第三話 トラウマバトルアリーナ
色々と書き直ししてたら遅くなりました。
スミマセン;
【前回のあらすじ】
決闘勃発。
ゲートを潜ると人人人。まぁよく集まったもんだ。ゲートの先には腰にレイピアを装備したイカナントカ。オイ、訓練用の木剣だけの筈じゃないのかよ。
「これよりイカオル対レベッカによる模擬戦を開始する!」
「しんぱーん?アイツ模擬戦なのに真剣持ち込んでんだけどー?ルール違反じゃないのー?」
「………」
「何だ、そんなものしか用意出来ない貧乏者だったのか。ふははは!だが、私は手加減などせん!我が宝刀シャルトワールの錆にされる事を光栄に思うがいい!なんなら今からでも」
コイツらグルかよ。私に用意されたのはウッドメイスだけだったぞ。私を晒し者にする為か?まぁ良いけどさ。
「ご心配なく。ご自身の触手を自慢の宝刀で切り落とさなき様、お気をつけあそばせ」
「ぐぎぎ!言わせておけばっ!」
「はじめ!」
「はぁぁああいっ!」
その合図と共にイカ某は伝家の宝刀を抜いて襲ってくるのだった。どっこい、普段から『影』のメンバーやおじさま達と日々ブートキャンプもとい軍事訓練をやってきている私にとっては素人剣術でしかない攻撃なんぞ怖くもない。
「ん」
その一撃を私はウッドメイスで宝刀の腹を軽く打ち軌道をそらしつつ、柄でイカ某の腹をぶっ叩く。
「がっ!?」
派手に吹っ飛んだ様に見えたが、直ぐに立ち上がるイカ某。
「ちっ、まぐれ当たりに良い気になりやがって」
「…………」
「チェストォォ!!」
イカ某の乱撃を交わしつつローキックをお見舞いしつつ後退し、あるいは思いっきり振りかぶってウッドメイスで殴りつけながら様子を伺う。
「おのれ!卑怯者め!どこまで逃げ回るつもりだ!?」
イカ某の罵声に煽られて観客席ではブーイングが沸き起こる。言っとくけどコイツの生殺与奪の権限は私に握られてんだからな?
「そう思ってるんならさっさと来なさいよ」
お気づきの方はもう居られるだろうがさっきから私はずっと《手加減》をしながら戦っている。
数あるスキルでも《手加減》はコモンスキルの中でも極めて特殊なスキルである。それはなぜかと言うと習得はSTRスキルなのにも関わらず、ダメージ軽減率はDEXスキルに依存すると言うバグってるんじゃないか?と言う判定が存在するからである。
だがそれだけでこの状況が生まれるはずがない。いくら私が《手加減》しようとも流石にレベル差50以上あるのに即死はなくても一撃で致命傷である。なので一撃当たったと同時に即座に《治癒》をかけて全快にしてから放り出すと言うのを繰り返していたのだった。……なにこの接待バトル。
「ぐっ!おのれ!」
おかげで見た目も中身も全くノーダメージ。ただし、ヒールはダメージは回復出来ても積もる痛みの感覚までは軽減は出来てもなかなか抜けるわけではない。
「非力な私からの攻撃じゃ大したダメージが与えられないみたいですね」
膝を付き憎しみげに見上げてくる顔をウッドメイスでペチペチと当てる。そんなイカ某を私は見下ろしながらゴルフクラブでぶん殴る要領でフルスイングを繰り出し壁に激突させるのだった。
☆☆☆☆☆
観客席ではあまりの一方的な交戦に不穏な空気になりつつあった。先程の一撃でもイカオルは壁に激突したものの倒れる事なく立ち上がり、再びレベッカに向かって走り出す。
「デヤァッ!ハァッ!トォッ!」
新入生の中では彼は中々の手練れではあるのだろう。側から見れば一撃もまともに入らない事、その事に気づき始めた者が徐々に現れ出していた。
「な、なぁ、もしかして……あのレベッカって女」
「まさか本当に?」
極力目立たない方向に、とレベッカ本人が事前に言っていたにも関わらずこの有様である。
「ったく、何やってんだよアイツ……」
「貴方がもっと早く処理していればこう言うことにもならなかったでしょうに」
「アンタが言うか。つか止めるんならドロシー、アンタが……」
「私が止めると言うならあのクソガ貴族様をバッサリ叩っ斬った事になりますが?」
「アンタに振った俺が莫迦だったよ」
自分達よりブレーキが壊れたバーサーカーがここにいた事に頭を抱えるレイだった。
「んなことより………」
レイは反対側の観戦席から来る視線、自分達と言うよりドロシーに向けられる視線が少し気になったのだった。
「ったく、お嬢も面倒な仕事押し付けてくるわぁ」
☆☆☆☆☆
今回の決闘モドキがあくまでも模擬戦という形になったのは公になると面倒な事になるからである。正直この決闘モドキはどちらが勝っても負けても非常に厄介な事になる。向こうは向こうで中央貴族出身の貴族嫡子。そして私は私でフリード家が認定された聖女候補であり、擁護されている身である。
私としては勝っても負けても因縁をつけられそうでめんどくさい。
(だったらやり方としてはまぁこれが最善策だよなぁ)
それにしてもまあしつこい。貴族って奴は折れるって言葉を知らないの?ここまで圧倒的な戦力差があんなに一切諦める気配を見せない。諦めなければいつか勝てるとかって思ってんのだろうか?本当にありえない…。まぁ、その原因作ってんのも私だけど。
「ええい!この卑しい女狐め!正々堂々勝負すると言う事を知らんのか!?」
何を言ってんのかさっぱりです。こっちはウッドメイスでそっちは真剣な上に伝家の宝刀持ち出してきてんでしょ?しかも、私が見た感じアンタんとこの術者達がさっきっから観客席から私にデバフかけてきてんの知ってんだかんな?丁度良いハンデだから放っといてるけど!
「あーもうめんどくさ」
「なに!?ぐッ!?」
「しばらく黙ってて下さいね」
私はイカ某の腕にメイスで叩き込み落とした宝剣を蹴り飛ばしてから審判に向かって進言する。
「審判、この模擬戦は引き分けを進言します」
「ふむ」
「ぎ……ざま……っ!?」
「どうせ貴方は何をやっても死ぬまで向かってくるんでしょう?」
「何を言っている!貴様が卑怯な手を使わなければ貴様なんぞに私はァッ!」
さっきから卑怯卑怯と何が卑怯な手なんだか。打ち付けられた腕を押さえながらこちらを睨みつけてくる。
「まぁここまでやっても私では貴方を倒せませんし、貴方も私に一撃も与えられない様ですし。これ以上はただの泥試合でしょう」
その言葉の意図を汲んだのか審判はすぐさま試合を中断する。
「この模擬戦は引き分けとする!」
「なっ!?私はまだやれる!離せっ!離せェッ!」
ずるずると引き摺り回されていく様に訓練所を後にするイカ某。もう絡んでこないで欲しい。
☆☆☆☆☆
つっかれたぁー!あの状況にするのにどんだけ私が気を遣わなきゃいけなかったことやら。
「お嬢様ぁー!」
控室に戻ると同時に私に抱きついてくるドロシー。おのれ、ドロシー。その脂肪の塊を私に押し付けるな。押し付けるくらいなら分けて下さい!
「おつかれーい」
「おつかれーい、じゃないわ。んで?どうだったの?」
「気になるのは何人かは居たな。ただちょっと……」
「ちょっと?」
「いや、そっちは気のせいだわな」
「そう」
レイが気のせいって言うんだから気のせいなんだろう。リストの名前見ても私が知ってる名前とそうではない人間とが並んでいる。
「んで、これが何だってんだ?」
「多分このリストの人間は少なく見積もっても私の実力を正しく認識出来てる人達。敵に回るかどうかはともかくとして繋がりは持っときたいわね」
「そういや気になったんだがよ」
「何よ?」
「お嬢、何でまたあんな奴の挑発に乗ったりしたんだよ?」
「そりゃアンタ。あそこであれだけ実力見せつけとけば変に絡んでくる奴も減るでしょ」
「なんなのそのボッチ根性。友達作らねぇつもりなのか?」
「アンタからそんな言葉が出るとは思わなかったわ。ま、言いたいことはわかるけど恐れられる位がちょうど良いのよ。同じくらいと思われると派閥だなんだと動きにくくなるから」
「そんなもんかねぇ」
「そんなもんよ」
「そうか。ところで話変わるんだが」
「今度は何よ?」
「いや実はな。あの計測器基本的に下二桁までしか計測しねぇんだわ。んで、俺のレベルが218。あの計測器だと俺のレベルは18としか表示されてねぇ。つまりな、俺が言いたいのはだな……もしかしてそれを見込んでレベリング急いでたのかなってな?」
「何で……何でそれを早く言わないのよぉおおおお!?」
そう言うとこだぞ、お前ええええ!!
私はレイに掴みかかって泣きじゃくりながらレベリングをやめた事をひたすら後悔するのだった。
色々と予定が重なり投稿が遅れてしまい申し訳ありません。
次回からは定期的に投稿できる様にしたいです。




