014 蟹料理
十四日目だ。内容の濃い二週間で、もっと経ってる気もするが、そんなもんなんでしょう。
早速獲物を見に行く。
シェルターからバッチリ見える。
デカすぎるヤシガニだな。
逃げようともがいた跡だろう、砂浜があちこちと掘り起こされていた。
崖を降りて近づくと、糸が絡まった馬鹿デカイ、ヤシガニがいた。
記憶にあるヤシガニよりも胴体部が幅広で長い気がする。引き摺った跡は貝殻ではなく、身の部分だったようだ。
まだ、モゾモゾと動いてるので、操糸スキルでキッチリ締め付けると、動きを止めた。
とりあえず、喉が渇いたので水を飲みに行く。
さて、どうやって締めればいいのだろう。
頭をとりあえず殴ってみようかな。と思い近づくが、あまりのデカさにちょっと怖い。
少し離れた位置から、操糸スキルで石をグルグル振り回す。頭に狙いを定めて振り下ろすと、ゴンっと分厚い物に当たった音がして、頭が潰れた。
糸が絡まり動けなくなってるので、死んだかどうか分からないが、焼いてみることにした。
ヤシガニの周りに流木を積み上げ、焚火から火を移す。
だんだんと火が大きくなっていく。
操糸スキルの糸が、シュルシュルと消えていく。
熱には弱い様だ。これもいつか検証しようと思いつつ、日課の水汲みに向かう。
水汲みから戻ってきても、全然、焼けてる気がしない。薪を足して、別の作業を進めることにする。
今欲しいのは、切れるナイフに鍋類、あとは帽子だろうか。
簡単に終わりそうな帽子から作り始める。
靴にも使った厚手の葉か樹皮かよく分からない物を、つばの形に切り取る。
中心部を石で叩き切って、頭が入るサイズの穴を開ける。同じ素材を五センチ幅くらいに割いて、適当な長さに切り、頭の形に合わせながら、つばに縫い付ける。
何本か同じように縫い付ければ、麦藁帽子のようなヘルメットのような帽子ができた。
最後に顎紐を縫い付けて完成。
うーん、この素材って、色といいツヤといい、ゴキブリの羽っぽいんだよね。なんかテカテカしてて。
見た目じゃなく、性能に全振りした結果だと、無理矢理納得して、被ってみる。
素材が硬いので決して快適ではない。むしろ肌に当たる部分が刺々しく痛くて不快。まぁ、少なくとも涼しいので良しとする。後で、石を使ってヤスリがけしよう。
そんな事をしていれば蟹のような、美味しそうな匂いが漂ってきた。
なんか見た目、食べ物じゃない感が激しく強い、黒焦げのデカヤシガニが燻った炎の中に鎮座している。
でも殺した以上は責任持って食べようと、最高硬度の糸で鋏の付け根を、締め付けながら引きちぎる。
硬度が高いと見た目がセラミックっぽいので、少しは熱に強そうと思いやってみたが、上手くいった。
気になったので、そのまま糸を炙ってみると、ヘナヘナと上手く操作できなくなって、最後は消えてしまった。
一時的に耐えれる程度で、やっぱり熱に弱い事に変わりはないらしい。
そんな事よりもヤシガニだ。
一抱えもありそうな鋏を足下に置き、石を叩きつけてみるが、金床でも叩いたかのような感触で跳ね返された。大きめの石を拾ってきて何度かやってみるものの、歯が立たない。
仕方がないので操糸グルグルで、思いっきり拳程度の石を叩きつける。
バキィッという激しい音と共に、石は鋏に埋まっている。石を引き上げ、空いた穴から、殻と混ざった身をとり口にする。
「美味っ!」
想像以上に美味かった。
ただ、細かく割れた殻が、凄く口当たりを悪くしている。
しかし、他に割る術を思いつかない。
仕方なく同じように、操糸グルグルで威力調整を試行錯誤しながら石を叩きつけるが、結局、砕けた殻と砂が混ざり酷いことになってしまった。
しょうがないので、身を掻き集めると、海の中でジャブジャブと洗濯してきた。
何度か繰り返し、多分三キロくらいある肉の塊を平たい石に盛り付け、今日の遅めの朝食『ヤシガニ鋏肉の海水洗い』がようやく完成した。
味は本当に美味い。海水で洗ったので塩味が効き過ぎているが最高だった。
次こそはちゃんと食べたいとリベンジを誓い、朝食を終えた。
午後からは鍛錬
操糸グルグルと縫針アタックに磨きをかける。
縫針アタックの練習中に気づいたが、縫針を持ってそのまま投げるより、少し糸を出し後ろに降り出す。そして一瞬収納する事により加速させ、腕の振りに合わせて一気に糸を出すと、まぁまぁな勢いで飛んでいく。
縫針も針の周りにグルグルとウェイトを増してみた。
気づいたけど、これ流星垂や。
もう操糸グルグルとの区別つかんようになってきたな。
そんな感じで鍛錬は続ける。
夕方はヤシガニと格闘して、いい時間になったらシェルターに潜り込む。
寝る前にはスキルの習熟度をあげようと、硬度の高い糸を使って、細かい針金フィギュアを作ってみたが、真っ暗なのであまり良いトレーニングとは思えなかった。
こうして十四日目も眠りについた。




