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貴族領の基礎知識

 今日、最高気温37度超えてました。明日の予報は38度です。

 皆様、熱中症には充分お気を付けください。あっつーい(笑)

 こんにちは、ミリア・ランドールです。この度、伯爵令嬢になりました。

 実家の子爵家が伯爵に陞爵したからですが、陞爵理由が私って、冗談みたいです。だって、私は十二歳の小娘ですよ。

 色々有って、表向き聖女を務めています。御神託を授かる女性という意味なので、聖女じゃなくて巫女の方が正しいんじゃないかなと思いますが。

 まあ、こだわる必要は無いでしょう。あくまで世間向けの仮初の地位ですし。


 それより、今は目の前に居る人物にどう対応するかです。なーんか、思惑が透けて見えるのですが、

 そんなに私にまとわりついて、婚約者の公爵令嬢をほっといて良いんですか、王太子殿下。

 キラッキラの王子様オーラを振りまいても、成人王族が十二歳の少女に入れ揚げては台無しです。前世日本だったら、ロリコン疑惑待ったなしですよ。


「そう邪険にしないで欲しいな、ミリア嬢。今の私は、ミリア嬢の虫よけ役だよ。王位継承権持ちの高位貴族は(わきま)えているけれど、伯爵階級はランドール家に取り入ろうと必死だから。中には手段を選ばない(やから)もいるようだしね」

 爽やかな笑顔は殿下の標準装備なんですね。さすがに見飽きましたよ。


「ま、オスカー卿が戻るまで、私のエスコートを受け入れて欲しいな。その内落ち着くから、それまでの辛抱だよ。それとも、近衛騎士に(かしず)かれたいかい。彼らは船長閣下命だからね。天津箱舟乗組員のプライドは天井知らずだし、船長には絶対服従、女神様として(あが)(たてまつ)りたくてウズウズしてるけど」


 それは、まあ、遠慮したいと言うか。

 だって、筋肉ムキムキの威圧感たっぷりの小父さんたちだよ。集団で来られたら、精神ガリガリ削れるから。


「とりあえず、貴族の現状についてレクチャーするから。本来なら貴族学園で習うことだけど、そうも言ってられないし。伯爵令嬢の教養を身に着けておいた方が、後々楽だからね」


「良いですけど、殿下と二人きりは遠慮しますっ。マーク兄様との同席希望っ。できたら、ニーナ母さんとキャサリンお母様もご一緒にっ」

 それが最低条件ですからねっ。




 マーク兄様とニーナ母さん、ガチガチに緊張してた。

 王太子殿下と同じ机で勉強会なんて、負担にしかならないよね。巻き込んで御免。でも二人が居てくれて本当に助かってるから。付き添い、お願いします。




 我が国の公爵家は十四家、侯爵家は百二十七家、合わせて百四十一家。伯爵家が従属爵位込みで二千四百五家。

 領地は国から与えられているけれど、貴族が持っているのは行政権とそれに付随する徴税権。

 あれだ、江戸時代の大名と同じ。土地は領主じゃなくて領民が所有しているの。だから地主に固定資産税をかけることは出来るけど、領主が自分の物でもない土地から地代は徴収できないんだって。


 貴族が集めた税金は、領地経営に使われる。一部は国税として国に上納される。領主は、領地の経営者としての給料分しか税金から受け取れない。

 なので、貴族家はいろいろな収入源を税金以外に作らなきゃいけない。交易したり、土地を買って農園経営したりするのは珍しくないらしい。


 実のところ、領地を持たない貴族、所謂法衣貴族の方が、領地持ち貴族より多いんだって。王城で文官してたり、軍人として国軍で働いて収入を得ているそうな。

 厳密に言うと法衣貴族は文官だけだけど、軍人も領地無しという意味で一緒くたになってるんだって。




 うーん、前世の感覚で言うと。

 十四家しかない公爵家は世界的大企業、日本が誇る自動車メーカーとか総合商社とかのグローバル企業ってやつね。

 侯爵家は一部上場の大企業。伯爵家は上場してないけど地元じゃメジャーな大企業だわ。

 ついでに言うと、領主持ち貴族は創業者一族、法衣貴族は官僚かな。あ、王領を統治してる代官は雇われのサラリーマン社長だね。

 中位貴族の子爵と男爵は中小企業。一代限りの下位貴族、騎士爵と準男爵は零細企業。


 おお、うまいこと当てはまっちゃった。

 そうなんだよね。前世日本には身分制度は無かったけど、それでも結構な格差社会だった。学歴とか性差とか、正社員と非正規雇用とか。


 むしろ格差の無い社会なんて存在しないでしょう。格差を否定したのが共産主義だけど、前世の共産主義国家は日本以上の格差社会だったような。

 理想と現実は違うよね。




「王家としては、良い口実ができて助かったよ。聖女の輩出(はいしゅつ)なら、ランドール家だけに限定できるからね。戦功を理由に陞爵させたら、他にも陞爵させなきゃいけない家がぞろぞろ出て来るから」


 王太子殿下、なんだか不穏な事、口にされてませんか。


「新しいランドール伯爵領はとんでもない僻地、と、失礼、ツオーネ男爵領の隣だったね。とにかく、発展してない土地だから、それほど羨ましがられる事はない。王家は、陞爵、陞爵、うるさく迫られずに済む。ああ、ランドール家には、名誉の他にしっかり実利も渡す予定だから安心して。何しろ聖女様の御実家だからね」


 王太子殿下がちらりとマーク兄様に目配せした。


 そう、これは表向きの理由なのね。天津箱舟絡みの理由は別にあると。


 


 王家と高位貴族って本当に面倒。

 これからずーーーっと付き合わなきゃいけないなんて、先が思いやられます。



 






 やっぱりミリアちゃんは現代日本視点の突っ込み役が似合います。


 エザール兄貴、一部上場の大企業の取締役社長と考えると、逆玉の輿の凄さが実感できそう。その上第三宰相ってことは、閣僚ですよね。大物っぷりが凄いです。


 オスカー君が気にしてた王家の思惑、表向きの物は王太子殿下の説明通りです。




お星さまとブックマーク、ありがとうございます。感想、読ませていただいてます。更新、頑張ります。

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― 新着の感想 ―
[良い点] そうそう昔のお家や貴族家って今でいう企業なんですよね 土地を運営する企業 だから恋愛結婚を無視してでも繋がなくてはならない [気になる点] タイトルどおりでは主人公はパパの方なんですけどね…
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