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彼は男爵家の後継者に成りたいだけだった  伯爵? 公爵? 無理無理無理!   続編も始まったよ  作者: お冨
第七章 オスカー・ランドール伯爵

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ダンジョン……だと

 今日で職場の盆休み最終日です。土曜日は仕事なので、週末更新は一回になりそうです。



「我がスミス公爵家の始祖は、天津箱舟食糧計画統括を務めておりました。食料の生産、運搬、配分、その他関連する全てを司っていたのです。その中には、入植した惑星、と言っても分かり辛いですか。この大地全ての環境に合わせた品種改良の任務が含まれるのです」

 グレーン卿が、言葉を選びながら説明してくれた。


「天津箱舟は、この五千年間テラフォーミングに専念してきました。大気組成の調節と土壌微生物の育成、植生の多様化は完了しております。次の段階として、農作物の多様化を進めなければなりません」

 専門用語は解らないけど、言いたいことは分かる。ミリアが天津箱舟を解放したんで、出来る事が増えたんだな。


「現状では、最低限の作物しか普及していない。小麦は有っても米は無い。トマトは有るがコーンが無い。船長閣下が神代の調理レシピを公開してくださったのに、材料不足で再現できないのです」

 グレーン卿がグッと手を握った。


「船長閣下にご満足いただけないなど、天津箱舟乗組員としてあるまじき失態。船内の食糧生産プラントに保存されているあらゆる品種を地上で栽培可能にしなければなりません。もちろん、品種改良は必須。最低でも米とチョコレートの木は今年中に形にしたい。その試験場として、ランドール伯爵領を使わせていただきたいっ」

 こういうのを熱弁って言うんですね。動機がミリアということは分かりましたから、落ち着いてください。


「伯爵領は未開の地、地形的に山岳地帯が壁になって機密保持に適しております。ある程度豊かな植生が有りますから、有用な作物が新発見されても不自然では無い。しかし、あまりに数が多すぎては違和感を持たれます。ですので、天津箱舟由来の物品の配布場所を設置させていただきたい」

 配布場所、ですか。


「そうです。ダンジョンです。ダンジョン都市として整備すれば、ランドール伯爵領の発展は確定したも同然。是非、ご検討ください」

 ダンジョンって何なんだ。聞いたことが無い。


「あー、オスカー、出来れば丸投げして欲しいんだけど。悪いようにはしないからさ。要は、訳の分からない技術や品物をダンジョン産だから仕方ないって、思考停止してもらうための仕掛けだよ」

 今まで黙っていたテイラムが口添えしてきた。


「地下に都市をつくって、古代遺跡に偽装するの。そこから発見された失われた技術って大々的に宣伝すれば、そういうものだって納得してもらえるからね。後は、必要に応じて天津箱舟の知識を小出しにしていけば良い。完成品が目の前にあれば、再現しようと試行錯誤して技術革新の取っ掛かりができやすいしね」


「テイラム大佐のおっしゃる通りです。目新しい作物をダンジョン内で発見したと言えば、それで済みます。他には、天津箱舟の食糧生産プラントを設置すれば、無尽蔵に食料を提供できます。死因から餓死を削除できますよ。飢饉が無ければ稼働させないだけですし、産出量の不均衡はダンジョンだからで押し通せます」


「あとはそうだねー。大規模災害とか戦争とかで避難場所が必要になった時、古代遺跡に逃げ込めるでしょ。氷河期くらいなら乗り越えられるから、人類滅亡の危機を回避できるよ。王家としては、人類存続に繋がるんだから、反対しないと思うなー」


「ヒョウガキって何だ。それと前から気になってたんだけど、どうしてそこまでして天津箱舟を隠蔽(いんぺい)するんだ。今までは証明出来なかったかも知れないけど、今ならミリアが居るんだから、公開できるだろ」



 

 その場が固まった。俺以外の全員が身じろぎもせず、硬直している。


 え、俺、やらかしたか。




「そう、ですね。天津箱舟の秘匿は掟です。当たり前のことすぎて、理由を考えたことがありません」


 やっとグレーン卿が再始動した。テイラムが珍しく真剣な顔をしている。


「おそらく、だけど。天津箱舟に頼り過ぎないためじゃないか。ある日突然、天津箱舟が故障したり、旅立ったりしたら、頼れなくなるだろう」

「あ、確かに。いつか旅立つ時のために搭載艇の操縦技術を継承して来たんでした。そうか、残される民は天津箱舟の喪失感を抱えてしまうか。それなら、初めから知らない方が良い」


 なんとか結論が出たようだ。


「私は、近衛騎士と天津箱舟乗組員の立場に甘んじておりました。無意識のうちに閣下を侮っていた。謝罪申し上げます。閣下は、天津箱舟船長の父君というだけではない」


 近衛騎士の皆さんが揃って立ち上がると、腰を深く曲げた。軍隊式の最敬礼だ。

 そこまでしていただくと、返って居たたまれない。


「オスカー・ランドール伯爵閣下。改めてお願い申し上げます。我らの仕官をお認め下さい。視野を広げていただき、感謝申し上げます。この地でダンジョンを管理する事、お許しいただきたくお願い申し上げます」





 この流れで断れるほど、俺、図太くありません。

 丸投げして良いよね、テイラム。









 ダンジョンから出る古代文明の失われた技術。一応、嘘にはならないでしょう(笑)


 会話率高っか(笑) テンポ良く説明するにはこのスタイルが一番書きやすいです。ランドール伯爵領の方向性が決まったかな。


 とある外国で、隣接する地域の紛争に介入する口実に、「隣人を愛せ」という聖書の一節が使われた時。取材していた日本人ジャーナリストが、「敵は隣人じゃないんですか」と素朴な疑問を出したら、その場が凍り付いたそうです。結局、返答は無かったそうな。



 お星さまとブックマーク、ありがとうございます。ミリアちゃん、ご飯とチョコレート、食べられると良いね。


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― 新着の感想 ―
[良い点] いや、確かにロストテクノロジー(厳密にはロストしてない)だけどさ ダンジョンまで作っちゃうかー [一言] 超常の力があることを知ってしまったらそれ前提で行動してしまうからね
[一言] ここで、ダンジョンを言い訳に使うとは思ってなかったけど、確かにうまい手だな。
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