第七話 勘違いヤロウにTEKKENを
【前回のあらすじ】
風紀委員になりました。
「《鎧通し(+手加減)》!」
「ごぶっ!?」
殺さずを徹底する為に襲ってきた探索部の人間を手加減(全力時2割)で叩き落とす。最近こんな事ばっかりです。リミットクエスト?………知らない子ですね(現実逃避)。
「我々は諦めないぞ!」
「君は我等のパーティに必要な人材なんだ!」
「はいはい、お気持ちはありがたいですが私の心はもうとっくにお姉様の所ですからねー」
「レベッカ、そのお姉様と言うのはやめないか?若干恥ずかしい」
そんな事言わないで下さいマリアお姉様。私、お姉様の為ならこの世のお姉様の敵を全て抹殺して回る所存でございますので。しかし本当に諦めないね君達。君たちだけでもう通算七回目よ?
あれから私を追いかける連中は減ってきたものの、今尚諦めの悪い奴等はいる様だ。しかし私はエリーのおかげで私は風紀委員に入隊し問題解決、公然とその連中を自分でぶっ飛ばンッン…もとい取り締まることが出来るので追いかけられるストレスから解放された。結果的にエリーには助けられた形になった。なんか癪だけど。
そもそも、レベッカとマリア・クルスは最後の最後でカインを巡って戦う運命にあるそうな。レベッカは最終的にマリアと対立し、カインと仲間達を率いて王国軍とマリアはカインとの折り合いが付かなくなるとそれまでの誠実さが嘘の様に嫉妬に狂い反乱軍を率いて戦争に勃発する事になる。ところがどちらにせよこれは破滅ルート・敗北ルート・断罪ルートとやり方次第で地雷ルートにも発展してしまう。そもそもこのマリアが折り合いがつかなくなると言うだけで嫉妬に狂うと言うのも割と無理がある。
当然その理由はこのカイルにある。
カイルはその立場上、民衆の支持を得ねばならないと言う理由で中立の立場にならねばならず婚約者の味方になりきる事が徐々に難しくなるのだ。ただでさえマリアには味方に付く人間が少なく、更に風紀委員長と言う立場もあって敵を作りやすいのだ。そんな彼女に今味方が居るとしたら生徒会長にエレイシア、そして私である。更にこの後攻略対象が続々と増えて行くことを考えるとマリアの味方になれる人間は殊更減って行く。何としてでもマリアには幸せになって貰わねば。と言うかね……
☆☆☆☆☆
ある日の午後。
「お姉様、お茶にしましょう」
「ああ、私はコーヒーを貰えるか?」
「はい。ドロシー」
「畏まりました」
二人分のコーヒーを淹れられたティーセットが用意され、私はそのまま口を付ける。仄かな香りと苦味が最高。さすがドロシー。
ぽちゃんぽちゃんぽちゃん。たぱー。
「ふーっ、ふーっ、ふーっ。あつっ!ふーっ」
恐る恐る口を付けながらコクコクと飲むマリアお姉様。何この可愛い女性。
「あっ、あー。えーと、すまない。私、実はあまり苦いのは苦手で。それでなくとも紅茶も苦手で。でもコーヒーは好きなんだ。でも熱いのも苦手で」
申し訳なさそうにカミングアウトしてくる彼女。なにこの可愛い女性
どうやらドロシーも同志であった様でこっちと目が合うと親指立ててサムズアップしてきた。お姉様の為にアイスカフェオレを開発する日はそう遠く無さそうだ。
心のメモに角砂糖は3個と明記しといた。だがそれでも若干苦そうな顔をしていたので恐らくはいつもは5個は必要なのだろう。
訂正:早急にコーヒー牛乳を製作する必要性が出てきた。私はドロシーには最高峰のミルクとコーヒー豆の調達を、私は生前のコンビニで売ってたあの至高のパックのミルクコーヒーを再現する為にレシピの試案と試飲を。
え?役割に差があり過ぎる?良いんだよ。私は私の出来る事をするだけなんだから。
☆☆☆☆☆
こんな可愛い女性を害しようとする奴は私が滅殺してくれる。さてそんな私だが、ただ今絶賛厄介な案件に遭遇している。
「そこまでにしてもらおうかマリア」
「殿下!何故私の話を聞いて下さらないのです!?」
「お二人共、もう良いですから!話を聞くだけですから!」
学園の特別談話室の室内で客人を迎える前にこの2人が言い争っている。早速と言うか何故こうなったのかと言うと
「レベッカ、此方は我が国が正式に認定した勇者パーティ『紅蓮の翼』のメンバーとその勇者、ユウト・カンザキだ」
「はぁ……?」
殿下の隣に座る人物とその後方に構える一団に寄るものである。
お姉様は私を守る様に私の隣に座って下さってる。尊い。話が逸れた。
ユウト・カンザキって事は元は日本人か。転移者か転生者かなんかなんだろう。彼の背後には付き添う様に女戦士やら魔法士やらから付き従っている。ウッザ。
「ユウト、彼女がレベッカ・マグノリア。現在ネームドの聖女最有力候補に認定されている」
「殿下!?」
「控えろと言ったはずだ、マリア」
オィイイイイ!?なんでそんな事までバラしてくれてんの、このバカ王子ィィィッ!?
「改めて自己紹介を。ユウト・カンザキだ。突然の訪問申し訳ない」
「レベッカ・マグノリアです。本日はどうも」
一応私も背後にドロシーを側に置いている。万が一の場合は制圧を考えての事だが。
「早速なんだがレベッカ。俺達とパーティを組んで欲しい」
「お断りします」
「へ?」
即答で返答してやった。
「あの…」
「ですからお断りします。私は学園に席を置く身。ですのでお帰りください」
営業スマイルで畳み掛けてお帰りいただこうとする。
「待ってくれ!俺の話を聞いて欲しい!今なおこの世界は魔王の恐怖にさらされている!俺は世界樹の聖剣に選ばれ勇者としてここに来ているんだ!この学園はそんな人材を育成する為の場所だろう?」
「それは、まぁ……」
これにはお姉様も苦虫を噛み潰した様な表情で同意せざるを得なかった。と言うのも、この学園はそもそもがそんな魔王に対抗する為の聖女や勇者の候補生、またそれに順ずる冒険者や騎士達、領主の一族には国防等の勉学等を執り行う養成機関だからである。
この国に限らず、世界各国は全世界の大陸の五分の三より南の方に追いやられている状況であり、そこから北の方は全て魔族が支配する通称『ベルトライン』と呼ばれているエリアになる。更にモンスター達は勢力を伸ばしており、実際にはこの近郊にさえもダンジョンが生まれてしまっていたりしている為、本当の所は五分の三どころでは無い可能性すらある。
だからこそ我が国に限らず各国では学園の様に養成機関を設け、魔族に奪われた支配領域を取り戻すべく日々戦争が繰り広げられているそうだ。
(まぁ尤も、それが本当かどうかも分からないんだよねぇ。それなら何で奴隷制度なんて強いてるのかもわからないし、そもそも学園生活を送るなんてことしてる場合では無いはずなんだけど)
「ちょっと!ユウトの話を聞いてるの!?」
熱弁してるユウト君の話を上の空で聞いているとユウト君の取り巻きが騒ぎ立てる。
「そもそも、学園の生徒には選択権がありますし、それ以前に私はこれでも辺境伯の娘です。そもそも冒険者になるつもりもありません」
まぁ身分証代わりに登録は皆するんだけどね。ところでドロシー、何でそんな呆れた目で私を見るのかな?
「まぁ、レベッカの言う通りだ。後に冒険者になるにしても本来ならば、この学園を卒業してからの話だ。それもまだ彼女は入学してまだ数ヶ月も経っていない。
勇者に徴兵権があるわけでも無いし、彼女はこうして断っている。お引き取り願えないだろうか?」
お姉様、マジ天使!
しかし向こうは納得してない様だ。
「わ、私だって辺境男爵家の娘よ!」
成程。だから余計に彼女は勇者パーティに入る理由があったのだろう。以前話したが中央と辺境ではその扱いに大きな差が生まれている。伯位であっても辺境であれば中央男爵より立場は低い。辺境男爵であれば更に扱いは酷いものだろう。
だがそこに勇者がパーティに誘って編入した。それだけで立場は大きく変わる。ましてや『紅蓮の翼』は国認指定の勇者パーティーである。それだけに入隊するだけでかなりの恩恵が得られるのだろう。普通は蹴らない。だが───
「家を留守にする訳には参りませんので」
そう言って断った。
「それでも君の力が必要なんだ!一緒に魔王討伐の為に───」
──ビキッ──
「っつ!?」
「………レベッカ?」
『警ザザッーい属セ$【魅3-〆×・(」・々\=2ウーザッーしタ』
思わず何かの攻撃を受けた事を悟り、苛立ちながら立ち上がると
目の前のユウトに向かって拳を抉り込む様に腹に一撃をお見舞いする。
「え?は?ぐあっ!?」「きゃあっ!?」「くっ!?」
思わずいつもの癖で手加減をしてしまいユウトをソファに叩き込む形でぶっ飛ばしてしまった。
「レベッカ!?」
「お嬢様がた!下がってくださいまし!」
「え!?」
はっとすると両方一触即発状態で武器を抜いており、ユウト君はなんとかメンバーを抑えながら訴える。
「待ってくれ!こちらに戦闘の意思はない!みんな止めるんだ!」
その様子をバカ王子は涼しい顔で上座に踏ん反り返っていた。このやろう。
「まるで私達が猛獣か何かの様な物言いですね?」
「違う!話を…」
「聞く必要など無いと思いますが?即刻お帰りください。殿下、失礼します。行きましょうお姉様、ドロシー」
「ああ、そうだな。殿下、失礼します」
「ああ、済まなかったな」
このやろう。分かっててやってるからタチが悪い。
間が空いてしまってごめんなさい。
イベントクエが立て続けにぃ!おわらねぇよう!
【追記】章タイトルを統一化する為に章タイトル変えました。
度々変更して申し訳ありません。キャラクターの名前を間違っていたので修正しました。




