表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/119

デアモント公爵家の契約結婚

 やっとこ公爵家のネタまで来ました。タイトル考えた時は、もっとすんなりここまで来るはずだったんだけどな。


 次はオスカー君の反撃ターンと行きたいところだけど、はてさてどうなる事やら。

 デアモント公爵の申し立てにより、貴族院の高官の立会いの(もと)、協議の場が(もう)けられた。

 参加した親族の顔触れは、元が付くが、バルトコル伯爵のカレスン卿。伯爵家の四姉妹とその配偶者および子息。二つの分家の当主。そしてキャサリン義姉さんの義兄と言う立場をねじ込んできたエザール兄貴だ。


 一人だけ格下の子爵夫人だったキャサリン義姉さんだけど、今はランドール伯爵夫人なわけだ。デイネルス侯爵の兄貴が出てきたら、オーバーキルじゃなかろうか。


「この場での協議は、王城内で行われるに等しいと承知おきください。発言は全て公のものとなります。よろしいですな」

 お役人の宣言で、協議は始まった。




 本当に、本当に高位貴族って面倒くさい。

 デアモント公爵の説明を聞いて最初に思ったのがそれだった。

 話は、亡くなったバルトコル女伯爵より二代(さかのぼ)る。


 そんな昔の話と思うのは中位貴族の感覚だとかで、二千年以上の伝統を誇る公爵家と侯爵家にとっては、つい先日だそうだ。伯爵家だとちょっと昔くらい。

 俺も身に着けなきゃいけないと言われてるけど、大人になってから感覚変えるって、無理だよな。


「我がデアモント公爵家の三男にあたる人物が、バルトコル伯爵家に婿入りしたのが発端だ。公爵家と伯爵家、家格が合わないのは明らかだったが、熱烈な恋愛結婚だったと伝わっておる。バルトコル伯爵家は伯爵家筆頭と言って良い家格であるし、条件を付けて契約結婚にすることで許可が下りた」


 両家の当主、貴族院、そして王家。その全ての許可を取り付けて、ようやく実現するのが家格違いの結婚だそうだ。

 今更だけど、エザール兄貴、よくまあ侯爵家に婿入りできたもんだ。王家に直談判したリアーチェ義姉様、さすがです。


「その契約の中身だが、婿入りした当家の三男の血筋の男子を、デアモント公爵家へ戻すというものだった。この結婚により生まれたのが先代のバルトコル伯爵。残念ながら一人っ子だったため、契約の履行は次代以降に持ち越された」


 先代のバルトコル伯爵。亡くなった女伯爵の父親で、キャサリン義姉さんの祖父に当たる人だ。血筋的に当時のデアモント公爵の甥になる。


「いずれ我が公爵家に戻る血筋、となれば、薄まり過ぎては(さわ)りが有る。そこで、王弟殿下の姫君の降嫁が決まった。二人以上の男子が産まれれば無事契約終了だったのだが、そうはならなかった」


 病弱だった王族の姫君、女伯爵を産んで儚くなられたからな。でもそうか、伯爵家に王族の姫君って、そんな理由があったのか。


「バルトコル伯爵家が続く限りは条件が整うまで待つだけだが、此度(こたび)、伯爵家は終焉を迎えた。(ゆえ)に今代で契約の履行を求めねばならぬ。テムニー侯爵夫人のご子息はテムニー侯爵家唯一の後継者。無理は言えぬ。ランドール伯爵家にはご長女とご次男が健在。キャサリン夫人のご子息マーク卿を、我がデアモント公爵家の後継としてもらい受けたい」


「お言葉ですが」

 声を挙げたのは、キャサリン義姉さんだった。

「わたくしの母は、先代バルトコル伯爵の庶子でございます。さらに言えば、祖母は平民。公爵閣下であれば、わたくしの父についてもご存じでありましょう。我が息子マークは血が薄すぎます」


 今は公の場だからな。トマーニケ帝国の平民が父親だとは断言できないから、ぼかして言わないと。


「その点は問題ない。マーク卿は恐れ多くも聖女様の従兄(いとこ)であり義兄。天津神の子孫とは言え血が薄まり過ぎて只人となった我らより、よほど天津神に近しい。マーク卿が当主となれば、我がデアモント公爵家の(ほまれ)である。それにな」


 公爵閣下の口調が柔らかくなった。


「血の濃さに拘り過ぎた弊害が出ておるのは、この場の皆が承知であろう。子が産まれず、生れても病弱。血統は先細るばかり。バルトコル伯爵家が途絶えるも、公爵家と王族の血を入れたが故よ。平民の血、大いに結構。侯爵家以上の家は是非縁を結びたいと歓迎するであろうし、伯爵家の者たちが血の薄さを馬鹿にしてくるなら、それこそ公爵家の権威で蹴散らすまでのこと。権力の使いどころ、実地訓練には丁度よかろう」



 

 口調は柔らかくなったのに、迫力が増してませんか。

 なんとか言ってくれよエザール兄貴。俺じゃ言いくるめられそうで。

 高位貴族って、何でこんなに怖いんだ。







 ようやくタイトル回収できそうです。完結に向けて頑張ります。


 お星さまとブックマーク、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 血が濃くなり過ぎれば子共がまともに生まれない・育たないの知ってるんだから 家格違いの結婚許認可制にする必要ねーだろ まあ、変なのじゃないかの審査は必要だろうが(明後日の方を見ながら
[一言] いずれなくなってゆくとは言え、公爵家(天津方舟の要職)をほいほい潰せないもんなぁ わずかなりとは言え公爵家の血が入っていて現船長の近しい血縁ということなら全力で捕りにくるよね 他の公爵・侯…
[良い点] 更新お疲れ様です。 [一言] まあ日本でも京都のお公家はんにとっては、昨日も千年前も同じ感覚だったとか? 「三百年前に当家(ウチ)の○○が☆☆家の☆☆はんからコケにされたよってに、この辺で…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ