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王都のランドール伯爵邸

 なーんか短くなってしまいました。水面下ではランドール伯爵家をめぐって各家の駆け引きが続いています。


 今日、NHKのブラタモリで、石見銀山をやってました。江戸時代の坑道とか、鉱山街とか参考になりました。映像資料があると、具体的にイメージできて楽しいです。

 初の領地視察から王都へ帰って来ると、王都の不動産めぐりが待っていた。



 高位貴族は王都の旧市街、通称貴族街に屋敷を構える。

 公爵家と侯爵家は、だだっ広い敷地を持つ大邸宅で王城の周囲を固めている。どの家も建国当初から続いていて、二千年の歴史と伝統は半端ない。


 伯爵家の邸宅の規模は、平均的な平民の家の数倍から数十倍。貴族街の土地には限りがあるから、それ以上は物理的に無理なんだ。

 伯爵家は栄枯盛衰が激しい。最長で八百年程しか歴史が無いし、結構頻繁に増減を繰り返している。

 なので、タイミングさえ合えば一等地に屋敷を購入できる。逆に言えばタイミングが合わなければ、大枚(たいまい)はたいても思ったような屋敷は手に入らない。

 

 そんな厳しい条件が有るのに、我がランドール伯爵家は、邸宅候補を五ケ所も斡旋してもらうことになった。おまけに、本来なら自己資金で賄うところを、王家から下賜されることになっている。聖女様の家への格別な配慮というやつだ。

 一つだけで良いから四つは断らなきゃなんだけど、これでも王家が厳選して下さったんだとか。

 

「ちゃんと王家が適正価格で買い上げて、それから下賜って流れだけど、ランドール家が選んで良いから。中には無料で提供しますなんて言ってくる家もあったけどさ、そういうのは王家が候補から(はじ)いているよ。でも、貴族の付き合いとか、面目やら縁故やら思惑なんかがいっぱいあるからね。申し出のあった建物に足だけは運んでほしいな。じゃないと、お断りした後が面倒だからさ」


 テイラムが笑顔で言ってくるけど、面倒でしょうがない。




 王都を騎乗して移動できるのは、職務中の王都警備隊員と、近衛騎士だけ。どちらでもない俺は、徒歩か馬車だ。新市街、通称平民街なら元の職場だから土地勘有るけど、貴族街じゃ案内が無いとどうにもならない。

 斡旋してくれた相手と王宮で待ち合わせして、現地を案内してもらう。それを五回繰り返すことになった。

 公平性の担保のため近衛騎士のエスコートがつくと言われたけど、断っても無駄だろうなぁ。


 俺は軍務で留守が多いし、住まいの事は一家の主婦に任せた方が無難だろう。そう思ったから、キャサリン義姉さんとニーナに同行してもらったんだけど、まさか、案内役に伯爵家御当主が出て来るとは思わなかった。


「何をおっしゃるやら。聖女様のお住まいですぞ。仇やおろそかには出来ますまい。ランドール伯爵家に便宜を図らせていただけるなら、光栄至極。お礼を申し上げねばならぬは、当家でございましょう。無論、無理強いなどいたしませぬ」


 俺は成り上がりの新米伯爵です。他家の御当主よりはるかに格下です。偉そうになんて振舞えない小心者なんです。 

 それでも御当主の相手は俺がするしかない。ニーナやテイラムに任せたりしたら、それこそ失礼だ。


 胃の痛い思いをしながら五日連続で貴族街を動き回った。肝心の家の内覧はそれこそ女性陣とテイラムに丸投げした。接待するんじゃなくて接待される方に回ったら、ごっそりと精神を削られてしまった。



「実感できたでしょ。上の者が威張ってくれないと、下が苦労するんだよ。オスカーは伯爵らしく偉そうにする練習しようね。実際、偉いんだし」





 分かったよ。頑張って演技するから、テイラム、演技指導、よろしくな。


 










 

 ニーナさん、いろんな家を見て、大はしゃぎしていそう。住宅展示場の内覧会って、ワクワクしませんか。


 お星さまとブックマーク、ありがとうございます。

 レビューが欲しい今日この頃。でも、我ながら取っ散らかってるこの話、レビューのしようが無いのではと思っちゃいます(笑)

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― 新着の感想 ―
[一言] 邸宅を譲ってでも 聖女様を縁を繋ぎたいって訳ですね
[一言] 貴族のご当主殿が中古戸建ての営業マンをやった、と。
[一言] 腰の低い偉い人はやりにくいですよね。 こっちが頭下げてやり過ごせないんだもん。
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