表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/55

020 探検

 出来るだけ高い位置を目指したいが、北と西側は避けたい。ジャングルには蜘蛛がいるだろうし、けたたましい鳴き声が時折、聞こえてきている。その発生源は鳥なのかすら怪しい。

 正直、怖い。


 南側はリアス式で出入りが激しく、歩きにくそうなので、崖に沿って東を目指す。


 そういえば、リアス式海岸とはおじさんの呼び方で、若い子はリアス海岸と呼ぶらしい。ネットで見たのを思い出した。

 リアス海岸ってなんだよ。しっくり来ない。

 くだらない事を考えながら、木の間を縫うように、崖に沿って歩いて行く。


 四百メートル程進んだだろうか。

 緩やかに弧を描きながら崖が続き、その先に小さな岬が東に向かって伸びているのが見えてきた。


 岬に繋がる崖はどっかぶりの強傾斜で、波に洗われている一番下から崖上まで、切ったような直線で構成されており、その美しさと迫力に圧倒される。

 

 自分が立っている場所は張り出した崖の上と気づき、雪庇のように踏み抜く事は無いと分かっていながらも、ゾワゾワして落ち着かない。

 しかし、樹木が密集した中を進むのは蜘蛛が嫌なので、そのまま崖沿いを進み、岬の根元付近に到着した。


 岬の先端に向けては緩やかな下り傾斜で、中程から先は木があまり生えておらず、歩きやすそうだ。

 その辺りから、岬の向こう側に海が見えている。


 岬に向かい、低木と背丈ほどの草が占めてきた所で横断する。

 二百メール程、草を掻き分け海が見えた。


 岬から北側を望むと、二百メートル程の砂浜が見えている。一度、崖で途切れるものの、その向こうも浜になっているようだ。

 始まりの浜よりリーフが発達し、沖へ向かってこちらも二百メール程伸びている。

 そして何より傾斜は急だが歩いて降りて行けそうだった。


 一度、荷物を下ろすと、二連浜を見ながら休憩し、水分を補給した。

 リーフの上に大型の魚影が数匹見えた。

 遠いので大きさははっきりしないが、一、二メートルという大きさでは無い。

 かなり浅い水深のはずだが、何かを探すように泳いでいる。

 イルカだったら良いなと思うが、泳ぎ方は明らかに鮫だ。

 始まりの浜で泳がなくて良かった。


 しかし、鮫って美味いのかな?

 湯引きは美味かった記憶があるが、調理次第じゃアンモニア臭いと聞く。

 一匹釣れば、一週間は食糧問題が解決するだろう。その間、時間を有効に使える。


 鮫釣りやってみようかな。しかしサイズがでかいな。

 仕掛けは、ライン強度は、針は……と思考が狩猟モードになって行くので、一端頭から切り離し、浜を目指して降りて行く。


 浜までは、身の丈を越える草が生い茂り、低木が

適度に空を覆っている。

 芭蕉の葉や椰子の葉もどきも生えている。

 芭蕉には蕾が垂れ下がっており実が成ったら食べてみようと、大まかに場所を覚えておく。


 ようやく海岸まで降りてくる。


 蜘蛛は見かけなかっただけで、多分居たんだろうとは思う。親蜘蛛の恐怖から、すっかりクモ恐怖症になってしまった。常に蜘蛛を警戒している。


 浜を散策してみると、森との境目部にかなりの流木が見て取れる。


 浜北端の崖まで歩く。

 波打ち際を四メートル程登れば、楽に超えて行けそうなので、念のため糸を出して確保した上で、梯子のように簡単に登って行く。


 岬からは見えなかったが、二十メートル程の小さな浜があり、その先は巨礫がゴロゴロした荒磯になっていた。

 二連浜に見えたが、この小さな浜を加えれば、三連浜だったようだ。

 そして、二つ目の浜からは山に向かって沢が伸びていた。

 残念ながら水は見当たらないが、この沢を登って行けば、森を通らなくとも、崖の上まで行けそうだ。


 一端、沢は保留とし、荒磯を越えて行く。

 いちいち、三、四メートルの上り下りを繰り返してしか進めないので疲れるが、十五分ほどで荒磯を抜けた。


 三つ目の浜は百メートル程で、始まりの浜と同規模であったが、砂が荒く波打ち際は拳大の岩が転がっているゴロタ浜だった。

 浜の北端からは荒磯が北に伸びており、先は見えない。西側は斜面が続き、その奥には崖が聳えていた。


 日は北西にあり、そろそろ今日の寝床を決める頃合だ。今日はこの三ノ浜で一泊する事にした。

 風裏となる岩の根元に僅かなスペースを見つけたので、荷物を下ろす。

 岩の根元を平らに慣らし、適当に流木を立てかけると格子状に流木を糸で固定して行く。

 適当に集めた葉を下の方から順に糸で固定していく。直ぐに完成した。


 出来るだけ水は節約して飲んでいたが、既に四個が空になっている。

 水を補給したいが、残念ながら水の気配はどこにも無かった。我慢できずに、五個目に手をつける。

 水が残り一個しか無いので、明日は朝から引き返すしか無さそうだ。


 焚き火の準備を済ませ、いつものように、圧倒的火起こしで火をつける。最近はコツを掴み、ますます電動工具のように軸棒を回せるようになってきた。

 怪しい臭いが少し漂っている柔らかな干物を取り出し良く焼いて食べる。味は美味しい。大丈夫そうだ。

 まだまだ腹が減ってるので、燻した方も焼いて食べてしまった。

 五個目の水を飲み干して、空を見る。

 細い三日月が出ており、星がよく見える。


 星座に詳しければ、何か分かるのかもしれないが、生憎、全くわからない。少なくとも、北斗七星やオリオン座は見当たらない。


 糸が体から出せるようになったり、親蜘蛛がいたり異世界としか言いようが無いのだが、生物はかなり元の世界と相似している。

 魚なんて外国の魚ですって言われたら区別つかない。


 少なくともスライムやゴブリンは見かけていない。


 神様とか出てきて、説明してくんねーかな。

 何回もステータスオープンって叫んじゃったよ。

 異世界なら異世界とはっきりして欲しいんだけどな。この世界の人は、当たり前に糸出すのか?

 ここは地球で地球人が皆、特殊能力に目覚めたのか?


 いくらなんでも素っ裸スタートでサバイバルは厳しいやろ。


 ここが異世界なら、ほら、あれだよ。俺も誰か助けて城壁に囲まれた街まで行って、ギルドに行きたかったよ。


 愚痴り始め、元の世界を思い出し泣きそうになったので、さっさと寝ることにする。


 簡易シェルターに足先からズリズリと潜り込み、流木と糸で出入り口を塞いでおく。ぐったり疲れてるので、あっという間に寝るだろう。


「おやすみなさい」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ