010 異世界認知
目が覚めた。
死んでない事に安堵する。
全然気分は悪くない。というより良いくらいだ。
ただ喉の渇きが酷く、腹も減っている。
傷口の変色は無くなっていた。
一箇所につき二口の傷跡が残っている。
とりあえず、水を飲もうとしたが、全部空だった。
蜘蛛の死骸を横目に、崖を降りる。
湧水ポイントに向かい、一時間程、水汲みしながら喉を潤した。
崖下の日陰に座り込み一息ついた。
もう、ここに来てから、訳が分からん日が続いていたが、間違いない。
ここは異世界だ。
誘拐されたとか、コールドスリープとか考えもしたが、今はハッキリとわかる。
ここは異世界だ。
何故かって?
糸出せるんだよね。指先から。
しかも出した糸がウネウネ〜とかグルグル〜とか、思い通りになるんだよね。
蜘蛛の石、多分、命名するなら、異世界っぽく魔石なんだろうけど、あれ食べて起きてから、使えるようになってしまった。
手足を動かす事が当たり前のように、糸の出し方を自然に理解している感じ。
本当に異世界とはねぇ。
どうしよう。これから。生きていけるかなー。
自信無いなー。
とかグダグダ考えていたが、結局、ハードサバイバルな状況は元の世界だろうが、異世界だろうが変わりはなく、なんなら、あんな生き物が襲ってくる分、ベリーハードに難易度上がった気もするが、とにかく、生き延びるために頑張るしか無いかな。
と、やけにシンプルに割り切れてしまった。
取り敢えず、何が出来るか確認しながらも、初めに腰回り分の長さで太めの糸を出して、次に折り返して膝くらいになる長さの糸を大量に、先ほどの糸に結えていく。
ものの十分くらいで完成してしまった。
シルクタッチの腰蓑
もう透き通る様な真っ白の腰蓑とか、儀式的なアイテムにも見えて、前衛的なのか原始的なのかよく分からないが、とりあえず全裸からは脱出。
文明に向かって一歩前進した。
他にも色々試してみる。
糸を真っ直ぐ出してみると、フヨフヨ〜と空中を進み、十メートルくらいから先は操作出来なくなった。
太さは髪の毛みたいな細さから、頑張るとボールペンの芯程の太さまで出せた。
糸の太さと操作出来る範囲には関係がないようで、細かろうが太かろうが問題は無かった。
試しに途中で太さを変えると、テーパーラインになった。
凄いなこれ。現代の釣り糸より高性能なんじゃないか。
糸の強さは正確には分からないが、マックスの太さの糸を思いっきり引っ張って見るが、全く切れる気がしない。
後々、測定してみようと思う。
あとは、蜘蛛の糸みたいにベタベタした糸は出せなかった。こう、映画にあるような、糸が飛んでいってペチョッとはくっつかない。ただ糸を操作できるってだけだ。
蜘蛛から得たから、蜘蛛の能力って訳じゃ無いのか?
他には硬度も変えられる。
意識しないとシルクみたいな感じだったけど、固く〜とか意識して出すと、棒の様な固い糸が出せた。
あと、糸は手の全指先から出すことも出来るし、逆に収納も出来た。ただ、切り離すと収納は出来ない。
その辺に糸の先端を括り付けて、収納してみると体を持っていかれるくらいの力はある。ただ、そこまで強いものでは無く、百キロとかを引き寄せるのは少なくとも無理そうだ。
二本、糸を出して操作すると、撚り糸は簡単に作れたが、三本指で三つ編みは無理だった。
布とかは全く無理、操作が複雑すぎて、全然出来ない。結局、普通に糸出して編むしかなさそう。
ここまで検証して、確信した。
これ、釣り最強!




