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閑話 開拓村の村長さん

 ちょっと思い付き。

 こじつけと辻褄合わせは楽しいなぁ(笑)


 前々話との整合性を取るため、前々話に書き加えをしました。

 うーん、ちょっと不格好だけど、意味は通じるかな。もっと筆力が欲しいです。


 あっしの名前はジャン。生れはトマーニケ帝国のどこにでもある田舎の村でやんす。

 村に残っても、兄貴の畑を死ぬまで耕してお情けで養ってもらうしかないでやんす。家にはそんな叔父さんが二人もいて、独り身で肩身の狭い思いをしていたでやんす。

 ああは成りたくないと思って村を出ることにしやしたが、伝手も縁故もないただの村人、先行きは真っ暗でやんした。


 案の定、食い詰めて、いつの間にやら後ろ暗い連中の下働きになってやした。

 どこぞの山の中の掘立小屋の並んだ場所で、坑道と言うんでやんすか、地面に長い穴を掘って、土を掻き出していたでやんす。

 後で聞いたら、土の中から銀が採れたんだとか。あっしにゃ、ただの土にしか見えなかったでやんすがね。


 ある時、立派なそろいの服着た軍人さんが大勢押し掛けて来やした。大声でデルスパニア王国のカロテタリア騎士団であると言ってた騎士様の姿、今でもはっきり思い出せるでやんす。

 それからどうなったのか、言われるままに山を下りて連れてこられた部屋にずっと居ただけで、詳しいことは分からずじまいでやんす。


 銀の採れる山がデルスパニア王国の物になったから、あっしらはデルスパニア王国の民として認めてもらえると言われやした。

 どうしてもトマーニケ帝国に帰りたいなら帰っても良いが、王国と帝国の国境交渉が締結するまで待たなきゃいけない、それまでは収容所から出られない。滞在費が借金になる。借金を返すまでは帰れない。

 それって、絶対帰さないってことじゃないでやんすかね。


 正直言って、国に未練は有りやせんでした。村には愛着が有っても、国に有るかと言われたら無いとしか。

 晴れてデルスパニア王国の民に成りやしたが行く当てなんぞ有りゃしません。そんなあっしらを見かねたのか、行先を紹介していただきやした。辺境も辺境、未開の地にある岩塩鉱山でやんす。

 と言っても、今まで銀掘りしてた山に比べれば、随分とマシでやした。


 まず、道がある。半日も歩けば、村に行けるでやんす。隣村ではチーズやソーセージ造りをしていて、塩は有るだけ買ってもらえやした。

 岩塩は崖に露出していて、いくらでも取り放題でやんす。土をほじくり返す手間が要りやせん。それを背負って運ぶだけで良いんでやすから、生れた村に居た頃より、あっしらの生活は楽になりやした。


 その内、隣村でたまたま来ていた行商人と取引が出来やした。馬を一頭売ってもらって、岩塩を運ぶ量を増やしたでやんす。増えた分は行商人が引き取ってくれて、売れ残ることは有りやせんでした。

 馬を買った借金を返しながらでやしたが、取り分が増えて、良い取引だったでやんす。


 そしたら、今度は荷車を通せる道が出来るって話が来たでやんす。眉唾もんでやんしたが、本当に大勢の人夫(にんぷ)がやって来て、道普請(みちぶしん)が始まりやした。

 山ん中に居たんで(うと)くなってたんでやんすが、あっしらの居た銀の山の取り合いで、トマーニケ帝国とデルスパニア王国が戦争になったと教えてもらいやした。

 騎士団が大勢で戦争に行くんで、塩がいくらあっても足りなくなったとか。兵隊さんが食べる保存食をたくさん作るんだそうでやんした。


 道が出来上がると、働いてた人夫のほとんどが岩塩鉱山に残って塩堀りをしやした。人手はあるしテント暮らしはきついしで、丸太小屋を作っているうちに、いつの間にやら開拓村の出来上がりでやんす。

 戦争が終わって、人夫の半分は故郷へ帰って行きやしたが、半分は残りやした。自分の家と畑が有りやすからね。食べていけると分かれば、嫁取りだって夢じゃありやせん。


 隣村や行商人の紹介で集団見合いをお願いしたり、湧水の有る奥の村を広げたりして、何人か結婚できた頃、またまた大事件が起きやした。

 今まで王領だったこの地が、新しく伯爵領になるでやんすよ。伯爵様が領主になって、税金を払わなきゃならなくなるでやんす。


 酷いでやんすよ。この開拓村を一から創ったのに、形になったら貴族様に取り上げられるでやんす。こんな理不尽が有りやすか。

 分かってやす。あっしら平民は、お貴族様の理不尽を黙って受け入れるしかないでやす。あきらめるしかないでやすよ。

 そう思ってたでやすが……。




 領主様、領主様は伯爵様でやんす。

 お願いでやんすから、あっしに頭を下げないで下さいやし。

 


  









 あれあれ、私道はオスカー君の結婚祝いだったんじゃあ(;^_^A


 多分、王家から予算だけついてたのを、戦争で慌てて執行したんでしょう。


 何しろ王領の未開地、貴族は手出しできませんから。塩が欲しいから道を作ってもらえませんかと問い合わせが来て、棚ざらしの予算を思い出したんですよ(笑)



 ジャン村長(予定)、モブにも歴史アリです。




お星さまとブックマーク、ありがとうございます。ブックマーク4800って、すごくね(笑)

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― 新着の感想 ―
[一言] この行き当たりばったり感満載の塩の道www そりゃあオスカー君の仕事ぶりは評価されますね
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