表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/119

自薦か他薦か立候補

お待たせしました。お読みいただきありがとうございます。

「東のバルトコル伯爵の娘婿はいかがでしょう。デイネルス侯爵の実弟でもありますゆえ、インパクトはあるかと。名前はオスカー・ランドール、王都警備隊中隊長でございます」 


 わわわわわ、やっぱり俺の事だった。

 何で宰相閣下が俺の事知ってるの。ま、まあ、兄貴がらみなんだろうけどさ。


「その者を選んだ理由は」

「まず、バルトコル伯爵領は、此度(こたび)の侵攻で戦場になる可能性が高こうございます。娘婿であれば援助を申し出ること、不自然はございませぬ。さらに、この者が動けば、相婿(あいむこ)三人も動くことになりましょう」


 ああ、キャサリン義姉さん、バルトコル伯爵の四女だから。でも、義姉さん伯爵家とは絶縁状態で、親戚付き合い無いんだよな。相婿って、どこなんだろ。

 うわあ、仮にも妻の姉の嫁ぎ先だぞ。名前も知らないのは我ながらマズい。


「今現在、王都に居る娘婿はこの者一人のみ。急ぎ話を通す必要がございます。デイネルス侯爵をこの場に召喚してよろしゅうございますか」

「よかろう」


 パン、パン。


 宰相閣下が手を叩くと、小柄な身体には不釣り合いなほど大きな音がした。あれだ、高貴な人が召使を呼びつける時のやつだ。劇なんかでよく見るやつ。実物見るのは初めてだけど。 

 呼応するように控えの間で動きがあって、兄貴が入室してきた。俺と同じ様に両脇を近衛騎士に挟まれている。

 一瞬、目が合った。しっかりアイコンタクトがとれて一安心。


「侯爵、エザール・デイネルス、御前に(さん)じましてございます」

「楽にせよ」


 陛下のお言葉で、兄貴を挟んでいた近衛騎士がすっと身を引いた。流れるように控えの間に戻っていく。そうか、俺はお言葉を頂けてないから、近衛騎士と一緒に壁の花なんだ。


「ほう、お前がマクミランのお気に入りか。お前の弟やらを推挙(すいきょ)したのはお前だろうが、ちゃんと身贔屓(みびいき)する理由があるんだろうな」

「もちろんです。王弟殿下」


 ああ、そうだった。軍務大臣は王弟殿下だった。そりゃ、陛下にずけずけ話しかけられるわ。


「我が弟オスカー・ランドールは子爵家三男、相婿は伯爵家当主二人と侯爵家嫡男。子爵家より多く援助せねば、面目が立ちますまい」

「ほう、その者が呼び水になる訳か。しかし、子爵ではたいした援助は出来ぬのではないか。最低基準が低すぎては、必要量が集まらんぞ」

 国軍総司令官の言葉に応えたのは、宰相閣下だった。


「なに、デイネルス侯爵家より助力を得れば、それなりの物を出せましょう。となれば、相婿の家でも伝手をたどるはず。つまりは、より多くの家が動きまする。そこで陛下にお褒めの言葉をかけていただければ、後は私どもがほかの貴族をたきつけてごらんにいれましょう」


 宰相閣下、リアーチェ義姉様と同類なんですね。あんまりお近付きになりたくないんですけど、逃げられないんだろうなぁ。


「よろしい。人選を承認する。マクミランよ、すぐに本人の了解を得よ。直訴は難しかろう(ゆえ)、デイネルスを通じて立候補させるが良い」


 陛下の承認が下りた。


「御意。デイネルス、聞いての通りだ。すぐオスカー・ランドールと連絡を取るように。あくまで自主的に立候補するよう、うまく言いくるめてくれ。できるな」

「は? 弟はそこに居ますが。宰相閣下が呼び出したのではないのですか」

「なに?」


 あー、気まずい、気まずいけど!


「発言お許しいただきます。本官は、東城門警備中隊、中隊長、オスカー・ランドール大尉であります」





 うん、皆様方、気まずいのはお互い様なので、そんなに注視しないで下さい。





 次兄の名前、でました。エザール・デイネルス君です。

 さて、ようやく壁の花から解放されたオスカー君。退室許可が下りるまで、もう一波乱残ってます(笑)


 お星さまとブックマーク、ありがとうございます。嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] あ、にいちゃんは宰相に弟は呼び出しされてたと思ってたのかww
[一言] あくまで自主的にですね
[一言] もうね 「あん?なんで呼んでもいないのにこの場所にいるんだ、コイツは?」 「そういや黒旗を持って来た奴がいたな」 という視線がビンビン伝わってきますわぁ(笑)。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ