初めての王宮訪問 書状は届いた
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おかげさまでランキングに入りました。PV、31だったのが一週間で3万2千超えました。千倍って、千倍って(;^_^A
国王陛下の執務室。どう考えても俺は場違いです。
正面の立派な執務机には国王陛下。入口の内側に立つ近衛騎士が二人。部屋の中央に立つ俺の両脇を固める近衛騎士二人。
えっと、このまま回れ右しちゃ駄目ですか。
そりゃね、謁見の間での立ち振る舞いは一応教わってるよ。一生縁が無くたって、貴族の教養だからね。でも陛下の執務室なんて、有り得なさすぎませんか。
陛下は俺が届けた書状を検めていらっしゃる。両脇の近衛騎士はピクリとも動かない。俺も動けない。内心はどうあれ、職務中の直立不動は軍人の基本。基本を押さえとけば、不敬罪だけは免れるはず。
控えの間越しに、蹄の音がした。カッポ、カッポと、廊下をゆっくり遠ざかっていく。誰かが連れ出してくれてるんだろう。頼むから俺を置いていかないでほしい。
馬とは反対方向から、複数の足音が近付いてきた。男性のものだ。いくつか聞き慣れた軍靴が混じってる。
「こちらへ」
軽く肘を引かれて、近衛騎士と一緒に壁際へ移動した。何気に初めて声を聞いたな。
「陛下、黒旗は何と」
入室してきた勢いそのままに、野太い声がした。戦場で指示を出す腹に響く声だ。
王宮の廊下を馬が走ったんだから、そりゃ、黒旗が到着したってすぐ分かりますよね。招集かけなくたって、皆さん自主的に集まって来ますよね。王宮だから、軍務大臣や国軍総司令官が居て当たり前ですよね。ええ、誰か判りますよ。これでも一応軍人なので。大臣らしき文官の皆様は顔だけじゃ判らないけれど。
現実逃避しながら、俺はひたすら空気になった。
「どうやら、向こうは本気のようだ。正規軍が動き出したらしい。跳ね上がりどもに助けを求められて仕方なくか、それとも初めからダシにするつもりで嗾けたのか」
陛下の手から、書状が執務机の上に放られた。軍務大臣がずかずかと近寄って、片手で掴み上げる。そのままざっと目を通すと、同行者の皆さんで回し読みを始めた。
「どの道、我が国も軍を出すしかないが、どうする。短期決戦なら今のままでも無理すればいけるが、相手が正規軍となると、戦時体制をとる必要があるぞ。各地の騎士団を全部動かしたら、半月で飢えて行動限界だ。物資が無い。物資は有っても、馬がいない。馬がいても飼葉がない。そもそも馬に牽かせる荷車が足らん」
あー、腹が減っては戦は出来ぬ、ですよねぇ。国王陛下にその口調って、信頼されていらっしゃるんですねぇ。
俺は何も聞いてません。俺は空気、俺は空気。
あまりにも評価いただいて、少しはお返ししなければと、短いですけど、投稿しました。
オスカー君、存在を忘れられているかも。
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