。
やる事は多いが、少し疲れてしまった。
崖上から投げ下ろした薪を拾い、水汲みにいくが、水量が多いポイントは満潮で水没していた。仕方なく、最初の水汲ポイントに行き溜まっていた水で水分補給を済ませると、空の貝殻を再セットする。
魚を取って夕食を済ませ、一日ぶりのベッドでぐっすりと眠りについた。




