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013 鍛錬

 午前中の作業を終え、日が陰って涼しくなってからは鍛錬の時間を取ることとした。

 本当は生活基盤をもっと整えたい所なのだが、デカイ蜘蛛がいる世界。

 さらにやばい奴が居てもおかしくないので、操糸スキルをもっと検証して自衛手段を確立させておくべきだと考えた。


 太めの流木を的替わりに砂浜へ突き立てる。


 まずは縫物してる時と同じく、先端を針にしてみた。


 的に向かって突き刺すイメージで出してみるが、フヨフヨ〜と漂うようにしか向かっていかない。

 これ攻撃力ないな。


 もっと太い針を作り、手に持って投げてみるが、刺さる事は刺さるが、それでっ?ってな感じにしかならない。


 カウボーイみたいに、投げ縄状に操作してみると、結構簡単に出来る。操糸スキルで形を維持できるのでグルグル回す必要もない。百発百中で流木を引っ掛けることができた。

 ただしスピードが無い。フワフワ〜と飛んでいく。


 先端に石をグルグル巻きにして、振り回してみる。

 操糸スキルの影響もあり、ものすごい勢いで回せる。しかも、簡単に命中する。

 鎖鎌の分銅みたいな攻撃だ。いや流星垂の方が近いか。

 バシバシと当てていると、直ぐに流木はボロボロになってしまった。


 今のところ、この使い方が一番良さそうだ。


 石じゃなくて、短刀みたいな物を結べば流星垂そのものだし、簡単にマスター出来そう。

 しかも操糸スキルだから変則的に動かせる。


 基本はこれを訓練していくとして、並行して縫針も訓練していこうと思う。

 縫針は今はヘロヘロの威力だが、訓練すれば絶対役に立つと思う。流星垂は毎回、石をグルグル巻かないといけないので、準備に時間かかるのが欠点かなぁ〜。


 ちょっと思いついたので、縫針をもう一度出す。思い切って投げつけ、刺さったとこで、操糸スキルで流木をグルグル巻きにした。


 獣相手なら、これで身動き取れなく出来る。


 水汲、釣り、食事のルーティンにかかる時間を残して、ひたすら練習を重ねた。


 夕方の釣りは、操糸スキルで針を出し、それをベースに糸でフライを作ってみた。

 フライフィッシングはやった事が無かったので、出来上がった物は、針に糸を巻きつけただけの何となく虫に見える程度だが、操糸スキルでアクション付けられるので、釣れるんじゃないかと期待し、早速、海中へ投入してみる。


 自然に沈ませていき、魚のいる層で、チョンチョンとアクションしてみた。

 なかなか反応が悪いので、そのまま底まで沈め、少し海底から上げてアクションを起こそうと思った時、珊瑚礁の影から魚が食いついた。

 が、引きが弱い。スルスルと糸を収納していくと、三十センチ程のエゲツないカラフルカラーなエソに似た魚だった。


 焼魚で食べたが、予想通り小骨がめっちゃ多くパサパサした身だった。


 まぁこんな日もあるでしょう。


 ふと、最近、魚の骨を捨てていた辺りに、ヤドカリらしき跡を見つけた。やっぱりデカイ。

 多分、夜中に残飯を漁りにきてるのかもしれない。


 ちょっと思いついて、くくり罠になるよう操糸スキルで糸を出し、枝で一メートルくらいの輪っかを維持するように魚の骨の周りに設置した。

 そのまま、罠が閉まらないように糸を余分に出しながらシェルターまで帰る。


 これだけ離れると操糸は出来ないけど、獲物が掛かればわかるかもしれないと、期待を込め眠りについた。


 眠りこけていると、指先に触るような感触が伝わってきて目が覚めた。

 すかさず糸を収納していき、ピンと張った瞬間、ズンっという重さが伝わってきた。

 獲物が掛かったのはいいが、重すぎる!

 慌ててベッドから降りて、シェルター入口を潜るが、まずい。このまま引きずられると、崖から落ちてしまう。


 すぐさま左手から糸を出し、壁を動かした時に作った崖上のアンカーを探す。

 何とか綱引きの様な体制で耐えながら、崖上にアンカーの残骸を見つけ、左手から伸びる糸を適当に結びつける。

 左手と右手の糸同士をぐちゃぐちゃになりながらも適当ノットで連結し、体から切り離した。


 寝起き全力綱引きは勘弁してほしい。

 息切れしながら、ビーン、ビーンと規則的に張る眼前の糸を眺めた。

 とりあえず、今日はこのまま、明るくなるまで放っておこうと、シェルターに潜り込み、眠りについた。

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