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彼は男爵家の後継者に成りたいだけだった  伯爵? 公爵? 無理無理無理!   続編も始まったよ  作者: お冨
第五章 オスカー卿 困惑す

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俺の娘は転生者

 感想ありがとうございます。読ませていただいてます。

 今日は暑かった。梅雨入り前に真夏日なんて、今年も猛暑になりそうな。

 いきなりの娘のカミングアウトに、空気が凍った。


「私、前世が日本人だったみたい。知らないはずの知識が有るの」


 前世か。まさかミリアが前世持ちだとは気づかなかった。

「そうだったのか。驚いた。まさかお前がなぁ。本当に居たんだな」

「えっ、私以外にも居るの」

 ミリアが目を丸くした。どうやら知らないらしい。

「ああ。そうか、貴族学園で習うから、ミリアはまだ知らないか」


 王立中央高等学園、通称貴族学園は、貴族が十五歳から三年間通うことを義務付けられている場所だ。

 平民は十二歳で受ける卒業試験で全問満点を取ると、特待生として通う権利を与えられるが、義務ではない。

 そこで習う教養の中に、前世の記憶持ちも含まれている。


「とても珍しいし、記憶があるだけで、才能とか体で身に着ける技能とかは引き継がれないから、本物かどうか判別が難しいんだ。大多数は自称で、証明しきれない。そもそも覚えてる記憶が平凡な平民の日常じゃあ、有っても無くてもあんまり影響力は無いしな。大体が昔の時代遅れの知識だから、有難がるのは歴史学者くらいだよ」

「そうなんだ。大騒ぎすることじゃないんだね。ちょっと安心した」


「いやいやいや、ミリア嬢の記憶は神代古語の時代のものでございましょう。唯一無二ではありませぬか」

 再起動した陛下が、大声で叫ばれた。


「そも、銀河標準歴が何故一日二十四時間、一年三百六十五日なのか、誰も知りませんでした。チキュウという惑星も、ニホンという国も、神代古語がニホンゴだと言うことも! 誠、船長に相応しいお方。絶対の忠誠を誓う栄誉、どうか我らにお与えください」

「ええー。私、一般人だったし、天津箱舟の乗員登録は皆さん済んでるじゃないですか。船長はもっとふさわしい人に成ってもらいたいです」


 ミリアと陛下の押し問答に、後ろの近衛騎士の方々が口々に嘆願しだした。

「相応しいのは、貴女様でございます」

「なにとぞ、なにとぞ」

「我らをお見捨てにならないでください」


 パーン


 カオスな空間で、妻のニーナが行動に出た。両手を打ち鳴らして、大きな音を出したんだ。


「皆様、落ち着いてくださいませ。ミリアは十二歳ですのよ。体格の良い騎士が寄ってたかって何ですか。威圧するんじゃありません」

 うわっ、ニーナが本気になった。不敬に……はならないか。初めに陛下が宣言なさってた。

「陛下、説明が途中でございますわね。さっさと終わらせて下さいませ。ミリアにこれ以上負担を押し付けないでくださいまし」

「う、うむ、申し訳ない」

 陛下がタジタジだ。ニーナ、母は強しを地で行くからな。




 五千年前、天津箱舟の乗員登録の方法が失伝してしまった。その時点で天津箱舟はテラフォーミングの作業中。新たな作業を命令する乗員が居なくなり、今でもテラフォーミングだけを続けている。

 乗員の血縁者は、乗員候補として、シミュレーターを利用できる。天津箱舟の搭載艇の操縦を、五千年間、研鑽してきた。搭載艇なら今すぐ操縦できるし、他の様々な宇宙船の操縦にだって応用が利く。


「五千年は長い。血が薄くなりすぎて、いくつもの血統が途絶えてしまった。血統の保持のために作った登録制度が王家と貴族制だ。そして貴族制度を維持するために封建社会を構築した。あくまで血統の保持が目的、デルスパニア王国内だけで充分機能する。人類の多様性を守るためにも、複数国家の成立を容認した。それが二千年前のこと。その後の歴史は、知られている通りだ」


 天津箱舟の末裔は、高位貴族となった。船長の子孫が王家、役職船員が公爵家、一般船員が侯爵家。

 その真の目的は乗員候補である近衛騎士を輩出すること。貴重な近衛騎士を守るために、王族の身辺を利用した。


「二千年間、うまく機能してきたのだ。だが、血が濃くなり過ぎた。王家の血を入れたバルトコル伯爵家はわずか三代で途絶える。デイネルス女侯爵は妊娠しても出産に至れず流産を繰り返した。十四有る公爵家のうち、当主の実子が居るのは三家しかない。もう、限界だった」


 そこに現れたのがミリア・ランドール。






「天津箱舟の船長閣下。貴女は我らの救世主。どうか、どうか我らの忠誠をお受け取り下さい」


 国王陛下の血のにじむような言葉に、嘘は無かった。


 










 

 さて、天津箱舟の過去は説明しました。ここから話が盛大に斜め上へ転がります。

 転生者って公認されてるけど、霊能者とか占い師のようなうさん臭さがあるみたい。詐称する者が後を絶たないので、本物の方は信用問題で迷惑しています。


 お星さまとブックマーク、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
あれミリオタ様はなんだったんだ? ミリアと同じような立場で古代神語時代(21世紀初頭近辺)の知識を授けた人だと思ったんだけど
[気になる点] そもそもが、今の星から新しい星に再入植する必要あるんだろうか&出来るんだろうか。入植初期の緊急脱出(できなかった場合がアン・マキャフリィの「パーンの竜騎士」シリーズ)とか想定外の天災な…
[一言] つまり船長が登場した今、どん詰まりだった血統維持が丸ごと大・解・決!なんですな。 船長をぜひ王様にしたい でももと男爵家の伯爵家の小娘は王様にできない せや、公爵(以降はかすれて読めない…
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