第十七話 騎士として【後編】
【前回のあらすじ】
アロガンツ撃破。
「これより公開処刑を開始を宣言する!」
学園都市から場所を移し、王都フロンティア南区中央公開催事エリア。レベッカ達は催事の一環として王都に招待されており、ホテルの一室の窓からその様子を見つめていた。
「被告人イカロス・カルフォス・オーネスト、何か言い残す事は無いか?」
執行官が布袋を被せられたイカロスはガラガラ声で何とか言葉を発する。
「ぎっ、ぎじにっ!おうおばぼる、ぎじにっ……わだじはっ………なりだがっだ…………!!」
そして首目掛けてギロチンが落とされた。執行官はその頭を掲げると民衆の大きな歓声が上がった。
「………酷い茶番ですね」
「そう言ってくれるな。納得がいかないのは私も同じさ」
そう言って窓辺から客室のソファーに座るレベッカを嗜めるのは先日レベッカと共闘し、このホテルへと招待した張本人ソニア・レヴァンス・アルマーだった。同行したティルトが窓を閉めると外の喧騒もやや抑えられ、少しだけ静かになる。
「あの人、別人ですよね?」
「ああ、背格好が似ているただの囚人だ。顔を隠しているのは顔を知っている者がいるかも知れないからな。声は牢獄生活で潰れていると言う事にすれば、遠目から見れば本人と見分けもつかないだろう」
「そうですか……」
レベッカの方は奴隷として売られていた貴族の子息や令嬢を救出していた事や、その身柄の保証を図書館卿やソニアにより身の潔白は証明された。
その一方でソニアは元から勇者を怪しんでおり、定期的にクリアポーションを摂取しながら勇者一行に同行していた為、洗脳の効果が薄く同行時の記憶を残していた。
この大陸において、元々勇者とは厄災に対抗する為に存在するいわば最終兵器という扱いである。この国であまり勇者教と言うものが特に信仰されていないのは、兵器に対して信仰する必要性がないからである。とは言え平和へと導く象徴でもある勇者が今回の様な騒動を引き起こし、更には誘拐や窃盗を繰り返していただのとそんなスキャンダル公表出来るわけがなかった。
そしてもし勇者の責任とすると、必然的にその任命者であるアリシア王女にも責任追及をせざるを得なくなる状況にあり、そうなると国の信頼性が損なわれる事になりかねない。そうなってしまえば民が疑心暗鬼に囚われ、更なる混乱を招く事になってしまう。そうなる前に無理矢理に犯人を仕立て上げてでも、国民に安心感を与える必要があった。
問題だったのは誰を犯人に仕立て上げるのか?と言う話だった。実は今回の一件、アリシア王女はその件の勇者を全く覚えていなかった。それどころか今回の被害者全員が同じ回答をしたと言う。
「自分は勇者を名乗る者に会ったことすらない」と。
王家や貴族の責任逃れを疑われたものの、その関係者に限らず、ギルド関係者や斡旋をしたはずの者までもが彼らを憶えていなかった。更に調べを進めるとアリシア王女等を始め被害者全員が洗脳を受けていた事が発覚し、結果犯人が特定出来なくなってしまった。
「私としてはアドニスに責任を追求したいところだったんだが、肝心のそのアドニスが既に故人でな。御家騒動中にアレだ。シャルトワールをイカロスが所持していた事を考えると恐らくは…な」
元々アドニスは勇者教との繋がりを持っており、そのパイプ役として王家に取り入る為に王女に紹介したのが事の発端らしい。
しかし、今回の事が大規模な洗脳による事件だとするとアドニスもまた洗脳されていたのかもしれない。そして本来責任追及すべき相手であるアドニスも事件中に何者かによって襲撃に遭い、命を落としてしまっていた。
結果的に全ての罪を被ってもらう形で今回の事件で勇者によって使役されていたイカロスに白羽の矢が立った。尤も当の本人もまた既に故人なのだが…。
最終的にオーネスト家を取り潰す事で民の溜飲を下げさせ、多少強引ではあるが事件の落とし前として成立させたのだった。
真相は既に闇の中。最早、この国にこの事件の真相を知ろうとする者など出て来なかった。喩え、この事件が別の側面を孕んだ事件だったとしても。
「そう言えばエレイシアと図書館卿は御加減如何です?エレイシアは暫く休学と聞きましたが?」
「彼方も大変だよ。あの家は少し特殊だからな。公爵家程ではないにせよ、ほぼそれに準ずる家柄だ。それにその婚約者があんな形で死んだんだ。無理もない」
オーネスト家の嫡男が婚約者であった事すらも表沙汰になる事は無い。そもそも偽装婚約の相手だったと言うし、それについて外野が五月蝿く叩けば、翌日その家ごと粛清されるのは目に見えている。
恐らく外で騒ぎ立てる民衆の中には図書館卿について調べようとしている輩も少なくないのだろう。薮を叩こうとする者はきっと自分達が正義だと信じて疑わない。事実、3年前のダーニック事変を面白半分に調べようとレベッカに近づき粛清された者も居る。
(部外者が安易に余計な事をすべきじゃないって事ね……)
レベッカは外から漏れて聞こえる喧騒に頭を痛め、肝に命ずる。外で騒ぐ殆どの民衆は、実際の所今回の被害者でもなければ関係者ですらない。本当の被害者はイカロス本人を始めとする、誘拐や道具にされてしまった者達、財産を奪われてそれすらも記憶から消された者達、そして何より最早帰る事すら出来なくなってしまった者達だ。
ソニアは自分は運が良かった。聖鎧リフレックスも手元に戻り、自分自身も無事帰る事が出来たのだから。全てはレベッカが動いてくれたお陰で自分は生還することが叶った。あともう少し遅ければ全てが終わっていたと、レベッカにそう伝えていた。
「そんな訳でレベッカ、お前に今回の謝礼をしたい。現金で渡したい所なのだが、生憎此方も直ぐに用意出来る待ち合わせがないし、早々に此方も復旧作業に戻らねばならない。なので此方を用意した」
ドンとレベッカの目の前に何かの鉱石が入った様な音のする麻袋が二つ並べられる。
「あ、あの?これは……?」
「中を確認して欲しい」
そう言われてレベッカが麻袋の中身を確認すると思わず目を疑った。
「え?は?」
「足りんだろうか?それならばまだ持ってくるが」
「い、いいえ!これで十分過ぎます!はい!(なんてもん持ってくるんだ、この人ォォォ!?)」
「後それと、これは図書館卿からだ。アイツは中々自由に動ける身分ではなくてな。私が代理で持ってきた。此方も確認して欲しい」
「ミッ!?(図書館卿もかよォォォォォォ!?)」
先程と同じ様に大きな袋が置かれる。此方も同じ容量程の様だが、中身が違う鉱物が入れられていた。思わず変な声が出そうになるのを堪えてつつレベッカは眼前で頭を下げるソニアとティルトを見て驚愕する。
「ソニア様!?」
「今後のお前にどうか役立てて欲しい。それと、私も図書館卿もこんな現物でしか返せない事が不甲斐ないがどうか許してくれ」
「おやめ下さい!どうかその様なことはなさらないで下さい!お願いですから!」
(もうやめて!私のキャバはとっくにオーバーよォォォォ!!)
誰にも届かないレベッカの心の叫びは喧騒鳴り響く街の空に消えていった。
☆☆☆☆☆
「うう……胃が痛い……」
胃薬なんて物が無いので回復魔法を自分に無駄撃ちしつつ気を紛らわせる私は改めて麻袋の中身を確認する。
「ハァ……、学生相手になんてもん渡してくるのよ」
用意された馬車に合流したドロシーと共に乗り込むと、思わず愚痴をこぼす。
「どうかなさいましたか?お嬢様」
「ん?あー…なんて言うか。派閥って大変だなぁって話よ」
「は、はぁ……?」
「ま、たいした事じゃ無いわ。どうせ私自身にはあんまり関係ないし、貴い方々と言う存在の御意志の前には私達なんてホントに単なる駒に過ぎないんだなぁって事よ」
たった数日前の事を思い出す。アロガンツとの戦いが終わった後、何とか無事ではあったものの全員満身創痍で救出されたのだった。
流石に連日の無理が祟ったのかナイン達も緊張の糸が切れた様にぐったりとしてしまっていたらしい。しかし、翌日から事後処理に参加させられていたそうな。タフだなぁ。
また、ソニア様も相当無理をされた様でアロガンツを倒した後、急に倒れ込んでしまったらしい。普通に考えれば、奴隷にされたりあんな化け物相手に三つ巴やったりしてたんだし倒れたっておかしくはない。
ティルトは現在車椅子で自由に動けないソニア様のサポートに回っているらしく、事情聴取の後は事後処理の指示や自身も作業に従事しているとの事。
私に至っては落下による全身複雑骨折。意識が戻ったのもあの戦いから丸五日も後の事だった。本当に良く生きてたな、私。
目が覚めてからはリハビリがほぼ必要無く動ける様になるとは流石魔法ありの何でも異世界。まさかの自分の回復魔法だけで傷一つない状態まで回復するとは思わなかった。因みに折れた骨は私が気を失ってる間に他の僧侶や回復士等が修復してくれていたそうな。本当に感謝です。
そしてやっと普通に動ける様になった頃、軽めのトレーニングついでに先述の戦いの後の顛末とその事後処理の事を聞かされたのだった。
そしてもう一つ。これはナイン達『影』の調査結果として聞かされた内容がある。
今回の事件を王命を受けた調査団が調査した結果、実際にエマ達勇者パーティの被害に遭っていたのは極小数であった。しかし、その裏で勇者達とは無関係で多数の奴隷として売られていた貴族家の者やその関係者がいた事が明らかになったのだ。
その調査も途中で打ち切られ、彼らは未だ行方不明のまま。そもそも何故そんな奴隷売買が行われていたのかも不明のままだったと言う。
レイ曰く「これ以上は止めておけ。その自己満足はカネと命のリスクですら釣り合わねぇぞ」との事。
それはあの死線をいくつも潜り抜けてきたレイからの警告だった。私は一人残された病室でクエストウィンドを展開させるとエマージェンシークエストに失敗の文字が浮き出ている事を確認し、酷く落胆してクエストウィンドを閉じたのだった。
「ハァ……これが失敗した時のリスクか……」
あの時の落胆を思い出して余計気落ちする。本当なら私の陣営にスカウトしたかった人物の名も行方不明者の中に数名リストアップされていた。
「そう言えば捜索の方はどうなさいますか?レイ様達は捜索だけはまだ継続して頂いておりますが」
「中止よ、中止。これ以上は動くべきじゃないわ。私達が勇者パーティを全員捕えられていれば大義名分も立つし、色々と便宜が図れたりと話は別だったけどね」
もし私達がエマも捕えることが出来てさえいれば、奴隷になってしまった全員を救う事が出来たかもしれない。もしくは、勇者パーティの事は後回しにし、奴隷にされた人間の救出に専念すべきだったのかもしれない。しかし、そうした場合エリーが拉致されていた可能性を考えるとどうとも言えない。
(結局の所、私が強けりゃ全部解決した話なのよね……)
あの勇者パーティ全員を捕えるチャンスは何度もあった。それでも私はそのチャンスを全て棒に振ってしまった。しかも、それ以上にあの絶好のチャンスでエマを取り逃したのは私の実力が圧倒的に足りなかったからだ。
本当に何もかもが足りない。地位も権力も自分自身の強さそのものも。
(けれど切っ掛けは掴めた)
少なくとも今回のクエスト自体は全く無駄に終わったわけではなかった。それは天命と言うシステムそのものについてだ。現在の私は『癒しの聖女』では無い。正確に言えば『癒しの聖女』だったと言うべきだろうか?
今の私は『癒しの聖女』から『槍術士』へとクラスチェンジしているのである。
あの戦いで私は『癒しの聖女』のレベルがLv100に到達していた事が分かった。しかし、私のレベルと言うのが成長度合いと言う概念では無くクラス進行度と言う概念であった事がここに来て判明したのだった。つまりレベル1で1%、レベル100で100%と言う具合に表記すれば分かりやすいだろうか?そして『クラスチェンジ』のロックが解除される条件と言うのがまさに一つのクラスをマスターする事だった。
この『クラスチェンジ』は習得したクラススキルを別のクラスでも使用する事が出来ると言う利点がある。また、取得した進行度はクラスチェンジしてもそのまま残り、再度そのクラスにクラスチェンジしても継続して進行度を進める事が出来る。
当然だが他のクラスによってはステータスの増減やクラス相性がある為、消費魔力が高過ぎたり属性が相殺されて使用出来なかったりする物もあるのだが。
それでも他のクラスで別のクラススキルを自由に使用出来るのは非常にメリットが大きい。私が『槍術士』を選んだ理由がここにある。実はこのクラスは私のメインスキルと非常に相性が良く、回復スキルが制限される代わりにバフスキルが双方の物をフルに活用出来る。尤も、そこに至る為には『槍術士』も相当レベル上げしないといけないけれど。
更に判明したのが『癒しの聖女』と言う天命が『称号システム』と言うシステムによるクラス変化による物であった事だ。この称号がクラスと性別が組み合わさる事で『癒しの聖女』と言ったクラスが出来上がる仕組みだったようだ。恐らく、これを天命と呼び始められた事を皮切りにクラスの事を天命と統一して呼び始めたのだろう。
私が取得していた称号は《翠星》。この称号の操作も一つ以上のクラスをマスターになってやっと行える様になるらしい。実際に称号を外した所、私の元のクラスは『僧侶』となっていた事からこれらの事実は恐らく正しいのだと思う。
称号の取得条件は全く不明だが、こればっかりは転生とか転移だかとか何らかのボーナスとかだと考える事にした。今のところ、それ以外に思い当たるものが無いし。
そして私が称号システムのスペックに驚いたのがその効果。そして《翠星》の効果が以下の通り。
《翠星》
セット時以下の効果が発動
・INT・MID・TEC+50%UP
・STR・VIT-50%
・回復・支援の効果+100%
・回復・支援の範囲効果+150%
・発動チャージ時間が30秒遅延する(ただし、TEC値によって軽減可)
セットするだけでこの変動率。デメリットも確かに致命的すぎるけど、それを凌駕するプラス補正値とパッシブスキル。それに私のステータスならば『僧侶』時に通常発動までにチャージ時間が90秒程掛かるスキルを放った所、『癒しの聖女』時であれば約20秒まで軽減可能だった。
しかし、他の全てのクラスでもそれが有効かと言うとそうでも無い。
例を挙げると現在の『槍術士』に《翠星》をセットすると、バフスキルの効果も範囲も強化される為、後方から豊富なスキルで味方をバックアップする事が出来るサポーターにもなれる。
一見すると有効的とも見れるが、前衛職であるにも関わらずSTRもVITも大幅に下がってしまい、更にはスキル発動にも大幅なタイムラグが発生すると言う致命的過ぎる組み合わせとなってしまうからだ。いくらバフ効果が乗っかるからと言ってここまで前衛職の主要ステータスが下がったりスキルの発動時間が伸びるのでは目も当てられない。
因みに称号をセットした『槍術士』の名称は『導きの聖女』。称号が《翠星》と言う名称なのにどこからそんなイメージが?正直意味がわからない。
でもどっかで見た様な気がするわぁ。そんな自分は安全圏の後ろに控えてばっかりのムカつくキャラ。あーうん、ゲームでのレベッカだわ。本当に私と性格も性能も真反対過ぎる。
こんな感じで前衛職にはバフスキルが強力になる以外目立った所が無いあたり、《翠星》はどちらかと言うと後衛職向けの称号の様だ。なので『槍術士』である今は現状レベルも低い事もあって何も称号を付けないでいる。
(でも、こうして見るとホント恵まれてたんだな私は…)
これだけ環境にありながら私はアイツらにいい様にしてやられてしまったのだ。
(今度こそ絶対に……)
その為にも、これからでもやれる事は全てやらなければならない。
喩え、私が嫌っているあの姫聖女プレイを自ら再現する事になったとしても。……やりたくないけど!出来るだけやりたく無いけど!!
☆☆☆☆☆
「いかがでしたか?」
「何とも言えないわね。使える手駒ではあったけど、私ってあんなに傲慢な感じに思われてるのかしら?」
まるでそこは宇宙の様な星空と海の様な水平線が永遠に広がる世界。そんな幻想的な世界に不釣り合いなガラス張りの様な空間が浮いていた。そしてこの『空間』に二人の男女がそこに居た。
「それは申し訳ありません。こちらのミスでした。しかし、誘き出す事には成功した様です」
「そうみたいね。まぁ結局逃しちゃったけど。で、連中の目的はやっぱり?」
「ええ、やはり御身が目当てだった様です」
「本当に諦めの悪い連中だこと。そんなに私の協力が欲しいのなら他の誰か一人でも協力を得てから来なさいって話だわ。まぁ、きっと誰も協力なんてしないだろうけど」
一人はこの事件の被害者だった筈の者。そしてもう一人はその事件の共犯者だった者。本来ならばその両者の立場からすればその場に居合わせる筈が無い者同士がテーブルを囲んで優雅に紅茶を嗜んでいる。
「ところでレベッカ・マグノリアがあの場に居たそうですね。彼女はどうでした?」
「レベッカ・マグノリア?ああ、あの子の友人と言っていたあのご令嬢?そうね、中々面白くて気に入ったわ。それにまさかあの『狂王』に勝つだなんて思いもしなかったわ。あの子なら多少無理を言っても問題無さそうね?」
「余り虐めないでやってください。アレはまだ使えます」
「あら、随分と気にかけてるのね?」
「………気にかけているわけではありません。使える手駒をみすみす使えなくする必要はないと進言しているだけです」
彼は疲れた様にため息を吐く。そんな彼に対して可愛い弟を面白そうに揶揄う姉の様に『図書館卿』は妖艶な笑みを浮かべるばかりであった。
「しかし、貴女も今回は随分な目に合われた様で。今後はもう少し慎重になられた方が宜しいのでは?」
「貴方がそれを言う?仕方ないじゃない。まさか仮にも勇者があんな事するなんて思わないわよ」
「暫くの間はご自愛ください。此方は別ルートからの伝手を使います」
ぱちんと指を鳴らして彼女は紅茶に口を付ける。
「分かったわ。此方も今回は余計なカードを切る羽目になったしね。『あの男』にも伝えておくわ。それに『グリム』とっては大義の為、貴方にとってはお姫様の為、そして私にとっては大切なあの子。その為に私達『グリム』があるのだから」
同時刻。役目を終えた『人形』は糸が切れた様に地に落ちる。ぐしゃりぐしゃりと階段を転げ落ちて行く。
「う……あ…………ぁ………………」
転がり落ちた先に僅かに残っていたイカロスの遺灰を巻き上げる。しかしその先に、全てを失った英雄の元に『人形』が辿り着く事はなかった。
「ぼっ……ちゃ………ま………」
暗い暗い虚に向かって『人形』は灰と共に堕ちて消えていった。
どうもねこなべです。あいかわらずの遅筆になってしまい申し訳ありません。次回から更新速度をもう少し早く出来るようにしたいです。
追記:後書き内の紹介内容を一部加筆修正。
《姫聖女プレイヤー》
いわゆるパーティクラッシャーの一種。かつてMMO等で存在していた白姫だの姫プリースト(略称:姫プリ)だのと呼ばれていた存在の更なる発展進化版とも言える非常にタチの悪い存在。
『選ばれし特別な力を携えた聖女』なので
・みんなに自分は選ばれて当たり前
・みんなに自分は守ってもらって当たり前
・みんなに自分は与えられて当たり前
・みんなに自分は愛されて当たり前
・自分に対する悪感情は嫉妬や僻み
上記の状態が通常状態の為、基本的にお花畑脳が限界突破している。更に聖女ならばどんな状況だろうが奇跡を起こして彼らを導く(という設定)。
こんな上記の様な状況ですら周囲の者達も基本的に共通認識なので、姫聖女プレイヤーの為に平気で色々やらかす。(そして巡り巡って自分達に後始末が返ってこようが全部他人の所為にする)
ただし、自分を守って貰う為にも周囲の者達には生存して貰わなければならず、パーティ内のステータス管理やメンタルケア等も結局『姫聖女』自身が行わなければならなかったりと、意外な事に実は最も気苦労が多くストレスも酷い。
その為、少しでも自分の負担を減らす為に役割分担もしっかりと分けられ切っており、パーティの生存率自体は実際の所かなり高かったりする。(それでもやらかす奴はやらかす)




