表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/119

正月特番 契約結婚の影響力

 明けましておめでとうございます。


 今回は、特番ということで、ずーっと未来のお話です。

 ツオーネ男爵家当主が死去したという情報は、ひっそりと貴族院に届けられた。

 享年九十八歳、大往生である。隠居せずにその年まで当主であり続けたというのは珍しいが、地方の吹けば飛ぶような弱小男爵、誰も話題にしなかった。

 大事になったのは、翌日のこと。故ツオーネ男爵の一人娘の契約結婚が明らかになったからである。


      『男爵家の後継者は、ニーナ・ランドールの血を引く男子に限る』


 条件に合う男子は複数いるが、ほとんどが既に他家の当主であったり、隠居済の高齢者だった。

 若年層で条件に合うのは、これまた他家の嫡男ぞろい。女子なら何人もいるのだが、男子に限るという条件に合わない。

 そうしてお鉢が回ったのは、王家の第二王子だった。


 王子殿下を弱小男爵家当主にする。

 有り得ない事態だが、契約結婚の条件は破れない。破ると、結婚が無効になってしまう。

 当然、ニーナ・ランドールの子は私生児扱いとなり、その子孫は正嫡とは認められない。正嫡でなければ爵位を継承できない。

 つまり、何人もの当主とその嫡男、その上、現王家の王子王女が、地位を失ってしまうのだ。


「なんだってこんな厄介な契約結婚の条件つけたんだよ。誰が考えたんだ」

「だよな、せめて男子に限るってとこが無ければ」

「今さらしょうがないだろ。それより、何とかならんのか」


 ツオーネ男爵家が、どこかの貴族の従属爵位だったら話は簡単だった。上位の貴族家を王子が継承し、男爵位も併せ持つという形にすれば良いからだ。

 あいにくツオーネ男爵家は独立貴族、王家直参という点において、法律上の立場は公爵家と同等なのだ。


 爵位は一つの功績に対して、一つしか上げることは出来ない。横紙破りをすれば、悪い前例を残してしまう。

 王子殿下の爵位継承の功績によって、ツオーネ男爵はツオーネ子爵に陞爵した。同時に領地替えが行われ、中位貴族という低い爵位の埋め合わせとして、辺境の広大な王領を領地として賜った。


 後に、辺境開拓に成功したツオーネ子爵は、その功績により伯爵に陞爵し、高位貴族の仲間入りをした。実力主義の辺境で成り上がった元平民の血が、ツオーネ伯爵家経由で王家に届くまで、五十年かからなかったと言う。


 ふう、オスカー君のお話のネタバレを最小限にするために、色々ぼかして書きました。文中でぼやいていたのは、テイラム君の父君のずーっと先の後輩達です。


 これで契約結婚の伏線は全部です。読んでいただきありがとうございました。

 本年も、お星さまとブックマーク、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] なんで男爵家の子孫が王子になるんかいなと思っていましたが、なるほど、船長の子孫ならそうなるわな。
[一言] ちょうど良いのが居る間に隠居しろよ、 と誰も忠告せんかったんか?生前に
[良い点] 更新お疲れ様です。 [一言] 新年おめでとうございます。 何処かからともなく、どこかの女侯爵(侯爵夫人?)の笑い声が聞こえてきそうな。 「我が身内を掻き回そうとしてくれた、細(ささ)やかな…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ