表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彼は男爵家の後継者に成りたいだけだった  伯爵? 公爵? 無理無理無理!   続編も始まったよ  作者: お冨
第九章 未来都市へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

103/119

ランドール伯爵領ヘ 領都到着

 やっと到着。オスカー君が知らないうちに、惑星開発プログラムが着々と(笑)


 明日明後日、この冬一番の寒波だそう。どの店も買い出しの客でごった返してます。豪雪にならないと良いなあ。

 未開の草原の道の先。

 初めに見えたのは門だった。城壁は無い。ただ、二本のそっくり同じ柱が並んで立っていた。

 それが目の錯覚だと分かったのは、進んでも進んでも門が近くならなかったからだ。


 なんだあれ。これだけ遠くから見てあの大きさって、どれだけでかいんだ。


 馬車の周囲を囲む護衛の騎馬兵は驚いていない。馬車に同乗しているグレーン卿を見たら、ニヤニヤしている。

「驚くのはまだ早いですよ。領都内の建物を見てからにして下さい」

 つまり、天津箱舟由来ってことだな。自重無くやらかしたと。

 神の御業なら何でも有りか。地形変えて海峡作っちまうんだから、今更何が有っても不思議はないよなぁ。ハハハハハ。



 門だと思った二本の柱は、建物だった。

 地上から真っ直ぐそそり立つ長方体。どの面を見ても四角。屋上だって地面と平行の四角。

 普通、これだけ大きな建物なら、斜めの屋根や半球状のドームが複雑に絡み合ってないか。柱に彫刻が有ったり、バルコニーが突き出ていたりとか。なんでこんなにシンプルな形なんだ。


 ケチを付けられたのは、そこまでだった。

 規則正しく並ぶ窓は、全部が鏡になっていた。そこに映る風景には歪みが一切なく、窓ガラスの品質の高さを示している。ガラスだよな、あれ。建物内がうっすら透けて見えてるし。

 そして大きい。とにかく高い。大木なんてレベルじゃない。断崖絶壁を見上げる高さだ。


「これがツインビルです。地上五十階、地下十階、合わせて六十階建てです。領都の建物の基準になりますから。住民は基本的にこの規格のマンションに住んでいます。建物一棟で六百戸ほど。家族の人数に応じて一戸当たりの占有面積を上下させます。全戸単身用にすると、二千人弱が住める計算ですね」


 建物一つで、村の人口以上を収容できるとか。実物見なきゃ、到底信じられない話だ。


「と言っても、現在は地上二階までしか使用していません。心理的抵抗が激しくてですね、高層階は怖くて住めたもんじゃないそうです」

 王宮や貴族街の一等地なら、四階五階が珍しくないんですけどねと、グレーン卿が笑い飛ばした。


 タムルク王国で見た田舎の村を思い出す。ほとんどが平屋で、宿屋を兼ねた村長の家くらいしか二階建ては無かった。そんなところから移民して来てるんだ。そりゃ、怖いだろう。


 門、改めツインビルの間を抜けて、領都に入った。

 大通りの中央は水路になっている。幅が広い。水路だけで、王都の大通りくらいある。水路の両側は、それぞれ馬車が五台は並んで通れる広さだ。


「これは、通りと言うより細長い広場じゃないのか」

「いえいえ、片側五車線、路面船便用水路付き。都市計画としては、ごくごく標準的ですよ。せっかく一から都市づくりできるんですから、理想を追求しないと。それにこれくらい道幅が無いと、建物の圧迫感が強すぎます。風通しや日照が足りなくなりますよ」


 まあ、確かに。


 通りの外側は、見通しの良い更地が続いて……いなかった。大穴が幾つも開いて、巨大建築物の基礎と地下部分を建設中だった。

 視察のタイミングがもっと後だったら、立ち並ぶ高層建築群に迎えられただろう。遠目に見える完成した建物は、建設労働者の住居だとか。


「建設ラッシュが一段落すれば、高所アレルギーも治まってますよ。自分の手で建てるんですからねぇ。安全性だって体で納得出来ますよ」

 笑顔のグレーン卿に、息子のカークが声をかけた。


「スミスさん、それって荒療治過ぎませんか。鬼畜の所業だと思いますけど」

「おやおや、カーク様、難しい言葉をご存じですね。大丈夫です。人間は慣れる生き物です。一世代過ぎれば、笑い話になりますよ。部屋の中に居れば、窓の外を見ない限り高さなんて意識の外に追い出せますからね。早速、試してごらんになりますか」

「やります。僕は平気です」


 おいおいカーク、子供らしい万能感なんだろうけど、根拠のない自信だろ。足が竦んでよろけたらどうする。



 

 それより気になるんだけど。

 五十階まで、階段を登るのか。体力が保たないと思うぞ。








 次回はダンジョンの視察かな。出て来い、ファンタジー!


 お星さまとブックマーク、ありがとうございます。エンディングに向けて、着々と進んでます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ・・・火事になった時の対処法は? あと耐震性も気になるところ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ