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彼は男爵家の後継者に成りたいだけだった  伯爵? 公爵? 無理無理無理!   続編も始まったよ  作者: お冨
第六章 聖女様のお披露目

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ランドール伯爵 爆誕

 社交界に激震が走りました。陞爵したって、ちっとも嬉しくないオスカー君。その態度が何だか誤解の原因に?

 俺はオスカー・ランドール。この度、伯爵に成りました。こんなに嬉しくない出世はありません。


 そりゃあ、世間一般から見たら、陞爵なんて一族総出でお祭り騒ぎするほど目出度いんだろうけどさ。子爵から伯爵だよ。中位貴族から高位貴族って、どう考えても面倒事になるよな。

 兄貴とキャサリン義姉さんがらみで高位貴族の実態を見せられたから、憧れなんて微塵(みじん)も無いし。と言うか、高位貴族怖いし。


(あきら)めろ、オスカー。他国の使節の前で国王陛下が宣言されたんだ。立会人はパーティー出席者全員。これで断ったら、国外逃亡しか道は無いぞ。そうなったら聖女の取り合いで戦争になるな」


 それぐらい俺にだって分かりますよ、兄貴。ハァ、何でこうなった。




 陛下の宣言の後、俺の周りには今まで面識のなかった伯爵家当主の皆様が群がった。そりゃもう、数が多すぎて顔と名前を一致させられないくらい。

 王太子殿下が助け舟を出して下さらなかったら、パーティー終了まで身動き取れなかっただろう。


 ミリアの周囲は近衛騎士の皆様ががっちりガードしてたから、公爵家と侯爵家の皆様以外、近付けなかったようだ。あちらは任せておいて大丈夫。頼りない父親でごめんよ、ミリア。


 我がデルスパニア王国には、公爵家が十四家、侯爵家が百二十七家存在する。この数は建国以来変わっていない。今なら天津箱舟関係の血統維持が目的だったからだと解る。

 伯爵家は確か二千家を超えていたはず。増えたり減ったりしてるから、正確な数値は貴族院かテイラムに確認しないと分からない。

 バルトコル伯爵家は女伯爵の寿命が尽きたらお家断絶が確定してるし、今回ランドール伯爵家が新設されて、一増一減か。

 きな臭い世情が続いて戦乱の時代に逆戻りしたら、戦功で成り上がる家と一族戦死して没落する家が入り乱れることになるんだろうな。そうならないで欲しいものだ。


 王太子殿下に連れられて、王家の皆様と他国の使節の方々が集まっていらっしゃる一角へ。場違い感が凄いが、ここは聖女の父として見栄の張りどころだな。





「グローブーナ伯爵、この者がオスカー・ランドール。此度(こたび)、伯爵位を与えることになった。見知り置き願いたい」

 デルスパニア国王に改めて紹介された聖女の父親は、拍子抜けするぐらい平凡な男だった。否、平凡な男に見えた。


 その場では当たり障りのない会話に終始したが、まるで(とら)えどころがない。

 王室主催のパーティーという場で、聖女の父親という立場で、陞爵という滅多にない機会だというのに。

 覇気も野心も感じなかった。緊張するでなく、卑屈になることもない。舞い上がることも怯えることもなく、あくまで普通。


 何故ここまで平凡でいられるのだ。これほど非凡な男を私は知らない。


 パーティーの後、私はオスカー・ランドール伯爵の情報を掻き集めた。

 他国から来ていた顔見知りの大使たちが躍起になっている。情報戦で負けるわけにはいかない。

少しでも出し抜けるよう、部下を叱咤し、デルスパニア王国の要人と接触を計った。


 是が非でも、我がトマーニケ帝国に有用な情報を持ち帰らねば。






「いやー、思ったより上手く行ったよ。みーんな必死になってオスカーの情報探ってるからさ、うまい具合にミリアちゃんから目を()らせてる。目くらまし役、ご苦労様」

 ご機嫌なテイラムにポンポン肩を叩かれたけど、俺、何かしたか。


「分かんなくて良いからさ、オスカーはそのままでいてね」

 時々、訳分らんこと言うよな、テイラム。


「はいはい、こっちの書類にもサインしてね。まだまだ事務処理、たーっぷり残ってるから。それと、王宮から下賜される伯爵邸、候補が決まったら下見に行くよ。早いとこ決めて改装始めないと、引っ越しできないでしょ。マーク君の貴族学園入学までに王都の貴族街へ拠点移さないとねー」


 げっそりしても仕方が無いと思う。

 王宮から示された伯爵領は、地名しか分からない。これから詳細を調べる段階なのに、王都の拠点整備なんて後回しで良いじゃないか。


「王家は領地経営なんて、オスカーに期待してないから大丈夫だよ。中将の階級と子爵の家格が釣り合ってなかったから、伯爵に陞爵させるって既定路線だったしね。バルトコル伯爵に成るかランドール伯爵に成るか、ちゃんと選ばせてもらえたでしょ。王家としてはどっちでも良かったんだよなー」


 ちょっと待て。なんだそれ。聞いてないぞ。


「わざわざ国王召喚したんだよ。普通なら、拒否権なんて認めるわけないでしょうが。聖女様の御父君と縁をつなぎたい輩はわんさかいるから、代官の成り手は選び放題。王家が目を光らせてくれるから変なのが紛れ込む心配ないし、得意の丸投げしちゃえば良いよ」


 テイラムがいつものようにケラケラ笑った。

 むかつく態度だけど、相変わらずなところが安心できると言うか、ちょっと複雑な気分だ。




 俺はいつになったら軍務に復帰できるんだろ。遠い目をしても、許されると思うんだ。














 今回で十万字突破です。お付き合いいただきまして、ありがとうございました。これからも読んでいただけると嬉しいです。


 お星さまとブックマーク、よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言]  俺はいつになったら軍務に復帰できるんだろ。遠い目をしても、許されると思うんだ。 ↑ 答え そんな日は来ないかな? 何故なら下手に戦死されると国がかたむくから
[良い点] 更新お疲れ様です。 [一言] ダメ親父とは言わないけれど。なんだかオスカーが壊れてしまいそうな…。
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